ものづくり補助金平成27年度製造業奈良県

植物工場用の真空成型向け複層構造合成樹脂プレートの開発

永興化成株式会社

この事例のポイント

  • プレートマットのつなぎ目の接合部分の接着がはがれ、培養液が漏れて植物に影響し、商品価値をなくすことがあった。
  • クーリング冷却機を導入し、光と熱を効率よく植物に吸収させるための表面シートの製造を実現した。
  • 熱吸収率が高く光反射率も高い複層構造のプレートマットの開発が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名永興化成株式会社
所在地奈良県
業種プラスチック製品製造業
技術分野立体造形
従業員数15人
資本金1,000万円
設立1965年

事業の背景

東日本大震災後、被災地の復興の手だてとして、ハウスメーカーなどが温度を管理した屋内施設で土を使わず光や水だけで植物を育てる植物工場ユニットの販売を開始した。販売当初は照明の位置で野菜の大きさにバラツキが出て、作れる品種も可食部分の少ない植物に限られ、露地物に比べて電気代や空調代がかさんでいた。こうした中、真空成型企業から、真空成型で光と熱を効率よく植物に吸収させる植物工場のプレートマットの開発相談があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度プレートマットのつなぎ目の接合部分の接着がはがれ、培養液が漏れて植物に影響し、商品価値をなくすことがあった。
  • コスト・採算取引先によって仕様が違うため、製造・運搬などさまざまな場面で無理・無駄が発生し、利益の確保が難しくなっていた。
  • 生産能力販売当初の植物工場は照明の位置で野菜の大きさにバラツキが出て、作れる品種も可食部分の少ない植物に限られた。露地物に比べて電気代や空調代がかさむうえ、一定の品質のものを効率よく大量生産する技術を確立しきれていなかった。

やったこと

クーリング冷却機を導入し、光と熱を効率よく植物に吸収させるための表面シートの製造を実現した。自社保有の3層ラミネート技術を用い、1層目に熱放射シート(熱を吸収)、2層目に再生硬質シート(強度・加工性を向上)、3層目に光反射シート(隠ぺい性があり、光を反射)を重ねた複層構造のプレートマットを開発した。1・3層目の製造時に熱による変色が発生して開発製造ができなかったが、冷却設備で樹脂温度を冷却して変色を抑制できる環境を構築した。さらに、接合部分のない1枚型のプレートを開発し、水漏れ対策とした。

その他クーリング冷却機

新しい製品・サービス:植物工場用の真空成型向け複層構造合成樹脂プレートの開発(3層ラミネート構造のプレートマット)

事業の効果

熱吸収率が高く光反射率も高い複層構造のプレートマットの開発が可能になった。裏面の光反射シートにより光の再反射が起き、植物へ熱と光が効率よく伝わってエネルギー効率が上がる。接合部分のない1枚型プレートにより培養液の漏れによる植物への影響も抑えられる。今回構築した技術力を基に、新規ルートの開拓や新規商品の開発による販売拡大も目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    50年以上の塩ビ・樹脂製造の歴史はあるが、植物工場向けプレートを経営戦略上どう位置付けるかは記載が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自社の3層ラミネート技術と冷却設備を活かす点は書かれているが、市場動向や競合に対する優位性の記述は限定的。

  • 課題の認識と解決4

    接合部漏水や取引先ごとの仕様違いという課題を挙げ、接合部のない1枚型プレートや標準化で解決を図ると具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    初年度実績の約2倍を5年目の売上目標としているが、付加価値や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員15名、社内一貫作業との記載はあるが、補助事業を遂行する体制や人材の具体的な配置は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    熱吸収率と光反射率を高めた複層プレートで、植物工場の照明や培養水の藻発生という顧客ニーズに応える点が明確。

  • 事業化までの道筋3

    研究機関との合同による実地テストや改良試作を継続すると書かれているが、スケジュールや期間の具体は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    植物工場向けの高機能複層プレートという分野で、熱吸収・光反射の性能を高めた高付加価値品として位置付けられている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    震災後の復興や植物工場の普及に触れているが、国が補助する波及効果や雇用創出の記述は少ない。

  • 費用対効果2

    エネルギー効率向上や無駄の削減に言及があるが、補助金投入額に対する費用対効果を示す数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    真空成型企業と連携し植物工場のプレート開発に至った点は示されるが、デジタル技術の活用や新ビジネスモデルは書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    植物工場という成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    地域の特性を活かした取組としての記述は見当たらず、地域雇用や経済成長への言及も限定的。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新規ルートの開発や今回の技術をベースにした新規商品の開発で販売拡大を図る。プレートマットを基に、最も高度な植物工場の研究を行う研究機関と合同で実地テストや改良試作を行い、新たな機能性プレートマットの開発を続ける。当該事業の売上は5年目に初年度実績の約2倍を目指す。

事業者の声

Refuse no one:来るもの拒まず

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。