ものづくり補助金平成27年度農業、林業滋賀県

原木椎茸を使用した「椎茸パウダー」の商品化及び製造環境の改善

成果草刈り作業の所要日数 14日→2日

この事例のポイント

  • 原木椎茸は栽培に時間と手間がかかり高価で、乾燥にも時間がかかるため、量産が難しい。
  • 電気式の食品乾燥機を導入し、ボイラー式より短時間で原木椎茸の風味と栄養価を保持したまま乾燥できるようにした。
  • 草刈り作業の所要日数 14日→2日。電気式乾燥機と製粉機により、原木椎茸の風味と栄養価を保ったまま乾燥粉末を生産できるようになった。

事業者のプロフィール

所在地滋賀県 高島市
業種農業
従業員数2人
設立2014年

事業の背景

生椎茸の賞味期限は5〜7日で、ほとんどが直売所での販売にとどまっている。国内で販売される椎茸の88%は菌床椎茸が占め、化学農薬や化学肥料を使わずに栽培した原木椎茸は高価になる。乾燥椎茸は料亭などでしか需要がなく、一般家庭での利用が限られていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力原木椎茸は栽培に時間と手間がかかり高価で、乾燥にも時間がかかるため、量産が難しい。
  • 品質・精度ボイラー式乾燥は温度管理が難しく乾燥ムラが生じ、長時間の熱風で風味や栄養価が損なわれる。
  • 人手・技能原木の伐採に必要な下草刈りに2週間を要していた。
  • コスト・採算乾燥椎茸は水で戻すのに5時間ほどかかり、戻すと椎茸臭さが強くなって若年層に敬遠される。
  • 品質・精度乾燥粉末は空気との接触で酸化して品質が劣化し、粉末にすると色が茶色くなって商品価値が損なわれる。

やったこと

電気式の食品乾燥機を導入し、ボイラー式より短時間で原木椎茸の風味と栄養価を保持したまま乾燥できるようにした。高速ミル(製粉機)で固形分を残さず微細な粉末にし、直接料理に使えるようにした。真空包装機を導入して酸素を遮断し、商品の長期保存を可能にした。大型食品保冷庫を導入し、3℃で保管して4日分の収穫量を収容できるようにした。大型草刈機を導入し、草刈り作業を2週間から2日間に短縮した。

加工機電気式食品乾燥機
加工機製粉機(高速ミル)
加工機真空包装機
その他大型食品保冷庫
その他大型草刈機

新しい製品・サービス:原木椎茸を乾燥粉末にした「原木椎茸パウダー」

事業の効果

  • 草刈り作業の所要日数 14日→2日
  • 原木椎茸の品質劣化が始まるまでの時間 4時間→96時間
  • 大型食品保冷庫の導入により、4日分の収穫量の収容が可能になった。

電気式乾燥機と製粉機により、原木椎茸の風味と栄養価を保ったまま乾燥粉末を生産できるようになった。粉末は固形分が残らず、水で戻す手間なく料理に直接使え、椎茸臭さも出ないため、家庭や子供、介護現場での需要拡大が見込まれる。真空包装機と保冷庫により品質劣化を抑え、長期保存と安定的な生産が可能になった。草刈り作業の大幅な時間短縮により原木の確保も効率化された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    原木椎茸の栽培・乾燥で事業を続けてきた延長として粉末商品化に取り組むと読めるが、過去の取組との連続性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    菌床椎茸が国内シェア88%を占める中、原木椎茸の味・栄養の優位性や若年層の乾燥椎茸離れを踏まえた需要拡大の見込みが具体的に述べられている。

  • 課題の認識と解決4

    乾燥に5時間かかる、椎茸臭さが若年層に嫌われるという課題を、粉末化と電気式乾燥機で解決する計画が示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売上や付加価値額の目標値は示されておらず、量産化や雇用拡大の方向性がうかがえる程度である。

  • 事業を進める体制2

    従業員2人の小規模体制であることは分かるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    直売所で好調な販売実績があり、料理に直接使える利便性や若者・子供への訴求など顧客ターゲットと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    パッケージの小型化や卸先拡大など今後の課題は挙がっているが、スケジュールや解決方法の具体性は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    乾燥椎茸を微細粉末にして一般家庭向けに広げる点は、料亭向け中心だった分野で新たな需要を開く独自性として読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    荒廃する里山の維持や原木栽培廃業者の雇用創出に触れており、地域への波及効果がうかがえるが定量的な記述はない。

  • 費用対効果2

    草刈り作業が2週間から2日に短縮されたとあるが、投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    電気式乾燥機や製粉機の導入は示されるが、先端的デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    高島市マキノ町の里山維持や原木買取による雇用拡大を掲げ、地域の特性を活かした事業であることが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

道の駅などの直売所での販売は好調で、卸先を増やす予定である。若者向けのパッケージや販路を工夫して市場拡大を図る。より小さい包装にし、高齢層にも若者にも訴求できるデザインを考案する必要がある。原木を買い取って里山を維持するとともに、事業拡大で雇用を増やし、廃業する原木椎茸栽培者の雇用も考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。