ものづくり補助金平成27年度製造業京都府

シルクスクリーン製版システム導入による高速化及び歩留まり改善事業

吉樂株式会社

この事例のポイント

  • 外注で行っていた製版の納期対応に時間がかかり、増産体制の整備と生産能力の増強が必要になっていた。
  • ダイレクト製版システムを導入し、フィルムを使わずコンピューターから直接出力することで細線や網点の再現性を高めた。
  • 製版工程の強化により、これまで以上の品質レベルを実現するとともに、即納力とコスト削減が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名吉樂株式会社
所在地京都府 京都市
業種繊維工業
技術分野デザイン,製造環境
従業員数14人
資本金3,000万円
設立2008年

事業の背景

当社は繊維加工業を営む実家から平成20年に個人事業として独立し、高級婦人服のプリント加工を中心に技術を蓄積した。その後アパレル市場は流行の影響を受けやすく、リーマンショックや東日本大震災の影響もあり市場が低下したため、小ロット・短納期対応やイベント用ウエア、グッズなどへ事業転換を進めた。主要取引先は衣料雑貨販売会社、衣料メーカー、雑貨メーカーである。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力外注で行っていた製版の納期対応に時間がかかり、増産体制の整備と生産能力の増強が必要になっていた。
  • 品質・精度サーマルプリンター製版は耐久性が低く再使用できず、繊細な表現やキリッとした線の表現も難しかった。
  • コスト・採算紗の張替えを外注しており、製版の外注加工を含めて製版完了まで時間がかかり、小ロット加工で利益を得にくかった。

やったこと

ダイレクト製版システムを導入し、フィルムを使わずコンピューターから直接出力することで細線や網点の再現性を高めた。製版枠の乾燥能力を上げるため製版枠乾燥機を導入し、紗の張替えを自社で行うため紗張りシステムを導入した。自走式ヒーター付き高速捺染設備によりプリント能力を倍増させた。製版工程の改善により、熟練職人による張合わせ作業が不要となり、不良率の改善も期待できるようになった。

検査測定ダイレクト製版機
加工機製版枠乾燥機
加工機紗張りシステム
加工機自走式ヒーター付き高速捺染設備

新しい製品・サービス:インクジェットプリンターによる凹凸のある部位や素材へのプリント加工

事業の効果

製版工程の強化により、これまで以上の品質レベルを実現するとともに、即納力とコスト削減が実現した。製版枠の再利用も可能になり、リピートオーダーによる売上と利益が順調に伸びた。平成29年には法人化するに至った。製版枠の再利用や不良率改善の効果も期待される。従業員の育成や女性従業員の採用など社内体制も強化された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    高級婦人服のプリント技術蓄積から小ロット・短納期対応へ事業転換した経緯が書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    「プリント表現の限界点の拡張」「即応力」など強みは書かれるが、市場動向との関係を定量的に示す記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    製版工程がボトルネックと特定され、ダイレクト製版機と紗張りシステム導入で即納力とコスト削減を実現したと具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売上・利益が順調に伸びたとあるが、付加価値額や賃上げの目標値や数値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    熟練職人と画像ソフトを扱う女性従業員の採用など体制の記述はあるが、事務処理能力の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高級ブランド向け繊細な加工と難加工素材への対応という価値と、お客様からの評価が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    インクジェットプリンター導入や紙製品への展開など今後の方向性はあるが、スケジュールや解決方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    凹凸素材や細線表現への対応など、同分野で高品質を図る取組と読み取れるが、市場水準との比較は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域の雇用や若い世代の活躍の場づくりに触れるが、波及効果の数値や国が補助する理由の説明は薄い。

  • 費用対効果2

    製版の不良率改善や利益増加が期待されると書かれるが、補助金額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ダイレクト製版などデジタル技術の活用は書かれるが、サプライチェーンへの貢献や新ビジネスモデルの記述は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    京都の繊維加工事業者として若い世代の雇用を生んでいる点はうかがえるが、地域特性を活かした記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

インクジェットプリンターを活用し、紙製品など幅広い素材や商品へのプリント加工を広げるとともに、素材やプリント技術の提案を行い企画から関わる事業を広げていきたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。