ものづくり補助金平成27年度製造業大阪府

精密インサート成形部品に強み、金型から組立まで一貫生産

株式会社 Ring

成果加工精度 0.3mm→0.1mm

この事例のポイント

  • 金属メッシュを円筒形部品の端面に溶接して製造しており、溶接工程に手間とコストがかかっていた。
  • 金属メッシュを溶接せずに円筒形部品へインサート成形するため、縦型ロータリー成形機と多関節ロボットを使った新インサート成形ラインを導入した。
  • 加工精度 0.3mm→0.1mm。新インサート成形ラインの導入により、加工精度が±0.3mmから±0.1mm以下へと向上し、安定して維持できるようになっ…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 Ring
所在地大阪府 八尾市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野精密加工
従業員数95人
資本金1,000万円
設立1989年

事業の背景

平成元年にプレス金型製造業として創業し、その後プレス、射出成形、組立へと業容を広げて、現在は金型製造から部品組立までの一貫生産体制を構築している。高品質・高効率・短納期の供給体制が評価され、電子部品、自動車、医療機器などの業界大手との直接取引も多い。主な取引先は電子部品メーカー、医療機器メーカー、自動車部品メーカーなど。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算金属メッシュを円筒形部品の端面に溶接して製造しており、溶接工程に手間とコストがかかっていた。
  • 品質・精度従来のフープ工法では、成形時の熱で金属メッシュが収縮し、位置精度を満たせなかった。
  • 品質・精度フープ工法では金属メッシュを切り離す際に一部が飛び出すなどの問題が発生していた。

やったこと

金属メッシュを溶接せずに円筒形部品へインサート成形するため、縦型ロータリー成形機と多関節ロボットを使った新インサート成形ラインを導入した。ロータリー成形機は金型の雌型を2つ配置して交互に入れ替える回転式テーブルを備え、一方の雌型で成形する間にもう一方に金属メッシュをセットして連続加工を実現する。多関節ロボットは、あらかじめ円形に切り離した金属メッシュをピックアップして金型にセットする。金型はカセット方式を採用し、中心部を入れ替えられるため金型の製造期間を短縮した。対象は直径12mmの円筒形部品である。

加工機縦型ロータリー成形機
ロボット多関節ロボット

事業の効果

  • 加工精度 0.3mm→0.1mm
  • 納期 4週間→2.5週間

新インサート成形ラインの導入により、加工精度が±0.3mmから±0.1mm以下へと向上し、安定して維持できるようになった。1個あたりの加工時間はフープ成形の半分まで短縮された。受注後の納期も4週間から2週間半へ短縮し、一部の手作業もほぼ自動化して生産コストの低減にも成功した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    平成元年創業からプレス・射出成形・組立へ事業を広げ、フープ工法の課題を新ラインで解決する流れが一貫して読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    公差±5~50㎛の精密加工と金型から組立までの一貫生産が強みとして示され、大手取引先が多い点も記載がある。

  • 課題の認識と解決5

    位置ずれや金属メッシュ飛び出しなど課題を明示し、加工精度±0.3mm→±0.1mm以下、加工時間半減と数字で成果を示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    納期を受注後4週間から2週間半に短縮した実績はあるが、付加価値額や賃上げに関する目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員95名や一貫生産体制、ISO13485の認証取得は書かれているが、補助事業を遂行する人員配置や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    精密インサート成形と小ロット対応、医療機器向け部品という製品と顧客、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後3点ほどの金属部品の生産挑戦や医療機器向け事業の育成が書かれているが、中長期の検証方法や期間は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    同分野の中で加工精度を±0.3mmから±0.1mm以下へ高めた点が数字で示され、高水準の高付加価値化がうかがえる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国が補助する理由となる波及効果や雇用創出の記述はなく、わずかに医療機器分野への展開がうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    加工時間半減や生産コストの低減が書かれているが、補助金額に対する効果を示す数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    多関節ロボットの活用とクリーンな生産環境は書かれているが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献の記述は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    医療機器向け事業を新しい成長の柱に育てる方針が示され、成長分野への進出がうかがえる。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

精密インサート成形の技術を生かし、まずは3点ほどの金属部品を含む小型精密部品の生産に挑戦する予定である。小型のロータリー成形機を使った微細なコネクターの生産も始め、精密インサート成形技術をさらに磨く考えである。加工の幅を広げるため部品組立も始め、医療機器向け事業を新しい成長の柱に育てる。

事業者の声

多関節ロボットをうまく使えば、スマートフォン用部品のような納期もコストも厳しい仕事にも挑戦できる

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。