ものづくり補助金平成28年度製造業岩手県

三陸昆布を使った新商品開発及び生産技術開発

成果乾燥時間(塩蔵昆布) 3kg→40kg

この事例のポイント

  • 震災後の再建にあたり、三陸産昆布を使った新商品を開発する必要があった。
  • 乾燥機、篩(ふるい)機、製粉機、ベルトシーラー、昆布葉切機からなる昆布加工生産装置一式を導入した。
  • 乾燥時間(塩蔵昆布) 3kg→40kg。昆布加工生産装置の導入により製造時間が大幅に短縮され、生産性が向上した。

事業者のプロフィール

所在地岩手県 大船渡市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数6人
設立1987年

事業の背景

当社は1987年の創業以来、三陸産の海藻加工卸売業として、わかめと昆布を塩蔵加工して販売してきた。2011年3月の東日本大震災で社屋と工場が津波により被災し、生産が危機に陥った。その後、岩手県第4次グループ補助金に採択され、2012年4月に事業を再開したが、わかめの総生産量が確保できず品薄と価格高騰が続いたため、わかめの新商品開発は断念し、予定数量が水揚げされていた昆布を用いた新商品開発に切り替えた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術震災後の再建にあたり、三陸産昆布を使った新商品を開発する必要があった。
  • 生産能力昆布を切り刻んだり乾燥させたりする装置がなく、粉末即席スープの開発と生産が進められなかった。
  • 販路・情報発信三陸産昆布を使った新商品の販売拡大と販路拡大が今後の課題であった。

やったこと

乾燥機、篩(ふるい)機、製粉機、ベルトシーラー、昆布葉切機からなる昆布加工生産装置一式を導入した。昆布葉切機は変色した昆布の端を自動で切り落とし、乾燥や粉砕しやすい大きさに整える。乾燥機は塩蔵昆布の品質を損なわないよう湿気を逃す有圧換気扇を備えた特注品である。導入後は40kgの塩蔵昆布を6~8時間で乾燥でき、導入前の3kgに約10時間を要していた状況から大きく改善した。製粉機と篩機により乾燥昆布10kgを6時間で製粉できるようになった。これらの装置を用いて、粉末即席スープ「こんぶスープ あがらっせん」と昆布ふりかけ「なんさでもこんぶふりかけ」の2商品を開発し商品化した。

加工機乾燥機
加工機篩(ふるい)機
加工機製粉機
加工機ベルトシーラー
加工機昆布葉切機

新しい製品・サービス:粉末即席スープ「こんぶスープ あがらっせん」と昆布ふりかけ「なんさでもこんぶふりかけ」

事業の効果

  • 乾燥時間(塩蔵昆布) 3kg→40kg
  • 製粉機および篩機の導入により乾燥昆布10kgを6時間で製粉できるようになった。

昆布加工生産装置の導入により製造時間が大幅に短縮され、生産性が向上した。乾燥機により乾燥後の塩蔵昆布の変色を抑えられるようになった。製粉機と篩機の導入で生産能力が一気に向上した。三陸産昆布を使った粉末即席スープは県内で類似品がなく、海藻の塩蔵と加工を同時に行う企業は希少なため、他の海藻加工卸売業との差別化も図れた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    震災後の再建と三陸産昆布の活用という経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けを示す記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    無添加や海藻加工と卸売の併営が他社との差別化と書かれ、類似品なしとある。強み・弱みの分析は具体的でない。

  • 課題の認識と解決4

    わかめの品薄・高騰を課題とし、昆布で新商品を開発したと具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    乾燥を3kgで約10時間から40kgを6~8時間へ、製粉は10kgを6時間と数値で示されている。付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員6名で、事業を遂行する人材や事務処理体制に関する記述はわずかにうかがえる程度である。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ターゲットを若い世代とし、手軽に使える乾燥品や無添加を訴求する理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の課題として売上につなげることや改良が挙がるが、スケジュールや解決方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    三陸産昆布を使った粉末即席スープは県内で類似品が皆無と書かれ、新市場性がうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    震災復興と岩手の特産品という地域性は明確だが、波及効果や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果3

    乾燥時間の大幅短縮と生産能力の向上は示されるが、補助金額に対する費用対効果の数字はない。

  • イノベーションへの貢献2

    製造工程の機械化は示されるが、先端的デジタル技術やビジネスモデルへの言及はほぼない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    三陸の地域資源である昆布を活かし、お土産や家庭向けの高付加価値商品を開発したと書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

開発した2商品の売り上げにつなげ、三陸産わかめ・昆布の知名度を広げて販路を拡大することが今後の課題である。商品の改良やわかめを利用した商品開発にも積極的に取り組み、経営の安定化を目指す。

事業者の声

お土産だけではなく、家庭の食卓にならぶことが目標

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。