ものづくり補助金平成27年度漁業高知県

世界初、地下海水を活用したアオノリ陸上養殖量産モデルの確立

合同会社 シーベジタブル

成果6システムで年間生産量2,190kg(30kg×365日/5日)

この事例のポイント

  • 近年、川や海の環境変化によってアオノリの生産量は不安定で、供給不足が続いている。
  • 室戸岬沿岸部に地下20mほどの井戸を掘り、地下海水を汲み上げる取水ポンプと、水槽に送る送水ポンプを導入した。
  • 6システムで年間生産量2,190kg(30kg×365日/5日)。地下海水を利用した陸上養殖により、安定した量産体制が整い、年間生産量は2,190kgに達する見込みである。

事業者のプロフィール

事業者名合同会社 シーベジタブル
所在地高知県 室戸市
業種水産養殖業
技術分野バイオ,製造環境
従業員数7人
資本金100万円
設立2016年

事業の背景

高知県の四万十川流域や全国流通量の7割以上を生産する吉野川流域でも、アオノリの水揚げは不安定な状況が続いている。高知大学はアオノリの種苗生産技術を開発し特許を取得しており、その研究に参加していた蜂谷潤代表が、減産が続くアオノリを地下海水で陸上養殖する方法を模索した。地下海水は地熱で安定した20℃前後の海水が得られ、清浄であることも利点である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力近年、川や海の環境変化によってアオノリの生産量は不安定で、供給不足が続いている。
  • その他2009年のJAS法改定により、アオサを「アオノリ」として販売できなくなったことも供給不足の一因で、市場では「本物」の需要が高まっている。
  • 生産能力海洋深層水は行政が取水・分水するため、養殖に必要な量を確保できなかった。

やったこと

室戸岬沿岸部に地下20mほどの井戸を掘り、地下海水を汲み上げる取水ポンプと、水槽に送る送水ポンプを導入した。成熟したアオノリから胞子を採取して種苗を生産するインキュベータと、直径1m・2m・5m・10mのPP水槽を各5基導入した。水深が浅く日光が当たる面積の広い高さ50cmの水槽はメーカーと共同開発し、PP製とすることで製造コストを通常の約1/3に抑えた。水槽内を攪拌する耕水機や、収穫したアオノリを温風で乾燥させる食品乾燥機も導入した。

その他インキュベータ
その他PP(ポリプロピレン)水槽
ロボット取水ポンプ
その他送水ポンプ
その他耕水機
その他食品乾燥機

新しい製品・サービス:地下海水を利用したアオノリの陸上養殖による業務用原藻と、粉を小袋に入れた小売用製品

事業の効果

  • 6システムで年間生産量2,190kg(30kg×365日/5日)
  • 5日で5倍の大きさに成長する
  • 製造コスト 100%→33%

地下海水を利用した陸上養殖により、安定した量産体制が整い、年間生産量は2,190kgに達する見込みである。太陽光を大量に取り込む水槽と耕水機により、アオノリは5日で5倍の大きさに成長する。PP水槽の採用で製造コストは通常の約1/3に抑えられた。高齢者などの雇用の場にもなっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    地下海水を活用したアオノリ陸上養殖を2016年設立以来の事業として位置づけ、減産の中での供給補完という経緯は読み取れるが、経営戦略上の明確な位置づけは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    アオサ表記の禁止で「本物」需要が高まったこと、地下海水の水温20℃と清浄性が強みとして示され、市場と自社資源の関係が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    減産とJAS法改定による供給不足という課題を示し、水槽6システムで年間生産量2,190kgの量産体制を整えたと具体的に記載されている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    年間生産量2,190kg、5日で5倍成長、製造コストを約1/3に抑えたなど数値目標と根拠が示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員7名や大学との共同研究、メーカーとの共同開発に触れるが、補助事業を遂行する体制の具体的な人材配置や事務体制は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    天然より市場価値の高い「本物」の上質アオノリを業務用と小売用で販売し、大手専門商社2社へ生産量の95%を販売する販路が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    翌年の他地域展開や2年後の他海藻種苗技術開発など中長期の方向は示されるが、遂行方法や課題解決の具体的スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達2

    2社への販売で経営の安定化を図るとあるが、財務状況や金融機関からの資金調達については公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    陸上養殖によるアオノリの量産は普及度が低く、天然より高い市場価値の商品を通年生産できると具体的に書かれている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    高齢者や障害者の雇用の受け皿、地場産業の創出、産地の供給不安の解消など、地域への波及効果が具体的に示されている。

  • 費用対効果3

    製造コストを約1/3に抑えた点や年間生産量は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    海藻陸上養殖を魚や貝の陸上養殖の浄化槽として活用する構想が示されるが、デジタル技術の活用は具体的に書かれていない。

政策面70%
  • 成長分野への進出2

    陸上養殖という新たな分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換への貢献という観点の記述は乏しい。

  • 地域経済への波及5

    室戸岬の地下海水と地熱による20℃の水温を活かし、高知県特産のアオノリを地域で生産・加工・雇用につなげる事業と具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

アオノリは国内大手3社の専門商社が取り扱うほか、取引のある2社に生産量の95%を販売し経営の安定化を図る。自社商品のブランド化と国内外の小売販路拡大を進める。他地域への展開や、他の海藻類の種苗生産、魚や貝の陸上養殖との組み合わせも計画している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。