ものづくり補助金平成27年度宿泊業、飲食サービス業兵庫県

ITで受け継ぐ西村屋150年の伝統とおもてなし

株式会社西村屋

この事例のポイント

  • 予約状況が日々変動する中で、能力の高い客室係に勤務が集中し、能力の高い従業員の不満足と従業員間の経験の差の拡大が生じ、全体のサービスの底上げが難しかった。
  • 宿泊客の情報をフロント、客室係、調理場、売店、レストランなどの各部署で収集・共有・活用できる仕組みを構築し、おもてなしを持続的に実践できるようにした。
  • 顧客ニーズと従業員の能力をマッチングさせることで、高いレベルのおもてなしを提供し、顧客満足度の向上とリピート利用の促進を図る計画である。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社西村屋
所在地兵庫県 豊岡市
業種宿泊業
従業員数685人
資本金2,000万円

事業の背景

株式会社西村屋は城崎温泉で西村屋本館と西村屋ホテル招月庭の2軒の旅館を経営している。城崎温泉は開湯1300年の歴史を持ち、年間80万人以上の観光客が訪れている。インバウンド需要の取り込みで一定の成果を上げ宿泊客数は近年増加傾向にあるが、10年先を見据えると主要市場の国内需要の縮小は明らかである。業界では生産性の向上が求められている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能予約状況が日々変動する中で、能力の高い客室係に勤務が集中し、能力の高い従業員の不満足と従業員間の経験の差の拡大が生じ、全体のサービスの底上げが難しかった。
  • 人手・技能国内外の多様な宿泊客に対応できる高いスキルと、変動する予約状況に臨機応変に対応するシフト設計が求められていた。

やったこと

宿泊客の情報をフロント、客室係、調理場、売店、レストランなどの各部署で収集・共有・活用できる仕組みを構築し、おもてなしを持続的に実践できるようにした。従業員の保有能力を数値化し、能力ランク、婚礼対応、外国人対応、指名の有無などを定量化した。顧客ニーズと従業員の能力を最適にマッチングし、連続勤務日数を制限し、保有能力を向上させる勤務割り付けを自動で設計するシステムを構築した。顧客からの指名など不測の場合を除き、当初設計したシフトから大きく変動しないように予測して休日を確保する機能を備えた。同システムは育成プランに沿ったシフト設計も自動で行えるようにした。

新しい製品・サービス:ワークライフバランスを重視した自動シフト作成システム

事業の効果

顧客ニーズと従業員の能力をマッチングさせることで、高いレベルのおもてなしを提供し、顧客満足度の向上とリピート利用の促進を図る計画である。能力の高い従業員に勤務が集中する状態を解消し、従業員間の経験の差を縮めて全体のサービスの底上げを目指す。当初のシフトから大きく変動しない予測により休日を確保し、従業員のワークライフバランスの向上を図る。育成プランに沿ったシフト設計により、従業員のスキルアップも促進する。

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性訪日客増加や予約変動などの外部環境と、能力の高い客室係への集中という自社課題を踏まえ、顧客ニーズと従業員能力のマッチングを図っている。
  • 4
    課題の認識と解決能力の高い従業員の不満や経験差拡大という課題を認識し、能力数値化と自動シフトで全体のサービス底上げを図る計画になっている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け外国人・VIP・婚礼など顧客ニーズを能力ランクで定量化し、顧客ニーズへの最適マッチングという選ばれる理由を整理している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標高付加価値化や賃上げにつながる数値目標の記載が見当たらず、実現可能性の根拠が薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来150余年のおもてなしを未来へ継承する目的で、過去からの取組と一貫したシステム構築に取り組んでいる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    訪日客増加や予約変動などの外部環境と、能力の高い客室係への集中という自社課題を踏まえ、顧客ニーズと従業員能力のマッチングを図っている。

  • 課題の認識と解決4

    能力の高い従業員の不満や経験差拡大という課題を認識し、能力数値化と自動シフトで全体のサービス底上げを図る計画になっている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げにつながる数値目標の記載が見当たらず、実現可能性の根拠が薄い。

  • 事業を進める体制3

    既存の旅館運営を担う体制があり、社員のスキルアップや能力データ化を計画の担い手として位置づけている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    外国人・VIP・婚礼など顧客ニーズを能力ランクで定量化し、顧客ニーズへの最適マッチングという選ばれる理由を整理している。

  • 事業化までの道筋3

    データ蓄積、能力数値化、自動シフト設計と段階的な目標が示されているが、スケジュールの詳細は限定的である。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    人の感覚によるシフトから能力数値化による自動設計へ転換する点は旅館業では新しい取組として位置づけられる。

公的補助の必要性3.5
  • 波及効果・雇用3

    旅館業の生産性向上という業界課題の解決を目指し、城崎温泉の地域観光産業の持続性に貢献する意図が示されている。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献4

    顧客情報の共有活用や能力データに基づく自動シフトというICT活用で、旅館のおもてなしの新しい仕組みを生み出している。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    観光産業の持続可能性に触れるが、日本経済の構造転換への寄与は直接的に述べられていない。

  • 地域経済への波及3

    城崎温泉の地域特性である観光客の集客を活かし、高付加価値な旅館サービスを提供する事業として位置づけられている。

業種と困りごとが近い成果事例

京都府宿泊業、飲食サービス業平成27年度

急速冷凍技術の導入による旅館業の収益構造の改善

最先端のプロトン凍結機及びプロトン解凍機、並びに超低温冷凍庫などを導入し、食材や料理を保存できる体制を整えた。

効果:5年後に5パーセントの料理原価削減を目指した。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。