ものづくり補助金平成27年度製造業兵庫県

高度研磨設備導入による新商品開発、新市場展開

成果日産生産数 200丁/日→700丁/日

この事例のポイント

  • 肥後守は伝統的な手法で手作りするため生産効率が悪く、現在は納品まで8か月待ちの状態である。
  • 粗研磨工程に新たな研磨設備を導入し、鍛造後に断面を大まかにV字型に研いで鋼の刃を出す作業を機械化した。
  • 日産生産数 200丁/日→700丁/日。粗研磨工程の設備導入により、日産200丁から700丁へと大幅な増産が可能になった。

事業者のプロフィール

所在地兵庫県 兵庫県三木市
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数7人

事業の背景

肥後守は三木の刃物製造技術で作られ、100年以上にわたり製造を続けてきた製品である。最盛期には三木市に約40軒の工房があったが、現在は当社1軒のみとなっている。近年は品質やデザイン性が評価され、国内だけでなくヨーロッパでも人気が高まっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力肥後守は伝統的な手法で手作りするため生産効率が悪く、現在は納品まで8か月待ちの状態である。
  • 生産能力大手通販サイトなどからの新規取引の問い合わせを、生産が追いつかないため断らざるを得なくなっている。
  • 人手・技能製造工程が多い中で熟練職人がすべての工程を行っており、これが生産性を低くしている。
  • 人手・技能粗研磨工程に熟練職人の手が取られており、重要な工程に職人の時間を回せない。
  • 品質・精度粗研磨では圧力が低く複数回の研磨が必要で時間がかかり、モーター回転のブレもあって不良率が高い。

やったこと

粗研磨工程に新たな研磨設備を導入し、鍛造後に断面を大まかにV字型に研いで鋼の刃を出す作業を機械化した。これにより研磨の回数や時間を減らし、不良率を下げた。その結果、熟練職人は鍛造・焼き入れ・研ぎの重要3工程に時間を多く割けるようになった。設備は熟練職人以外でも操作できるため、若年層の採用や育成にもつながった。

  • 加工機粗研磨用の新たな研磨設備

新しい製品・サービス:伝統技術を活かし、アパレルメーカーやデザイナーとのコラボレーションによりデザイン性を追求した肥後守や、持ち手を加工した製品を開発している。

事業の効果

  • 日産生産数 200丁/日→700丁/日

粗研磨工程の設備導入により、日産200丁から700丁へと大幅な増産が可能になった。熟練職人が重要3工程に専念できるようになり、生産性と製品の安定性が高まった。生産性が向上したことで新製品開発にも取り組みやすくなり、新規取引の問い合わせに応えられる体制へ近づいた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.3 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性100年以上の伝統技術継承と三木の刃物技術を軸に、粗研磨設備導入で熟練職人を重要3工程へ回す計画が既存事業と一貫している。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内外で評価が高まる一方、8ヵ月待ちで新規注文を断っている状況を踏まえ、小ロット対応や伝統製法を強みとして生かしている。
  • 4
    課題の認識と解決日産200丁から700丁への増産という課題解決の数値目標を示し、生産性向上が新製品開発や海外販売拡大につながる構造になっている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果生産性向上の効果は示されているが、補助金投入額に対する付加価値額の増加など費用対効果を示す数字は記載されていない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    100年以上の伝統技術継承と三木の刃物技術を軸に、粗研磨設備導入で熟練職人を重要3工程へ回す計画が既存事業と一貫している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内外で評価が高まる一方、8ヵ月待ちで新規注文を断っている状況を踏まえ、小ロット対応や伝統製法を強みとして生かしている。

  • 課題の認識と解決4

    日産200丁から700丁への増産という課題解決の数値目標を示し、生産性向上が新製品開発や海外販売拡大につながる構造になっている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    日産200丁から700丁への増産目標が示されており、設備導入で粗研磨工程を改善した結果として達成の見込みが記載されている。

  • 事業を進める体制3

    熟練職人が重要工程に専念できる体制を構築し、若年層も設備で操作可能になり採用・育成につながったと記載している。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    伝統的な製法と品質、近年の国内外での再評価というニーズに基づき、デザイン性を高めた新製品を企画し、アパレルとのコラボも行っている。

  • 事業化までの道筋3

    粗研磨工程の設備導入から新製品開発へと段階的に進める計画が示されているが、スケジュールの具体性は限定的である。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    肥後守は100年以上の伝統製法による刃物で、一般的な普及度は低く、高品質・高付加価値のナイフとして海外でも評価が高まっている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    最盛期40軒から現在1軒となった三木の刃物技術の継承と、新規雇用や若年層の採用につながる点が地域の伝統産業の維持として読み取れる。

  • 費用対効果2

    生産性向上の効果は示されているが、補助金投入額に対する付加価値額の増加など費用対効果を示す数字は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    設備導入による生産工程の改善は示されるが、先端デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は記載が薄い。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    三木市の伝統的な刃物技術を生かし、地域の製造技術を継承しながら国内外に販路を広げ、若年層の雇用にもつながる地域事業である。

今後の展望

伝統を残しつつ時代に合わせて変化させ、新たな製品開発を進めることで肥後守の魅力をさらに高めていく方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。