ものづくり補助金平成27年度製造業大分県

最新鋭のファイバーレーザー加工機導入による競争優位の確立と鉄道分野への新規参入

株式会社江藤製作所

成果加工速度 1倍以上→5倍以上

この事例のポイント

  • 従来機のCO2レーザー加工機は大型部品への対応能力に限界があり、分割加工した部品を溶接で接合していたため、歪みや溶接跡が残り部品の精度が低下していた。
  • 大型精密製缶板金加工品の加工技術の向上を目的として、最新鋭のファイバーレーザー加工機を導入した。
  • 加工速度 1倍以上→5倍以上。ファイバーレーザー加工機の導入により、薄板加工で従来機の5倍以上の高速加工が可能となり、生産能力は従来の1.5倍程度に…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社江藤製作所
所在地大分県 杵築市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数66人
資本金4,000万円
設立1973年

事業の背景

同社の杵築工場は、熟練技能を必要とする大型精密製缶板金加工品を主として生産しており、自動車や環境設備など幅広い分野向けの装置関係を中心に手がけている。近年は顧客企業の海外展開や部材調達のグローバル化により周辺環境が大きく変化し、競争力のある高い技術の習得や異分野への進出、付加価値の高いものづくりが求められていた。今後は海外向けに高速鉄道など鉄道産業の輸出が盛んになると予測され、鉄道関係を今後の成長分野として着目した。同社は従来から鉄道車両のステンレス鋼材(SUS)製部品を製作し、毎月コンスタントな生産を行っていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術従来機のCO2レーザー加工機は大型部品への対応能力に限界があり、分割加工した部品を溶接で接合していたため、歪みや溶接跡が残り部品の精度が低下していた。
  • 品質・精度レーザー発振器の整備を年3〜4回行う必要があり、そのたびに加工機が丸1日停止して現場に不安があった。
  • 生産能力処理能力の関係で、従来は大型精密板金部品の仕事を断らざるを得なかった。

やったこと

大型精密製缶板金加工品の加工技術の向上を目的として、最新鋭のファイバーレーザー加工機を導入した。導入したのはアマダ製のファイバーレーザー加工機で、波長の短い不可視レーザーを使い、多種多様な素材の切断、穴開け、マーキングなどを行う。ファイバーレーザーはレーザー発振器のメカニズムがCO2レーザーと異なり、電気やガスの使用量を大幅に削減できる。薄板の加工に強みを発揮し、従来機の5倍以上の高速加工が可能となった。銅やアルミニウム、チタンなどの高反射素材の加工も容易になった。この高精度・高効率な加工能力を生かし、鉄道車両分野(高速鉄道等)への新規受注拡大を図った。

  • 加工機アマダ製ファイバーレーザー加工機

新しい製品・サービス:アマダ製ファイバーレーザー加工機(波長の短い不可視レーザーを用いる最新鋭のレーザー加工機)

事業の効果

  • 加工速度 1倍以上→5倍以上
  • 生産能力 1倍→1.5倍
  • 従来は年3〜4回の整備が必要だったが、新機では保証内点検以外の整備でメーカーに来てもらったことはない

ファイバーレーザー加工機の導入により、薄板加工で従来機の5倍以上の高速加工が可能となり、生産能力は従来の1.5倍程度になった。従来は断っていた仕事にも対応できる体制が整った。導入から2年弱が経過したが、保証内点検以外でメーカーに整備を依頼したことはなく、安定した生産を続けている。電気やガスの使用量も大幅に削減でき、高反射素材の加工も容易になり、付加価値の高いものづくりの素地が整った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性高速鉄道など鉄道産業の海外輸出増を見込み、高精度・高効率加工を強みに鉄道業界へ参入する根拠が具体的に示されている。
  • 4
    新しさ・高付加価値銅・アルミ・チタンなどの高反射素材の加工も容易になったと述べ、大型精密板金の高水準加工による高付加価値化を図っている。
  • 4
    成長分野への進出成長が見込まれる鉄道産業の輸出拡大に着目し、異分野の大型精密板金分野へ進出する点が構造転換に資する内容と読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標生産能力は従来の1.5倍程度とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性の判断材料が薄い。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    従来から鉄道車両向けステンレス部品を毎月生産しており、その実績を基に鉄道分野の新規受注拡大へ導入した流れが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    高速鉄道など鉄道産業の海外輸出増を見込み、高精度・高効率加工を強みに鉄道業界へ参入する根拠が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決3

    従来機は大型部品を分割溶接して歪みや精度低下が生じ、年3-4回の整備で1日停止していた課題を、新機導入で解消する流れが示されている。

事業の実現可能性2.6
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産能力は従来の1.5倍程度とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性の判断材料が薄い。

  • 事業を進める体制3

    導入から2年弱、保証内点検以外の整備でメーカーを呼ばず安定生産を続けており、設備運用の遂行体制が一定程度確認できる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    鉄道分野や空調設備向けの大型精密板金部品など、高い加工能力を必要とする顧客分野を明確にしている。

  • 事業化までの道筋2

    今後は鉄道分野などから受注拡大を目指すとあるが、スケジュールや具体的な進め方、課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    銅・アルミ・チタンなどの高反射素材の加工も容易になったと述べ、大型精密板金の高水準加工による高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    鉄道輸出の拡大や鉄道分野への新規参入を通じ、地域の製造業に新たな需要を生む意義が読み取れるが、雇用や波及効果の記述は乏しい。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    最新のファイバーレーザー加工機を導入し、高精度加工で大型部品の溶接を減らすなど、製造現場の高度化に寄与する取組が示されている。

政策面3.0
  • 成長分野への進出4

    成長が見込まれる鉄道産業の輸出拡大に着目し、異分野の大型精密板金分野へ進出する点が構造転換に資する内容と読み取れる。

  • 地域経済への波及2

    大分県杵築市の拠点で付加価値の高いものづくりを目指すとあるが、地域の雇用創出や経済成長への牽引効果は明確に書かれていない。

今後の展望

現状は既存顧客対応が中心で、設備導入による仕事量の直接的な増加はまだない。今後は小物生産ではなく、鉄道分野や空調設備向けの大型精密板金部品など、高い加工能力が必要な分野からの受注拡大を目指す。

事業者の声

保証内点検以外の整備でメーカーの人に来てもらったことはない

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。