ものづくり補助金平成27年度製造業高知県

最新ミスト除去装置設置による生産性向上

株式会社ディーパース・ファクトリー

成果塗装工程作業時間(1本あたり) 11分→6分

この事例のポイント

  • 乾式ミスト除去装置では能力が十分でなく、製品にミストが付着するため、アルコールで1つずつ手作業で拭き上げていた。
  • 2017年に社屋を新築移転し、その際に湿式ミスト除去装置を導入した。
  • 塗装工程作業時間(1本あたり) 11分→6分。製造時間が短縮され、ルアーの生産量が増えて受注から納品までの期間が大きく短くなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ディーパース・ファクトリー
所在地高知県 高知市
業種その他の製造業
技術分野製造環境
従業員数26人
資本金300万円
設立2011年

事業の背景

当社は2011年3月の創業以来、自社ブランドのルアー、釣り竿、アパレルを開発・製造・販売している。主力のメタルジグは他社製品より高価だが品質の高さが評価され、販売は右肩上がりである。日本国内の釣り業界市場は縮小傾向にあるが、フィッシングの人口は増加傾向にある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力乾式ミスト除去装置では能力が十分でなく、製品にミストが付着するため、アルコールで1つずつ手作業で拭き上げていた。
  • 生産能力月に前年比30%程度の増産で推移しても供給が追いつかず、受注から納品まで約7ヵ月を要していた。
  • コスト・採算乾式装置はフィルターの目詰まりで吸引能力が落ちるため、1日数回15~20分の掃除と週1回のフィルター交換が必要だった。
  • 品質・精度大型ルアーは面積が広くミスト除去に時間がかかり、除去しきれず破棄されることも多かった。
  • その他塗装に使う有機溶剤を含む塗料のミストによる従業員の健康被害が懸念されていた。

やったこと

2017年に社屋を新築移転し、その際に湿式ミスト除去装置を導入した。内訳は3人用(SVBL-35E)2台と2人用(SVBL-25E)1台である。装置は塗装時に発生したミストや粉塵を含んだ空気を吸引し、その際に装置前面下部の水も一緒に吸い込む。渦巻室で遠心力によりミストや粉塵を空気流から分離して水の渦に捕集し、きれいな空気は上部から排気する。ミストや不純物を含んだ水は装置前面下部に戻して循環使用するため、濾過フィルターは使用しない。

その他湿式ミスト除去装置(SVBL-35E・3人用)2台
その他湿式ミスト除去装置(SVBL-25E・2人用)1台

事業の効果

  • 塗装工程作業時間(1本あたり) 11分→6分
  • ミスト除去作業回数 2回→0回
  • 清掃時間 600時間/年→2時間/年
  • フィルター交換費用 12万円/年→0万円/年
  • 製品にならないルアーの割合 10%→0%
  • 1ヵ月の生産数 8,000本/月→11,500本/月
  • 労働コスト 50時間/月→0時間/月
  • フィルター費用 1万円/月→0万円/月
  • 受注から納品までの期間 7ヵ月→2ヵ月

製造時間が短縮され、ルアーの生産量が増えて受注から納品までの期間が大きく短くなった。ミストの飛散がほとんどなくなり、作業者がミストを気にせず集中できるようになった。フィルター掃除やメンテナンスの時間と費用が減り、不良品の廃棄もなくなってコストが下がった。従業員が有機溶剤のミストを吸うリスクも減り、健康被害の回避につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    自社ブランドのルアーを主力とし、塗装工程のミスト除去装置導入で増産と売上拡大を目指すと記載され、事業の一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    他社に真似できない商品開発や顧客の声を直接聞く強みを挙げ、需要増に対し生産能力不足が課題と具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決5

    受注から納品まで7ヵ月が2ヵ月に短縮、1ヵ月の生産数が約8,000本から約11,500本に増加と数値で課題解決と成果が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    塗装工程が11分から6分へ、清掃時間600時間/年の削減、不良廃棄の解消など数値目標と実績が示され、実現性が高い。

  • 事業を進める体制2

    社屋新築移転や従業員の健康配慮は触れられているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の記載は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    他社製品に比べ高価でも品質が評価され販売が右肩上がり、年間2,000人以上の顧客との接点があると具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    新商品開発に数年かかる点や海外展開の慎重な検討に触れるが、導入後のスケジュールや課題解決の方法は詳述されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    大型ルアー(1kg〜1.5kg)は他社が生産していない領域で、形状の意匠権取得と高価格・高品質化を図っている点が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    マレーシアやシンガポールなどへの輸出打診に触れるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由は示されていない。

  • 費用対効果5

    月50時間の労働コストと約1万円のフィルター費用を削減、フィルター交換費12万円が不要になるなど費用対効果が数値で示される。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    高知市の釣り船と連携し地域の強みを活かす記述はあるが、地域経済への波及や雇用創出までは具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

顧客の「釣りたい」という欲求を満たす商品開発を続け、ルアーフィッシング市場をリードしていく方針である。マレーシア、シンガポール、ニュージーランドから取引の打診を受け、数店舗で販売が始まっている。中国では商標権の取得手続きを進めているが、釣り文化の違いや模倣品の参入が懸念されるため、本格的な輸出は慎重に検討している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。