ものづくり補助金平成27年度製造業三重県

圧搾工程の改善・設備導入により、熟練作業の標準化、圧搾率向上への取組み

下津醤油株式会社

成果充填・圧搾作業時間 230分→199分

この事例のポイント

  • 圧搾工程は熟練工と未熟練者で作業時間や圧搾率が異なり、圧搾スキルを持つ者が少ない。
  • 諸味の自動充填装置を導入し、従来の一点への充填とへらを使った手作業の均し作業を置き換えた。
  • 充填・圧搾作業時間 230分→199分。諸味の自動充填により作業時間が短縮され、一般作業員でも平均3時間19分で充填・圧搾作業を完了できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名下津醤油株式会社
所在地三重県 三重県津市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数20人
資本金1,000万円

事業の背景

当社は地元原料を用いた麹づくりから行う高付加価値醤油や醸造技術による調味液を製造している。取引先の要望に応じたオリジナル調味液やたれの開発でも評価を得ている。自社製品の製造工程で最も重要で熟練が求められるのは圧搾工程(諸味を搾る工程)であり、作業する者によって収率が異なる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能圧搾工程は熟練工と未熟練者で作業時間や圧搾率が異なり、圧搾スキルを持つ者が少ない。
  • 人手・技能将来に備えて圧搾スキルを持つ人材を増やす必要がある。
  • 品質・精度諸味の充填を一点に行い、へらで均一に伸ばす手作業のため、作業時間と圧搾率がばらつく。
  • その他諸味の充填時にノズルから諸味が飛び散り、作業者の帽子に落ちたり作業空間が汚れたりする。

やったこと

諸味の自動充填装置を導入し、従来の一点への充填とへらを使った手作業の均し作業を置き換えた。諸味自動充填により充填ノズルからの飛び散りを抑え、作業空間を清潔に保てるようにした。諸味加温装置を導入し、圧搾前に屋外タンクで諸味を加温する作業を不要にして、諸味熟成を最終まで低温で行えるようにした。加温に用いる温水の蒸気使用量を削減するとともに、加温期間のうちB期間をなくしてA期間のみとし、年間を通じて安定した加温を行えるようにした。

加工機諸味自動充填装置
その他諸味加温装置

事業の効果

  • 充填・圧搾作業時間 230分→199分
  • ろ布破れ枚数(丸大豆醤油) 21.4枚→11枚
  • ろ布破れ枚数(伊勢醤油) 9.8枚→6.5枚
  • 平均圧搾率(丸大豆醤油) 75.4%→76.8%

諸味の自動充填により作業時間が短縮され、一般作業員でも平均3時間19分で充填・圧搾作業を完了できるようになった。ろ布の破れが減少し、丸大豆醤油では圧搾率が1.4%、伊勢醤油では0.8%向上した。圧搾スキルの取得期間も半日程度の研修で済むようになり、熟練工程が標準化されて熟練工の高齢化への対応策ができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    圧搾工程が自社製品の最重要・熟練工程と位置づけられ、標準化を図る取組みとして一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置づけの記載は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    高付加価値醤油や対応力での評価、全国品評会での上位賞受賞がうかがえるが、市場動向や競争優位との関係の記述は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    熟練工の高齢化や収率の不安定さという課題を示し、作業時間3時間50分から3時間19分、圧搾率1.4%向上などの数値で成果を示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    作業時間の目標3時間10分に対し実績3時間19分、圧搾率向上の目標に対する実績が数値で示されており、目標の達成度が具体的に読み取れる。

  • 事業を進める体制3

    製造部の作業員が半日の研修でスキル取得できたと記載があるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客ターゲットや選ばれる理由は、大手需要家との取引開始や販路拡大の見込みとして書かれているが、ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    3年内に新たな圧搾スキル取得者を育てる計画やB期間の解消など、今後の展開は書かれているがスケジュールの詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    丸大豆醤油などの高付加価値醤油を扱う点は読み取れるが、市場での普及度や高価格化の具体的数値は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地元原料を用いた製造という特色が示される程度で、経済波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は記載がない。

  • 費用対効果4

    作業時間の短縮や圧搾率向上、ろ布破れ削減など複数の数値的効果が示され、費用対効果を推測できる記載がある。

  • イノベーションへの貢献2

    自動充填装置など設備導入による工程改善は読み取れるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献の記述はほぼない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    地元原料を用いた醸造という地域特性はうかがえるが、地域の雇用や経済成長への牽引効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

工程改善による品質向上や作業時間短縮により、従来取引が叶わなかった大手需要家との取引開始や販路拡大を見込んでいる。3年以内に新たな圧搾スキル取得者を育て、現作業者は圧搾工程以外のスキルも身につけられるよう人材育成を図っていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。