ものづくり補助金平成27年度製造業熊本県

褥瘡(じょくそう)の開放性湿潤療法用孔あきシリコーンシートの事業化

トイメディカル株式会社

この事例のポイント

  • 床ずれ治療に用いる医療用シリコーンゲルの製品を、既存技術から事業化するには専用の塗工機と加工設備が必要だった。
  • コットン不織布にポリエチレンを塗工した基材に、シリコーン塗工機でシリコーン粘着剤を塗工し、床ずれに適したシリコーン粘着テープの試作と評価を行った。
  • 試作の段階で医療機器メーカーとのパートナーを見つけることができた。

事業者のプロフィール

事業者名トイメディカル株式会社
所在地熊本県 熊本市
業種業務用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数6人
資本金7,000万円
設立2013年

事業の背景

当社はメディカル向けのディスポーザブル商品を開発し、患者のQOL改善や医療従事者の負担軽減を通じて医療の安全と安心に貢献している。高齢化社会の大きな問題の一つである要介護者の床ずれを治す開放性湿潤療法が広がっており、それに使う医療用具の需要が高まっていた。当社は既存のシリコーン粘着テープ技術を生かし、この医療用具を事業化したいと考えた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術床ずれ治療に用いる医療用シリコーンゲルの製品を、既存技術から事業化するには専用の塗工機と加工設備が必要だった。
  • 新製品・新技術各使用部位にフィットする孔あきシリコーンシートを製造する技術が未確立だった。

やったこと

コットン不織布にポリエチレンを塗工した基材に、シリコーン塗工機でシリコーン粘着剤を塗工し、床ずれに適したシリコーン粘着テープの試作と評価を行った。生産条件として、レーザー出力、照射時間、孔径、孔数量の4つのパラメーターを振り分けてシリコーン粘着テープを加工した。その結果、孔を定間隔で複数個開けたものが水分吸収がよく、床ずれに適していることを確認した。レーザー出力と照射時間を振り分けたことで、シート表面は穴が開いており裏面は貫通していない、開発目標の孔あきシリコーンシートの製造が可能となった。

  • 加工機シリコーン塗工機シリコーン粘着テープ加工機

新しい製品・サービス:孔あきシリコーンシート(開放性湿潤療法用の医療用具)

事業の効果

試作の段階で医療機器メーカーとのパートナーを見つけることができた。現在はそのメーカーを通じて医療機関で商品開発に向けた臨床試験を行っている段階である。孔あきシリコーンシートの製造が可能になり、開発目標を達成した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性既存のシリコーン粘着技術と医療機器開発の経験を踏まえ、何度も貼れて痛くないなどの特徴で競争優位を狙う内容になっている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け高齢化による家庭ケアの需要増を背景に、快適性や手軽さという選ばれる理由が示されている。
  • 4
    新しさ・高付加価値床ずれ治療の開放性湿潤療法という新しい分野で、医療用シリコーン製品を専用設備で作る点に新規性がある。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標高付加価値や賃上げにつながる数値目標は示されておらず、実現可能性の定量的な裏付けが薄い。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    既存技術のシリコーン粘着テープを活用し、レーザー加工で床ずれ用シートへ展開する経緯が示され、過去の技術との一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    既存のシリコーン粘着技術と医療機器開発の経験を踏まえ、何度も貼れて痛くないなどの特徴で競争優位を狙う内容になっている。

  • 課題の認識と解決3

    床ずれケアの需要増という課題を捉え、試作で孔あきシートの製造を実現し、事業化へ進めている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値や賃上げにつながる数値目標は示されておらず、実現可能性の定量的な裏付けが薄い。

  • 事業を進める体制3

    従業員6人の体制で、試作評価と医療機器メーカーとの連携、臨床試験を進めている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高齢化による家庭ケアの需要増を背景に、快適性や手軽さという選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作、パートナー発掘、臨床試験、商品開発へと段階が示され、今後の展開も記載されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    床ずれ治療の開放性湿潤療法という新しい分野で、医療用シリコーン製品を専用設備で作る点に新規性がある。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    要介護者の床ずれ対策と家庭での介護ケア需要の増加に応える社会的意義が述べられている。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    レーザー加工を既存のシリコーン技術に組み合わせ、医療機器の新製品としてサプライチェーンに新しい選択肢を提供している。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    熊本市の企業として地域の医療機器分野で製品開発を行う点が示されるが、地域経済への波及効果は限定的。

今後の展望

高齢化で家庭での床ずれケアの必要性が増すため、家庭用医療シートの開発にも力を入れたい。また、培った技術をやけどや創傷向けの家庭用医療シートにも生かしたい。

事業者の声

使う人の「困った」を「笑顔」に変える商品を開発していきたいですね

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。