ものづくり補助金平成27年度宿泊業、飲食サービス業三重県

湯の山温泉の魅力を海外へ向けて情報発信し、訪日旅行者の増加を目指していくためのWEBシステム開発事業

株式会社鹿の湯ホテル

この事例のポイント

  • ホテルのWEBサイトは外国語表記が一切なく、海外の顧客が翻訳サイトなどを使って労力をかけて情報を調べる状況だった。
  • 多言語対応の予約システムを組み込んだWEBサイトを、コンサルタント会社に発注して開発した。
  • 英語、韓国語、中国語(繁体字・簡体字)、タイ語での表示が可能なWEBサイトを構築し、海外からの個人旅行者を獲得するツールとして活用できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社鹿の湯ホテル
所在地三重県 三重郡菰野町
業種宿泊業
従業員数39人
資本金8,000万円
設立1962年

事業の背景

湯の山温泉の宿泊施設では訪日外国人宿泊者が増加傾向にあり、当ホテルの2015年度の外国人宿泊者数は前年度比で約3倍に増えた。当ホテルでは台湾や韓国などからの旅行者が増えており、現在の売上の約5%を訪日外国人宿泊者が占めている。一方で日本国内の人口減少により国内旅行者の市場は縮小傾向にある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信ホテルのWEBサイトは外国語表記が一切なく、海外の顧客が翻訳サイトなどを使って労力をかけて情報を調べる状況だった。
  • 集客・繁閑国内人口の減少で国内旅行者の市場が縮小しており、海外からの新たな市場を獲得することが求められていた。
  • 品質・精度築54年で建物や機械装置が経年劣化しており、温泉設備の劣化によりレジオネラ菌の存在が懸念されていた。
  • コスト・採算毎日行っていた換水作業と清掃の負担が大きく、塩素の使用量と水道光熱費もかさんでいた。

やったこと

多言語対応の予約システムを組み込んだWEBサイトを、コンサルタント会社に発注して開発した。サイトはトップページ、宿泊プラン、館内施設、観光案内、よくある質問、外国語サイトページなどで構成した。プロのカメラマンにより料理・外観・内観の撮影を3日間で実施した。温泉施設には水処理装置ピュアキレイザー(洗浄・除菌水処理装置)を、浴槽別に大浴場へ合計3台設置した。試運転では機械の警報停止が発生したためプログラムの設定を変更し、簡易キットによる自社測定と外部検査機関による水質検査を行った。従業員延べ20名が実際に入浴して肌触りなどを確認した。

  • その他ピュアキレイザー洗浄・除菌水処理装置
  • ソフト多言語対応WEBサイト・予約システム

事業の効果

英語、韓国語、中国語(繁体字・簡体字)、タイ語での表示が可能なWEBサイトを構築し、海外からの個人旅行者を獲得するツールとして活用できるようになった。Googleの分析ツールで閲覧言語やアクセスを把握し、需要の動向を探れるようになった。ピュアキレイザーの導入によりレジオネラ菌等の除菌を行い、安心して利用できる温泉サービスを提供できるようになった。塩素の使用量を大幅に減らし、換水と清掃の回数も減ったことで水道光熱費を含め年間198万円相当のコスト削減を見込んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.3 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性外国人宿泊者が前年度比約3倍、売上の約5%を占める点や、外国語表記が一切ない課題が示され、外部環境と自社の状況を踏まえている。
  • 4
    課題の認識と解決築54年の設備劣化とレジオネラ菌リスクという課題を認識し、ピュアキレイザー導入と多言語サイトで解決を図る計画が示されている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標換水を毎日から週1回にし、年間198万円のコスト削減を見込むなど数値目標が示され、実現性がうかがえる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献多言語WEBやアクセス解析は使われているが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献としては記述が弱い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の取組との一貫性は読み取れず、外国人宿泊者増加への対応としてWEB多言語化を位置づけている点は示されるが、経営戦略上の明確な位置付けは薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    外国人宿泊者が前年度比約3倍、売上の約5%を占める点や、外国語表記が一切ない課題が示され、外部環境と自社の状況を踏まえている。

  • 課題の認識と解決4

    築54年の設備劣化とレジオネラ菌リスクという課題を認識し、ピュアキレイザー導入と多言語サイトで解決を図る計画が示されている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    換水を毎日から週1回にし、年間198万円のコスト削減を見込むなど数値目標が示され、実現性がうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    コンサルタント会社への発注や従業員延べ20名による検証は記載があるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力の記述は限定的。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    多言語表記や予約連携で海外個人旅行者に選ばれる理由が示され、アクセス数約1.59万名など需要の裏付けも読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    撮影・確認・試運転・水質検査という工程は書かれるが、スケジュールや中長期の課題検証の記述は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    タイ語表記のWEBシステムは全国的に例がないと示され、温泉のブランド力向上にも触れているが、市場の普及度の定量的根拠は乏しい。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    外国人旅行者の増加や国内市場縮小への対応が述べられ、地域の雇用促進にも触れるが、波及効果の具体的数値は示されていない。

  • 費用対効果4

    年間198万円の削減見込みや、換水回数の減少、閲覧ページ数4.49(日本人平均3.63)など費用対効果を示す数値がある。

  • イノベーションへの貢献2

    多言語WEBやアクセス解析は使われているが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献としては記述が弱い。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    湯の山温泉の地域特性を活かし、ロープウェイや近隣観光名所への誘導を図る点が示されるが、地域成長への波及は具体性が薄い。

今後の展望

今後も機能や言語を追加し、さらに広い地域からの新規顧客獲得を目指す。日本食や温泉の魅力、ペットと泊まれる宿などの新しい魅力も発信していく。新卒採用を毎年積極的に行い、地域の雇用促進と労働条件の改善による従業員満足度の向上につなげる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。