ものづくり補助金平成27年度製造業京都府

研削加工の生産性向上による5φ以下の極細パンチ市場への本格参入

株式会社名工技研

この事例のポイント

  • 自動車部品やスマホ部品の小型化により、径5φ以下の極細パンチピンの製造依頼が増えていた。
  • 自動機の開発により24時間完全無人化を実現し、休日も含めた連続稼働を可能にした。
  • 研削加工の完全無人化により安定した品質を獲得し、海外など競合品との差別化を図れた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社名工技研
所在地京都府 京都市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数6人
資本金300万円
設立2012年

事業の背景

平成24年に金型メーカー出身の現代表が創業し、自動車部品製造用の冷間鍛造用金型工具を製造・販売している。主要取引先は自動車部品製造会社と建築関係である。自動車業界などでは部品の小型化・高機能化が進み、極細パンチピンの製造依頼が増加していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力自動車部品やスマホ部品の小型化により、径5φ以下の極細パンチピンの製造依頼が増えていた。
  • 人手・技能加工後に作業者が全数公差測定を行い、都度プログラムを補正してから次の対象物をセットするため、1時間程度のサイクルごとに専任の作業者が必要だった。
  • 生産能力約15分ごとに機械が停止し、機械温度の変化で金属が収縮して加工精度にも影響が出るため、生産性が低かった。
  • 品質・精度長さ300mmに達する超極細形状はたわみや振動、温度変化で変形しやすく、規格外れの製品が多く、品質の安定と生産本数の増加を同時に実現することが困難だった。
  • 生産能力お客様から現状の月産300本を3倍以上の1,000本に増産してほしいという要望があった。
  • 新製品・新技術一般的な研磨用砥石は製品1本程度ごとにメンテナンスが必要で、長時間の無人連続使用でも研磨力が衰えない砥石が求められた。

やったこと

自動機の開発により24時間完全無人化を実現し、休日も含めた連続稼働を可能にした。加工対象物のセット替えを行うロボットと、正確な自動測定機を装置に組み込んだ。従来の平面研削の段階的研削(トラバース研削)ではなく、1回の低速研削で複雑形状を仕上げるクリープフィード研削を採用し、装置会社と何度も協議して標準仕様では足りないパワーを限界まで引き出した。研磨材の集中密度や形状、接着剤の種類をメーカーの技術者と共同で研究し、高性能と高耐久性を兼ね備えた専用砥石を開発して200本以上の連続加工を可能にした。さらにモニタリングシステムやクーラント液を工夫し、完全無人化対応のオリジナル研削機を完成させた。

加工機無人研削装置
ロボット加工対象物をセット替えするロボット
検査測定自動測定機

新しい製品・サービス:径5φ以下の極細パンチピン

事業の効果

研削加工の完全無人化により安定した品質を獲得し、海外など競合品との差別化を図れた。お客様からさらなる信頼を得ることができた。無理に加工速度を上げず、十分な加工時間を確保して品質を作りこむことに重点を置いている。自動化によって作業者を付加価値の高い仕事に振り向けられるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成24年創業の金型メーカーが、高耐久性砥石を強みに研削工程の無人化で極細パンチピン市場へ参入する流れが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    顧客の小型化ニーズと月産300本を1,000本へ増産する要望、社内の高耐久砥石の強みが具体的に示され、競争優位の根拠がある。

  • 課題の認識と解決4

    段取り時の15分停止や温度変化による精度低下、全数公差測定という課題を特定し、無人化装置で解決する計画が書かれている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    月産300本を1,000本に増やす目標が示されているが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員6人の体制と、機械と従業員の役割分担・権限移譲の方針は書かれているが、事務処理体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    小型化ニーズ、300mm超の超極細形状、海外競合との差別化による安定品質という選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    砥石の共同開発や装置会社との協議など段階的な進め方は読めるが、スケジュールや中長期の検証は示されていない。

  • 財務と資金の調達2

    資本金3,000千円で資金事情に触れる程度で、金融機関からの調達見込みは公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    5φ以下の極細パンチピンを対象とし、一般的に普及していない高精度の超極細工具分野への参入であることが読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    自動車・スマホ部品の小型化対応という産業面の意義はうかがえるが、国が補助する波及効果や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    増産目標や品質向上は書かれているが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    砥石の共同開発や自動化は書かれているが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献の記述はわずかにうかがえる程度。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    京都市伏見区の企業であることは分かるが、地域特性を活かした雇用や地域経済への波及は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

従業員への利益配分方針を公表し、明るく清潔な工場環境を整えるとともに、利益を生む工夫を従業員と共に進めていく。資金事情が許す限り新しい設備を積極的に導入し、品質・コスト・納期のすべてに優れた企業を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。