ものづくり補助金平成24年度宮崎県

天然物から医薬リード化合物を抽出分離精製する技術の開発

富士シリシア化学株式会社

この事例のポイント

  • 当社は生理活性物質の分離に関する基礎的技術を保有していたが、実際に生理活性物質の製造には携わっておらず、その技術を活用する機会を模索していた。
  • 本事業では、医薬リード化合物、またはその候補となる有用生理活性物質を含有する生物を選定し、採集した生物原料から溶媒を用いて成分を抽出した。
  • クロイソカイメンから分離したジノフィシストキシン-1をはじめ、数種の医薬リード化合物候補物質を得ることができた。

事業者のプロフィール

事業者名富士シリシア化学株式会社
所在地宮崎県 日向市
業種化学工業
技術分野高機能化学合成

事業の背景

当社はシリカゲルの製造を行っており、シリカゲルは乾燥剤や塗料・プラスチック等の添加物として使われるほか、クロマトグラフィー用シリカゲル材料としても使われる。自然界の動植物は生理活性物質を作っており、天然由来生理活性物質は古くから医薬として利用されてきたが、化学合成や培養が難しく安定供給されていないものが多い。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術当社は生理活性物質の分離に関する基礎的技術を保有していたが、実際に生理活性物質の製造には携わっておらず、その技術を活用する機会を模索していた。

やったこと

本事業では、医薬リード化合物、またはその候補となる有用生理活性物質を含有する生物を選定し、採集した生物原料から溶媒を用いて成分を抽出した。宮崎県の海岸で採取したクロイソカイメンをエタノール中でブレンダーを用いて粉砕混合し、ろ過後にエバポレーターで濃縮し、酢酸エチルで有機物を抽出した。抽出液は当社製クロマトグラフィー用シリカゲルを用いた分取精製装置及び高速液体クロマトグラフィーで分離し、純粋なジノフィシストキシン-1(DTX-1)を得た。中間体や製品は凍結乾燥機で分子構造を壊さずに保存し、紫外可視分光光度計で同定条件を定め、高速液体クロマトグラフィー等で純度を確認した。

  • 加工機分取精製装置
  • 検査測定高速液体クロマトグラフィー
  • 加工機キッチンブレンダーエバポレーター減圧蒸留装置凍結乾燥機
  • 検査測定紫外可視分光光度計
  • 加工機分取用溶媒脱気装置中圧高流速スラリー充填機

新しい製品・サービス:医薬リード化合物(ジノフィシストキシン-1など)

事業の効果

クロイソカイメンから分離したジノフィシストキシン-1をはじめ、数種の医薬リード化合物候補物質を得ることができた。それぞれの生理活性物質について精製方法の最適化を行い、安定的な供給に向いた生産法を開発した。得られた医薬リード化合物は試薬会社に成分分析を依頼し良好な結果を得た。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.6 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    新しさ・高付加価値天然由来の医薬リード化合物を抽出精製する取組で、ジノフィシストキシン-1など特定の物質を分離した点から新規性がうかがえる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    強み・弱みを踏まえた優位性分離技術を保有していたが実際の生理活性物質製造には携わっていなかったとあり、市場や顧客動向との照合は書かれていない。
経営戦略との整合性2.7
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のシリカゲル製造と分離技術の保有を背景に医薬リード化合物へ展開すると書かれているが、事業上の位置づけは文章から十分に読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    分離技術を保有していたが実際の生理活性物質製造には携わっていなかったとあり、市場や顧客動向との照合は書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    原料採集から抽出、分離、検品まで行える生産設備導入に取り組むと書かれているが、課題の数値化や高付加価値化の見通しは薄い。

事業の実現可能性2.6
  • 付加価値・賃上げの目標2

    数種の候補物質を得て生産法を開発したとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    分析や分取の装置を用いた技術面は書かれているが、人材や事務処理体制についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    試薬・製薬企業に受け入れられた後に販売すると書かれ、顧客ターゲットは示されるが、ニーズの裏付けの数字はない。

  • 事業化までの道筋3

    販売に向けて生産規模を拡大し生産技術を確立する、市場調査を行うなど今後の進め方は示されているが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    天然由来の医薬リード化合物を抽出精製する取組で、ジノフィシストキシン-1など特定の物質を分離した点から新規性がうかがえる。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用2

    医学・生物学の発展への寄与に触れているが、雇用創出や波及効果の具体的な数字は書かれていない。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    分離精製の最適化や生産法の開発という技術面の工夫はあるが、サプライチェーンへの貢献は文章から読み取れない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    医薬研究・生物化学分野の市場価値を高める取組とあるが、日本経済の構造転換との関係は示されていない。

  • 地域経済への波及2

    宮崎県の海岸で採取した原料を用いるなど地域資源に触れているが、地域の経済成長への寄与は書かれていない。

今後の展望

試薬・製薬企業に受け入れられた後は、販売に向けて生産規模を拡大し、生産技術の確立に取り組む予定である。また新たな生理活性物質を追求し市場調査を行い、価値が認められれば生産品目に加えて生産技術を開発する。医薬研究・生物化学研究に関する市場価値を高める生理活性物質ライブラリーの構築にも取り組む。

業種と困りごとが近い成果事例

北海道平成24年度

装着型高照度光照射装置の開発

睡眠習慣の改善や季節性感情障害の緩和を目的に、装着型高照度光照射装置「ルーチェグラス」を開発した。

青森県平成24年度

IP音声呼出電話機の試作開発

従来のアナログ式音声呼出電話機の機能を備えつつ、IPネットワーク網で使えるIP型音声呼出電話機の試作開発とサーバーレスのシステム構築を行っ…

効果:同時通話台数 3台→30台

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。