ものづくり補助金平成27年度製造業奈良県

フレキシブルOLED用IoT対応高速全自動曲面貼付装置の開発

株式会社SCREENラミナテック

成果処理能力 1倍→2倍

この事例のポイント

  • 新しい機種の生産データ設定には知識と経験が必要で、立ち上げ後はユーザー自身が設定するため、扱える人が限られていた。
  • 転写と貼付の作業を分けて並列で行うため、装置内へ部材を供給するテーブルを複数にした高速全自動曲面貼付装置を開発した。
  • 処理能力 1倍→2倍。並列処理により既存装置の2倍の処理能力を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社SCREENラミナテック
所在地奈良県 御所市
業種生産用機械器具製造業
技術分野デザイン,機械制御,情報処理,接合・実装
従業員数37人
資本金5,000万円
設立2017年

事業の背景

奈良県は自然災害の被害を受けにくく、京阪神の中間に位置して多様な産業が集積している。スマートフォンの表示デバイスは液晶ディスプレーから曲面デザインに対応できるフレキシブルOLEDディスプレーへ移行し始めている。年間2億台を超えるとも言われるスマートフォンの貼り付け工程では、半自動装置では処理能力や歩留まりに限界があるため、高速全自動化が求められていた。当社は平成29年7月にフレキシブルディスプレー製造の後工程向け装置で評価の高かった株式会社FUKの全事業を譲り受けていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能新しい機種の生産データ設定には知識と経験が必要で、立ち上げ後はユーザー自身が設定するため、扱える人が限られていた。
  • 納期・工程装置完成後にプロセス評価を行うと当該計画の完了期日に間に合わないことが判明し、短期間で評価する方法が必要になった。

やったこと

転写と貼付の作業を分けて並列で行うため、装置内へ部材を供給するテーブルを複数にした高速全自動曲面貼付装置を開発した。既存ラインの直列処理に比べて処理能力が2倍になった。機種ごとに生じる治具調整は、職人の技を光学測定器で作業固定位置としてデータ化し、作業負担を軽減した。新たな機種の光測定データを生産データ(機種データ)に変換するプログラムを作成し、ユーザーが誰でも扱えるようにソフト面でサポートした。プロセスデータを遠隔地でモニタリングできるIoT機能を搭載し、トラブルへの効率の良い対応を可能にした。装置完成後のプロセス評価の短縮のため、プロセスが近い既存の車載用曲面貼り装置のプロセス評価を活用した。

新しい製品・サービス:フレキシブルOLEDディスプレー向けの高速全自動曲面貼付装置

事業の効果

  • 処理能力 1倍→2倍

並列処理により既存装置の2倍の処理能力を実現した。機種ごとの治具調整を光学データ化したことで作業負担が軽減され、ユーザー自身で扱える範囲が広がった。IoT機能によりプロセスデータを遠隔でモニタリングでき、トラブルへの効率の良い対応が可能になった。既存装置のプロセス評価を活用して装置完成後の評価期間を短縮し、完了期日に間に合わせた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性スマートフォンのフレキシブルOLEDへのシフトという市場動向と、既存装置の2倍の処理能力という強みが具体的に示されている。
  • 4
    課題の認識と解決半自動装置の処理能力や歩留まりの限界という課題を認識し、並列処理で既存装置の2倍の処理能力を実現した点が明確。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け高速全自動化による歩留まり向上や人手介在による異物混入防止など、顧客にとっての価値とニーズの裏付けが示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制従業員数37名と設立の経緯は書かれているが、補助事業を遂行する体制の具体的記述は少ない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の曲面貼付や後工程装置の事業を譲り受け、フレキシブルディスプレー向け装置へ展開する流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    スマートフォンのフレキシブルOLEDへのシフトという市場動向と、既存装置の2倍の処理能力という強みが具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    半自動装置の処理能力や歩留まりの限界という課題を認識し、並列処理で既存装置の2倍の処理能力を実現した点が明確。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    既存装置の2倍の処理能力という実績はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数37名と設立の経緯は書かれているが、補助事業を遂行する体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高速全自動化による歩留まり向上や人手介在による異物混入防止など、顧客にとっての価値とニーズの裏付けが示されている。

  • 事業化までの道筋4

    課題①②に対し、機種データ変換プログラムや既存車載用装置のプロセス評価活用という解決方法と、2019年の量産事業化時期が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    次世代のフレキシブルOLEDは普及前の新分野で、国別販売候補や曲面貼付装置の高速化など高水準の付加価値化が示されている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用2

    フレキシブルOLEDという次世代ディスプレーの将来性はうかがえるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    費用対効果に関する数値は書かれておらず、処理能力2倍という生産性向上のみがうかがえる。

  • イノベーションへの貢献3

    IoT対応による遠隔モニタリングでトラブル対応を効率化しており、デジタル技術の活用は読み取れるが地域やサプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    スマートフォンのフレキシブルOLEDへのシフトという成長分野への進出は読み取れるが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及3

    奈良県の立地的優位性は書かれているが、本事業が地域の雇用や経済成長を牽引する内容かは具体的に読み取れない。

今後の展望

フレキシブルOLED製造向け装置への問い合わせが増加しており、展示会出展などの営業活動を行い売上拡大を目指す。平成31年に量産装置事業化を予定し、国別販売候補は日本2社、台湾3社、中国6社、韓国1社としている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。