ものづくり補助金平成27年度製造業京都府

現像工程削減による高品質・高効率な自社一貫生産体制の実現

株式会社たつみ印刷

成果製版処理能力 11版/時間→21版/時間

この事例のポイント

  • 製版現像工程が最大のボトルネックで、処理能力は時間当たり11版しかなく、4色製版では1版あたり30分以上かかっていた。
  • 現像工程を見直し、製版後に印刷機にセットして印刷しながら現像を行う、現像レス版(アルミ板に感光材を事前に塗布したPS版)を使うレーザー焼付製版機を導入した。
  • 製版処理能力 11版/時間→21版/時間。製版待ちがなくなり、繁忙期の従業員の負担が減って働き方改革につながった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社たつみ印刷
所在地京都府 京丹後市
業種印刷・同関連業
技術分野機械制御
従業員数14人
資本金3,000万円
設立1978年

事業の背景

1978年の創業以来、京丹後峰山で地元企業や商店街からチラシ、DM、伝票類などの商業印刷を請け負ってきた。ネットのデジタル化や企業の経費節約志向により印刷市場は縮小し、厳しい外部環境にあった。近隣の印刷加工業者は高齢化と後継者不足で、当社は印刷加工に特化する道を選んだ。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力製版現像工程が最大のボトルネックで、処理能力は時間当たり11版しかなく、4色製版では1版あたり30分以上かかっていた。
  • 人手・技能繁忙期には遅くまで製版待ちが続き、従業員に精神的・物理的な負荷がかかっていた。
  • 品質・精度現像は現像液で洗浄して可視化するアナログ工程で、焼き付けムラが生じ、現像液の廃液処理も課題になっていた。
  • 生産能力中綴じなどの加工を少ロット・短納期で対応できる体制を、印刷工程の生産性を上げながら整える必要があった。

やったこと

現像工程を見直し、製版後に印刷機にセットして印刷しながら現像を行う、現像レス版(アルミ板に感光材を事前に塗布したPS版)を使うレーザー焼付製版機を導入した。同機はメーカーの三菱製紙製(MADIATH TypeM)で、京都では当社が導入第一号だった。導入にあたっては、同社と二人三脚で製版現像工程のマニュアルやルールを作った。サイズや気候条件ごとに何度もテストを繰り返し、最適条件を決めた。版の再使用禁止、限度印刷枚数の把握、印刷中の版の劣化チェックを行い、アルミ製版を採用した。

加工機レーザー焼付製版機(三菱製紙製 MADIATH TypeM)

事業の効果

  • 製版処理能力 11版/時間→21版/時間

製版待ちがなくなり、繁忙期の従業員の負担が減って働き方改革につながった。製版処理能力は時間当たり11版から21版へほぼ倍になり、現像工程の削減により年間約190時間の作業時間が短縮できた。現像液の購入と廃液処理の費用は年間314千円削減でき、現像液の洗浄に使う水道水や現像機の電気も減ってCO2排出量が抑えられた。現像液を使わなくなったことで従業員の健康も守られ、品質面でも高精細なデジタル製版でお客様の満足度が向上した。他市町企業に流出していた受注を取り込み、入札への参入など新たな受注につながる可能性も広がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の商業印刷業から印刷加工特化への方針が述べられ、過去の取組との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    印刷市場縮小や近隣加工業者の高齢化・後継者不足を外部環境として挙げ、一貫生産体制という自社の強みを活かす選択を具体的に説明している。

  • 課題の認識と解決5

    製版待ちによる負荷と現像工程のボトルネックを課題として明示し、導入で時間当たり11版から21版へと処理能力が約2倍になったと数字で示している。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    導入後の処理能力21版/時(導入前11版/時)、年間約190時間の作業時間短縮、年間314千円の費用削減など、数値目標と成果が具体的に示されている。

  • 事業を進める体制3

    メーカーと二人三脚でマニュアル・ルールを作成したと記載があるが、社内の人材や事務処理体制についての記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    短納期・小ロット・高品質なデジタル高精細製版という価値と、地元企業や商店が顧客であることが具体的に述べられている。

  • 事業化までの道筋3

    導入時の版の強度問題に対し再版禁止や限度枚数把握などの対応を行ったと書かれ、課題解決方法はあるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    レーザー焼付製版と現像レス方式の採用は記載されるが、同分野での高付加価値化・高価格化を示す記述は乏しい。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域の基幹産業である丹後ちりめんの需要喚起や地域情報誌に触れ、地域貢献はうかがえるが、国が補助する積極的理由は示されていない。

  • 費用対効果4

    投資に対し処理能力2倍、年間190時間の時間短縮、年314千円の費用削減、CO2抑制が数値で示され、費用対効果がうかがえる。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタル高精細製版の導入や環境配慮は述べられているが、サプライチェーンや地域全体へのイノベーション貢献は具体的に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    丹後地域の印刷製造拠点として地域の基幹産業に関わる取組が述べられ、地域性はあるが、雇用創出や経済成長への定量的効果は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

中綴じ製本、無線綴じ製本、紙折加工など様々な印刷物の加工に積極的に取り組み、需要の見込める加工を広げる。入札などへの参入も進める。コロナ禍で受注が減るなど厳しい経営環境は続くが、働き方改革や必要な設備投資を進め、さらなる生産性向上と筋肉質な経営を目指す。地域の印刷加工の製造拠点として永続的に事業を続ける考えだ。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。