ものづくり補助金平成27年度製造業佐賀県

海外需要に向けた嬉野茶販売体制の構築

株式会社 川原茶業

成果年間仕上茶生産量 70トン→150トン

この事例のポイント

  • 国内では急須でお茶を淹れる人が減り、お茶離れが進む中で、海外への販路を広げることが求められていた。
  • 嬉野茶専用の一貫した輸出用仕上茶の製造ラインを構築し、荒茶の整形・分別・切断を行う総合篩機、荒茶の乾燥と水分均一化を行う遠赤外線火入機、再乾燥で茶の味に深みを出すドラム式乾燥機、…
  • 年間仕上茶生産量 70トン→150トン。最新機械の導入により輸出用嬉野茶の製造が実現し、仕上茶は1日600Kg以上、年間150トン以上を製造できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 川原茶業
所在地佐賀県 嬉野市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
従業員数5人
資本金1,000万円
設立1989年

事業の背景

国内需要の低迷によりペットボトル飲料の普及などでお茶離れが進んでいた。一方で平成26年12月に日本茶輸出促進協議会が設立され、日本茶の品質や機能性が評価されて輸出金額は増加傾向にあり、輸出対象国も年々増えていた。平成28年の中東ドバイのGulfood 2016への出店では空港会社や免税店、有力ホテルなど多くのバイヤーから引き合いを得たが、年間仕上茶生産量70トンでは対応しきれなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信国内では急須でお茶を淹れる人が減り、お茶離れが進む中で、海外への販路を広げることが求められていた。
  • 生産能力工場稼働率が90%を超えており、年間の仕上茶生産量は70トンにとどまるため、海外バイヤーからの注文に応えられない状態だった。

やったこと

嬉野茶専用の一貫した輸出用仕上茶の製造ラインを構築し、荒茶の整形・分別・切断を行う総合篩機、荒茶の乾燥と水分均一化を行う遠赤外線火入機、再乾燥で茶の味に深みを出すドラム式乾燥機、乾燥後の茶葉を冷やす冷却機、火入れ後に粉茶と茶葉を仕分ける唐箕機、仕上茶をブレンドする配合機を導入した。荒茶を整形して形や重さで分別してから、それぞれに最適な火入れを行う後火方式で製造する体制とした。機械同士をつなぐ昇降機と水平コンベア(茶運搬用)を設置して茶葉の一貫した流れを作り、作業性と衛生面の向上を図った。また、輸出用の製造ラインはライン切り替え生産方式を採用し、無駄のない段取りで仕上茶を製造できるようにした。

加工機総合篩機
加工機遠赤外線火入機
加工機ドラム式乾燥機
加工機冷却機
加工機唐箕機
加工機配合機
その他昇降機
その他水平コンベア

新しい製品・サービス:輸出用嬉野茶(仕上茶)

事業の効果

  • 年間仕上茶生産量 70トン→150トン

最新機械の導入により輸出用嬉野茶の製造が実現し、仕上茶は1日600Kg以上、年間150トン以上を製造できるようになった。これにより海外からの引き合いに対応できるようになり、年間42トンの販売見込みにも応えられる体制が整った。次年度からは茶葉を買い付けられるようになり、嬉野茶業界の底上げにも貢献できるとしている。また今後は同社がモデルとなり、嬉野茶の販路拡大にもつながるとしている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    平成28年に中東ドバイのGulfoodへ出店し嬉野茶の販売を行うなど、海外販売への取組が継続して行われてきたことが書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    工場稼働率90%超、年間仕上茶生産量70トンの制約を把握し、商談で得た引き合いを踏まえて生産拡大を図る点が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    製造キャパオーバーが急務とされ、1割のバイヤーが月100Kg注文した場合の年42トン見込みを根拠に、課題が数値で整理されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    仕上茶を1日600Kg以上、年150トン以上製造可能になったと生産量の目標と結果が示されるが、付加価値額や賃上げの数値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員5人の小規模企業であることは書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的な記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    空港会社、免税店、有力ホテル、スーパー等のバイヤーからの引き合いや、アメリカ・ブラジルの業者からの注文見込みが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    2017年1月のサンフランシスコ見本市参加や年6トン程度の輸出見込みなど今後の予定は書かれているが、課題解決の方法や詳細な工程は乏しい。

  • 財務と資金の調達2

    資本金1,000万円が記載されているだけで、財務状況や金融機関からの資金調達の見込みは書かれていない。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    消費地の嗜好や販売価格に応じた調整配合を行うことは書かれているが、高価格化や高付加価値化を図る記述はわずかにうかがえる程度である。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用4

    嬉野茶業界の底上げにつながり次年度から茶葉を買い取れるようになると書かれ、県内荒茶総生産量の10%以上に当たるとの数字もある。

  • 費用対効果2

    生産量の増加は数字で示されているが、補助金の投入額や費用に対する効果の算出は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    機械同士を昇降機やコンベアで繋ぎ一貫した流れを作り衛生面を高めたとあるが、デジタル技術や新たなビジネスモデルへの言及はない。

政策面70%
  • 成長分野への進出3

    日本茶の輸出金額は増加傾向にあり、その成長市場へ海外輸出を進める点が書かれているが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及4

    地域特産の嬉野茶を輸出用に製造し、販路拡大と嬉野茶業界全体の底上げに貢献すると地域への波及が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

平成28年9月に佐賀県輸出可能性調査でアメリカとブラジルに市場調査へ出向いたところ、多くの業者から引き合いを得た。注文が確定次第、年間6トン程度の輸出に繋がる見込みである。平成29年1月にはJETROの協力によりアメリカのサンフランシスコで食品見本市に参加し、調査で引き合いを得た業者以外からも興味を持たれた。今後も海外輸出を徐々に増やし、嬉野茶業界全体の底上げと発展につなげたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。