ものづくり補助金平成27年度製造業大阪府

町工場が挑む、高級シンバルの本場・米国への逆上陸作戦

株式会社 小出製作所

成果1日の処理量 1倍→1.5倍

この事例のポイント

  • 当初は材料の分析や素材供給メーカーの探しでつまずき、製造方法や材料の改良、音や響きの追求に多くの時間を費やした。
  • 大阪合金工業所との素材開発により、新しい素材を使ったシンバルの製造を進めた。
  • 1日の処理量 1倍→1.5倍。新しい熱処理炉により温度ムラが解消され、大型シンバルを厳格な温度管理で処理できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 小出製作所
所在地大阪府 大阪市
業種金属製品製造業
技術分野デザイン,精密加工
従業員数3人
資本金3,000万円
設立1947年

事業の背景

当社は創業以来、へら絞りの技法で鍋や釜などの家庭用容器や写真引き伸ばし機のランプ収納部などを製作してきた。現在の主力製品は業務用洗濯機の部品、鉄道車両の空気バネ部品、天然ガスタンク向け部品である。1960年代には楽器メーカーの依頼で入門者向けの真ちゅう製シンバルを製造していた。平成22年頃、銅合金用地金を製造する大阪合金工業所から材料供給の申し入れがあり、これがシンバル開発の転機となった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術当初は材料の分析や素材供給メーカーの探しでつまずき、製造方法や材料の改良、音や響きの追求に多くの時間を費やした。
  • 品質・精度既存の熱処理炉は大きなサイズの原板を熱すると温度ムラが生じ、不良品の発生率も高かった。
  • 人手・技能ロゴマークのプリントはシルク印刷の手法を使い手作業で行っており、湾曲したシンバルの表面に美しく印刷することが難しかった。
  • 生産能力海外販売に向けて量産体制を確立することが課題だった。

やったこと

大阪合金工業所との素材開発により、新しい素材を使ったシンバルの製造を進めた。直径22インチの大型シンバルの加工ができる熱処理炉を新たに導入した。新しい熱処理炉は3層構造で大型シンバルを入れても余裕があり、温度管理も厳格にできる。パッド印刷機を導入し、シンバル表面へのロゴマーク印刷を自動化した。これにより湾曲したシンバルの表面にも美しいプリントが施せるようになった。

その他熱処理炉
その他パッド印刷機

新しい製品・サービス:直径22インチの大型シンバル(小出シンバル)

事業の効果

  • 1日の処理量 1倍→1.5倍

新しい熱処理炉により温度ムラが解消され、大型シンバルを厳格な温度管理で処理できるようになった。1日の処理量は従来の炉と比べて1.5倍に増えた。パッド印刷機の導入により、ロゴマークの印刷が自動化され、湾曲したシンバル表面にも美しいプリントが施せるようになった。これらにより海外販売に向けた生産体制が整い、国内では小出シンバルのブランドで製品を販売し、有名音楽家からも支持を集めている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来のへら絞り技術とシンバル開発の経緯が書かれ、今回の補助金は海外販売に向けた量産体制確立が目的と明記されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    米国メーカーが75%のシェアを持つ市場で、へら絞りの技術と素材メーカーとの共同開発を強みとして、10%獲得を目標にしている。

  • 課題の認識と解決5

    温度ムラによる不良率の高さを課題として挙げ、新熱処理炉導入で1日の処理量が従来の1.5倍に増えたと具体的な数字で示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    世界生産量の10%獲得という目標はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現性の根拠も示されていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員3名の体制で、今後はスタッフを増やしたいと述べられているが、補助事業を遂行する人材計画の具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    「どこにもない個性的な音」という製品価値と、有名音楽家からの支持、国内での小出シンバルのブランド販売が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    作業工程の自動化をさらに進めることや、大型放射光施設での試験継続は書かれているが、遂行スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    高シェアの米国メーカーが支配する市場に、すずの含有量を高めた複雑な音の素材など高付加価値品で割って入ろうとしている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    日本から世界に発信するという趣旨は書かれるが、雇用創出や川上川下への波及効果など国が補助する理由は明確でない。

  • 費用対効果2

    補助金額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数字は書かれておらず、生産性は1.5倍の処理量のみが示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    大学や研究機関、素材メーカーとの産官学連携による素材開発や、大型放射光施設での分析が書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    海外市場への進出は書かれているが、市場成長分野への転換や日本経済の構造転換に資する内容は読み取れない。

  • 地域経済への波及2

    大阪市内に所在することは書かれるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済への波及効果は具体的に述べられていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は作業工程の自動化をさらに進め、量産体制を確立するためスタッフも増やしたい。世界のシンバル生産量は月間約4万枚とされ、その10%を獲得することが目標である。

事業者の声

大阪合金工業所のおかげで新しい素材を使え、どこにもない個性的な音が出るシンバルが作れるようになった。これを日本から世界に発信していく

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。