ものづくり補助金平成29年度製造業三重県

小ロット短納期複写伝票の製造ライン構築と市場の醸成

富士印刷株式会社

成果リードタイム 162分→36分

この事例のポイント

  • 増加している少部数の複写伝票の需要に対し、既存の製造ラインはコスト面と納期面で対応できていない。
  • 最新デジタル印刷機を導入し、1冊から70冊までを対象とするオリジナルデザイン対応の小ロット複写伝票の製造に取り組んだ。
  • リードタイム 162分→36分。従来の製造方法と比べて工程が最新デジタル印刷機1台に置き換わり、大幅な工程削減になった。

事業者のプロフィール

事業者名富士印刷株式会社
所在地三重県 三重県四日市市
業種印刷・同関連業
従業員数85人
資本金3,000万円
設立1966年

事業の背景

同社は1966年にビジネスフォームを製造する会社として創業し、印刷技術の革新を業界に広げてきた。その後はビジネスフォームを基盤に商業印刷やパッケージ印刷へ事業を広げた。しかし近年はWEBの発達や電子商取引の増加により帳票需要が減り、発注の小ロット化が進んで採算が悪化している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力増加している少部数の複写伝票の需要に対し、既存の製造ラインはコスト面と納期面で対応できていない。
  • コスト・採算主力のビジネスフォームは帳票需要の減少により発注が小ロット化し、採算が合わなくなっている。
  • 品質・精度従来のデジタル印刷機では複写伝票に必要な上用紙と下用紙の印刷位置精度が出ず、複写伝票の印刷はできなかった。

やったこと

最新デジタル印刷機を導入し、1冊から70冊までを対象とするオリジナルデザイン対応の小ロット複写伝票の製造に取り組んだ。新たな印刷機は低速モードで印刷することで位置精度を十分確保できることをメーカーテストで確認し、薄紙印刷への対策も行ったためノーカーボン紙の薄さにも対応できるようにした。複写伝票の欄が複写されないよう、ホワイトトナーコートとオリジナル地紋デザインを組み合わせた新しい減感加工を開発した。顧客が色を選べるよう、2色掛け合わせカラーチャートを作成し試作した。

加工機最新デジタル印刷機

新しい製品・サービス:2色掛け合わせカラーチャートから顧客が色を選択できるサービスと、ホワイトトナーとオリジナル地紋デザインを組み込んだ新しい減感加工。

事業の効果

  • リードタイム 162分→36分

従来の製造方法と比べて工程が最新デジタル印刷機1台に置き換わり、大幅な工程削減になった。リードタイムは77%削減、コストは80%削減となり、コスト面と納期面で競争力を持てるようになった。小ロット納品により顧客は手書きの手間や在庫管理の負担を減らせ、広告やクーポンを印刷した伝票による新たな販売促進サービスも提供できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    事例は帳票需要減少と小ロット化で採算が悪化した既存事業の課題から、デジタル印刷機導入を核とした新製造ラインを構想しており、過去の製版・印刷設備投資の歴史との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    帳票使用量減少による小ロット化を背景に、2色掛け合わせカラーチャートや新しい減感加工で市場の潜在需要を掘り起こす差別化を具体的に記載している。

  • 課題の認識と解決5

    従来162分が36分になり77%削減、コストは80%削減と数値で課題解決効果を示し、付加価値化として広告機能つき帳票を提案している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    賃上げや付加価値額の具体的な目標値は読み取れず、リードタイムやコストの削減率のみ記載されている。

  • 事業を進める体制3

    熟練技術者の在籍やデータハンドリング・出力スキルを既に保有すると記載があるが、人員数や体制の詳細は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    既存顧客・新規顧客、支店を多く持つ会社、商業印刷の顧客など対象が明確で、プレ印刷や小口分割納品の利点が具体的に説明されている。

  • 事業化までの道筋3

    新製造ラインの工程置換や低速モードでの位置精度確認など方法は示されるが、スケジュールや中長期の検証の記載は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ノーカーボン紙向けの新しい減感加工とオリジナル地紋、2色掛け合わせ選択システムは同分野で差別化された高付加価値化を図る内容として読み取れる。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    地域経済への波及や雇用創出など国が補助する積極的理由は直接記載されず、わずかに業界への技術普及の記述がうかがえる程度。

  • 費用対効果4

    工程数の削減、リードタイム77%削減、コスト80%削減など費用対効果を示す数値が具体的に記載されている。

  • イノベーションへの貢献4

    最新デジタル印刷機による工程統合や課金システムを用いたサービス提案で、デジタル技術の活用による新ビジネスモデルが読み取れる。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    帳票需要の減少とデジタル化の進展は背景として触れられるが、成長分野への進出による構造転換の記述は限定的。

  • 地域経済への波及2

    四日市の地域企業であることは示されるが、地域特性を活かした雇用創出や地域経済牽引の記載は見られない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

既存取引先からの小ロット受注を本事業の生産方式へ切り替えるとともに、潜在需要を掘り起こす。小ロット対応によりパーソナルで付加価値の高いサービスを提案し、ビジネスフォーム事業全体のボトムアップを図る。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。