ものづくり補助金平成27年度製造業愛媛県

造船業における舵/スタンフレーム等の厚板プレス加工体制の構築

尾道産業株式会社

成果ぎょう鉄のみによる加工工程と比べた作業時間 100%→25%

この事例のポイント

  • リーマンショック以降、造船業界の新造船受注量が激減し、コスト低減など競争力の強化が急務となっていた。
  • 熟練職人が手作業で行っていた「ぎょう鉄」工程の一部を、設備投資によって機械化した。
  • ぎょう鉄のみによる加工工程と比べた作業時間 100%→25%。作業時間を従来比約25%にまで大幅に短縮し、作業効率が大きく向上した。

事業者のプロフィール

事業者名尾道産業株式会社
所在地愛媛県 尾道市
業種金属製品製造業
技術分野立体造形,機械制御
従業員数101人
資本金4,500万円
設立1960年

事業の背景

2008年のリーマンショック以降、造船業界の新造船受注量は激減し、当社もコスト低減など競争力強化が急務となった。当社は造船会社向けの舵やスタンフレームなどの船舶部品、特に船尾部分の3次元構造の精密加工を得意としており、主要取引先は今治造船株式会社、川崎重工業株式会社、ナカシマプロペラ株式会社などである。工程の自動化が難しく高度な技能が求められる製缶分野では、技術基盤を支えてきた熟練技能者が高齢化していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算リーマンショック以降、造船業界の新造船受注量が激減し、コスト低減など競争力の強化が急務となっていた。
  • 納期・工程船尾部分の「ぎょう鉄」は長年の経験が必要で長時間を要する作業のため、コスト・納期の面から加工工程を見直す必要があった。
  • 人手・技能熟練技能者の高齢化が進み、技能承継と若手技能者の育成が大きな課題となっていた。

やったこと

熟練職人が手作業で行っていた「ぎょう鉄」工程の一部を、設備投資によって機械化した。新たに油圧プレス(TUP-750)を導入し、まず冷間プレス曲げ加工(粗曲げ)を施した。次に従来のぎょう鉄による熱間曲げ加工(仕上げ)を施す工程とした。この設備導入により、ベテラン職人の作業の一部を機械化し、作業工数を大幅に削減した。

加工機油圧プレス(TUP-750)

事業の効果

  • ぎょう鉄のみによる加工工程と比べた作業時間 100%→25%

作業時間を従来比約25%にまで大幅に短縮し、作業効率が大きく向上した。この工程を外注に頼る同業他社が多いなか、内製によりコスト低減と納期短縮の両方を実現し、競争力が高まった。冷間プレス曲げ加工ではベテラン技能者と若手技能者がチームで協働し、技能伝承が円滑になった。強化した冷間プレス加工機によるコスト・納期の競争力は受注獲得に欠かせない要素となっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    熟練職人の手作業に依存したぎょう鉄工程を見直す流れは読み取れるが、事業の一貫性や経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    造船業界の受注減や中国・韓国勢の巨大化を踏まえ、コスト・納期の競争力を強化した点が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    熟練者の高齢化と手作業工程の長時間化を課題とし、冷間プレス導入で作業時間を従来比約25%に短縮した数値が明記されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    作業時間を従来比約25%に短縮した実績は示されるが、今後の付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    ベテランと若手のチーム作業による技能伝承は書かれているが、補助事業を遂行する人員や事務体制は具体的に読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    コスト・納期の競争力が受注獲得に欠かせないと書かれているが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    今後は新型設備導入や技術力強化を進める方針が示されるが、スケジュールや課題解決の方法は具体的ではない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    舵やスタンフレームの厚板プレス・ぎょう鉄加工は、同分野内で内製化により高付加価値を狙う取組として読み取れるが、高水準の高価格化は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    造船業の技能承継や地域の若年者のものづくり人材確保に触れており、わずかに地域雇用への寄与がうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    作業時間の約25%短縮と内製によるコスト低減は読み取れるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    WEB情報発信や地域学校との連携が今後の計画として触れられるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は具体的ではない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    地域の学生等を人材として呼び込む方針が示されるが、地域の特性を活かした付加価値や経済成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は競争の激化が予想されるなか、船舶の大型化や環境対策に関わる船尾ブロックの設計変更など顧客ニーズに柔軟に応えるため、更なる新型設備の導入と技術力強化を進める。働き方改革を背景に、設備投資で労働生産性を高めて職場環境を改善し、地域の学生など若年者をものづくり人材として呼び込むため、WEBによるIT情報発信や地域の学校との連携も強化したい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。