ものづくり補助金平成27年度卸売業、小売業京都府

海産物のサービス提供プロセスの改善とブランド力強化事業

平七水産株式会社

この事例のポイント

  • 店舗面積が十分でなく冷凍食品や加工食品の取り扱いが少なかったため、来店客に売る商品が売り切れる状況が度々起きており、機会損失が生じていた。
  • 間人の玄関口にあたる場所を確保して新店舗へ移転し、ゆったり買い物ができる売り場を確保するとともに、大きなショーケースで商品を選べるよう店内の配置を考えた。
  • 新店舗への移転と設備導入により、お客様に提供できる商品ラインナップを大きく増やすことができた。

事業者のプロフィール

事業者名平七水産株式会社
所在地京都府 京丹後市
業種飲食料品小売業
従業員数12人
資本金3億円
設立1996年

事業の背景

丹後町間人で江戸時代から百年以上にわたり水産物を扱ってきた会社で、店舗での一般小売、料理旅館、中央市場への出荷、インターネット販売を行い、間人本店とショッピングセンターマイン店の2店舗で営業している。主力は間人ガニをはじめとする鮮魚と干物などの加工品である。間人のセリ場が新設される計画が発表され、新店舗予定地は直線道路で結ばれて集客が見込める立地だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑店舗面積が十分でなく冷凍食品や加工食品の取り扱いが少なかったため、来店客に売る商品が売り切れる状況が度々起きており、機会損失が生じていた。
  • 集客・繁閑地域に一般客を対象とした小売店がなく、品ぞろえを充実させることが長年の課題だった。
  • 生産能力品ぞろえの拡充には冷凍設備や大量の冷凍保管庫、陳列・保管場所が必要だが、古い自社設備ではこれらの課題を解決できなかった。
  • 品質・精度不漁や悪天候で仕入れが不安定になるため冷凍保存が必要だったが、冷凍方法によって食材が劣化する懸念があった。

やったこと

間人の玄関口にあたる場所を確保して新店舗へ移転し、ゆったり買い物ができる売り場を確保するとともに、大きなショーケースで商品を選べるよう店内の配置を考えた。店舗裏に加工場を設置し、冷凍設備としてリキッドフリーザーを導入した。リキッドフリーザーは従来のエアーブラスト方式の20倍の速度で冷凍でき、冷凍しても細胞が傷つかずドリップ(うま味や栄養分の流出)が出にくいため選定した。液体中で冷凍するため真空包装が必要となり、多用型真空包装機も導入して真空包装のまま冷凍保存できるようにした。締めた魚の身や白身魚・赤身魚など様々な食材で実験を行い、ドリップがほとんど出ず身の質感や味が冷凍前と変わらないことを確認した。

加工機リキッドフリーザー
加工機多用型真空包装機

新しい製品・サービス:新ブランド「瞬冷」商品(冷凍販売に適した魚介類を瞬冷ブランドとして販売)

事業の効果

新店舗への移転と設備導入により、お客様に提供できる商品ラインナップを大きく増やすことができた。新ブランド「瞬冷」商品は評判が高く、リピートで購入するお客様もおり、地元でも認知度が高まりつつある。瞬冷商品の売上は会社全体ではまだ1割に満たないが、事業当初の計画は大きく超えた。来店客に売るものがない状況はなくなり、新鮮な魚介類をいつでも自信をもって提供できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    江戸時代から百年以上続く水産販売の歴史は読めるが、本事業の位置づけは経営戦略として明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    新店舗予定地が新設セリ場と直線道路で結ばれ集客が見込める立地と書かれ、外部環境への言及はあるが強み・弱みの分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    売り場面積不足と冷凍品の取扱い少なさ、機会損失が課題と具体的に示され、リキッドフリーザー導入でその解決を図っている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値増加の目標値は示されず、事業当初の計画を大きく超えたとあるが数値はない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    瞬冷ブランドとして冷凍に適した魚介類を販売し、ドリップが出ず食感や味が冷凍前と変わらない点を顧客の選ぶ理由として示している。

  • 事業化までの道筋4

    新店舗移転と設備導入の順序、今後の販売拡大・店舗増設・中継拠点設置の検討などの展開が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    リキッドフリーザー方式で解凍時のドリップを抑え、冷凍前と変わらない品質の瞬冷商品を開発した点が高付加価値化として示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    間人ガニのブランド化が地域の課題と述べられ地域経済への意義はうかがえるが、雇用や波及効果の数字はない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加数値はなく、計画を超えた販売という定性的記述にとどまる。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    間人の地域特性を活かし、間人ガニや地名のブランド化を進め、地元での瞬冷ブランド認知度向上を示している。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

瞬冷ブランド商品の販売量を増やすため、商品開発に加えパッケージングも含めた商品のブラッシュアップが必要と考えている。計画以上に販売が伸びたため、リキッドフリーザーなどの容量を増やす必要も出てきた。店舗をもう1軒増やすことや、京都市内に中継拠点を設けて料理旅館へ商品を配送することも検討中である。間人ガニのブランドに加え、間人という地名そのものをブランド化していくことも地域の課題として取り組む予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。