ものづくり補助金平成27年度製造業高知県

透析シャント血管可視化用電子基板の開発

株式会社 プラス・メッド

この事例のポイント

  • シャント血管への穿刺は目視できないため、指先で確認するしかなく、熟練者でも失敗があり難しい。
  • 高知大学が特許を持つ動脈可視化装置の技術を応用し、独自技術を加えて開発を行った。
  • 試作機により透析シャント血管を明瞭に描出・可視化できることを確認した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 プラス・メッド
所在地高知県 高知市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野バイオ,情報処理
従業員数3人
資本金405万円
設立2014年

事業の背景

高知大学発のベンチャーとして、医療機器の開発・製造販売と医学研究の支援を行っている。国内では透析療法を受ける患者が32万人以上おり、透析には事前にシャント手術で作った血管へのカテーテル挿入が必要だが、熟練者でも難しい手技である。一般的な透析患者は週3回の透析を受け、1回で2回の穿刺を行うため、国内では週200万回以上の穿刺が行われている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度シャント血管への穿刺は目視できないため、指先で確認するしかなく、熟練者でも失敗があり難しい。
  • 人手・技能従来の超音波診断装置は、プローブに滅菌ビニールをかぶせて皮膚に接触させるため手間がかかり、衛生面にも問題があった。
  • 人手・技能一人で行う場合はプローブを片手で操作する必要があり、両手が自由に使えない不便さがあった。

やったこと

高知大学が特許を持つ動脈可視化装置の技術を応用し、独自技術を加えて開発を行った。事業により日立産業制御ソリューションズ社製の画像処理エンジンを購入し、画像処理ソフトウェアを開発した。そのソフトウェアを組み込んだエッジ強調・ノイズ低減用の電子回路基板を開発し、シャント血管を描出する試作機を制作した。試作機では縦型モニター画面を採用し、画像調整ボタンでエッジ強調、コントラスト強調、ノイズ低減を調整できるようにした。製品名は「ACCESS VIEW」として商標登録出願を行った。

その他画像処理エンジン(日立産業制御ソリューションズ社製)
ソフト画像処理ソフトウェア
その他電子回路基板(画像処理用)

新しい製品・サービス:透析シャント血管可視化装置「ACCESS VIEW」

事業の効果

試作機により透析シャント血管を明瞭に描出・可視化できることを確認した。非接触で全体像を把握でき、特別な資格がなくても誰でも簡単に操作できる。穿刺を目視で確認しながら行えるため、医療従事者と患者双方の負担を大幅に軽減できる。小型・軽量でベッドサイドに移動でき、1台で複数の患者に使用できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    高知大学発の動脈可視化技術を応用し、事業取組みの経緯は示されるが、既存事業との一貫性や経営戦略上の位置付けは記載されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    透析患者32万人、週200万回以上の穿刺という市場規模と、高知大学の特許技術を活用する自社の強みは読み取れるが、競争優位の比較は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    熟練者でも失敗があり複数回刺し直しに至る課題を明示し、可視化装置の開発と2年後販売開始という実効性の高い計画が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    製品化や販売開始の時期は示されるが、付加価値額や賃上げの数値目標は記載されていない。

  • 事業を進める体制3

    製造を県内事業者に委託すること、医療機器販売会社との契約交渉が進んでいることは読み取れるが、社内の人材体制は具体的でない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    従来の超音波装置の衛生面や両手が使えない不便さを挙げ、非接触で誰でも操作できる製品価値と医療従事者ニーズが整理されている。

  • 事業化までの道筋4

    安全性試験、一般医療機器クラス1の届出、平成30年上半期の市場流通まで、遂行方法とスケジュールが示されている。

  • 財務と資金の調達2

    資金調達や財務状況は記載されていない。公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    シャント血管を可視化する医療機器は一般的に普及していない分野で、従来の超音波装置との違いが具体的に示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    透析患者の増加や中国・台湾での需要増、海外輸出の構想などが示されるが、雇用や波及効果の数字は薄い。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す数値や付加価値額の増加は記載されていない。公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    近赤外光による画像処理ソフトと電子基板を組み込んだ医療機器で、新技術の活用は読み取れるが、サプライチェーンへの貢献は限定的。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療機器分野の需要増は触れられるが、日本経済の構造転換に資するという記述はうかがえる程度である。

  • 地域経済への波及2

    県内事業者への製造委託には地域への言及があるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

医療機器としての承認を受けるため光生物学的安全性試験、EMC試験、電気安全性試験を外部機関に委託し、一般医療機器(クラス1)として届出を行った。製造は県内事業者に委託して量産し、平成30年上半期に医薬機器販売会社を通じて市場に流通させる計画である。医療機器販売会社数社と契約交渉が進んでおり、中国・台湾でも需要が高まると予想されるため、海外輸出も視野に入れた事業計画を策定する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。