ものづくり補助金平成27年度製造業京都府

放射線撮影装置部品の高精度化および新たな供給体制の構築計画

株式会社S h i n S e i

成果スリット幅精度 0.5mm→0.2mm

この事例のポイント

  • 医療用放射線撮影装置のフィルターに求められるスリット幅0.2mm(公差±0.005mm)の精度を、既存のワイヤー放電加工機では熱によるスリット間の溶融のため実現できなかった。
  • マシニングセンタを導入し、高速切削加工を行った。
  • スリット幅精度 0.5mm→0.2mm。マシニングセンタの導入により、フィルターのスリット幅を0.5mmから0.2mmに高精度化し、要求精度を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社S h i n S e i
所在地京都府 京都府宇治市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数34人
資本金5,000万円
設立2004年

事業の背景

当社は金属の精密部品加工を主業務とし、金型製作や金型を用いた成形加工を開発から生産まで一貫して行ってきた。中国や東南アジアの技術向上により国内では空洞化が進み、国内の仕事量が減少し、受注があっても海外生産品と比べて価格が安く抑えられていた。大手メーカーとの取引は安定していたものの、価格は上がらない状況が続いていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度医療用放射線撮影装置のフィルターに求められるスリット幅0.2mm(公差±0.005mm)の精度を、既存のワイヤー放電加工機では熱によるスリット間の溶融のため実現できなかった。
  • 品質・精度既存設備は加工範囲が狭く、薄く撓みやすい材料の固定が難しく、精度を出すことが困難だった。
  • 納期・工程供給可能な納期は15日だったが顧客からは3日という厳しい要求を受けていた。
  • 生産能力歩留まりが非常に悪く、加工後にほとんど手直しが必要で、1枚あたり150時間を要していた。

やったこと

マシニングセンタを導入し、高速切削加工を行った。主軸を高速回転させ送り速度も速くして刃物と材料の接触時間を短くし、切削時の発熱を抑えた。最大18個までの材料をセットできる自動供給装置により材料の着脱を自動化し、段取り替え作業時間を大幅に短縮した。夜間運転も可能になり、夜間作業を行うようになった。加工範囲が広いため材料の固定精度も向上した。

加工機マシニングセンタ
加工機自動供給装置

新しい製品・サービス:スチーム・トラップ製品「Steam REVO」

事業の効果

  • スリット幅精度 0.5mm→0.2mm
  • 1枚あたり加工時間 150時間→50時間

マシニングセンタの導入により、フィルターのスリット幅を0.5mmから0.2mmに高精度化し、要求精度を達成した。加工時間も1枚あたり150時間から50時間に短縮され、夜間運転も含めて要求納期の3日を実現した。加えて、従業員のモチベーションが向上し、多様な人材の採用にもつながり、売上は前年比20%向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    事例は創業以来の精密金属加工から金型・成形一貫体制へ広げた経緯を述べ、一貫性はうかがえるが経営戦略上の位置づけの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国・東南アジアとの価格競争による国内空洞化や、寸法公差の高さ・研究開発から生産までの一貫体制という強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    ワイヤー放電加工の熱によるスリット溶け等の課題を認識し、マシニングセンタ導入で加工時間150時間から50時間への短縮が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    スリット幅0.5mmから0.2mm、納期15日から3日への目標とその達成(50時間、夜間運転で3日)が数字で示されている。付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    研究開発から生産までの一貫体制や従業員34人の体制は読み取れるが、補助事業を遂行する人材や事務処理能力の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医療用放射線撮影装置のフィルター部品について、患者の体格によるレントゲン写真のムラという課題と顧客ニーズの背景が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    ShinSei Labでの開発から生産、放射線装置への展開など今後の計画は示されているが、スケジュールや課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    精密加工で髪の毛の半分ほどの穴をあける加工方法を確立したとあり高度な加工だが、市場の普及度や価格水準の数値は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国内の空洞化や医療業界の成長に触れるが、経済波及効果や雇用創出の国の関与理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果3

    売上が前年比20%向上したと数字はあるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の記述はない。

  • イノベーションへの貢献2

    高精度加工技術の活用や大学・異業種との交流はうかがえるが、サプライチェーンへの貢献は明示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療・放射線分野への進出や開発・提案型企業への転換がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及2

    京都府宇治市・城陽市など地域拠点はあるが、地域の特性を活かした経済成長への寄与は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

医療業界は堅調に市場規模が拡大しており、景気の影響を受けにくく安定した受注が期待できる。放射線はセキュリティーや検査事業にも転用できるため将来性がある。現在は放射線装置そのものの開発製造へも展開している。今後は高精度の加工技術を活かし、開発・提案型企業へ事業展開していく。

  • 目標:従業員の一体感やモチベーション向上、多様な人材の獲得などの成果により、当社の売上は前年比20%の向上を達成した

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。