ものづくり補助金平成28年度製造業群馬県

刺繍技術の高度化による独創的なブライダル和装衣裳の開発

株式会社大桐

成果柄合わせのズレ 2mm以内→1mm以内

この事例のポイント

  • 織物は最低ロットが5着で、1着分の製作に18日間を要していた。
  • 連続する柄を自然につなげる「柄合わせ」の技術を開発するため、新たに複合多頭刺繍機を導入した。
  • 柄合わせのズレ 2mm以内→1mm以内。柄合わせ技術の確立により、連続する柄を自然につなげた西陣織と同等品質の全面機械刺繍が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社大桐
所在地群馬県 みどり市
業種繊維工業
技術分野デザイン,立体造形
従業員数9人
資本金2,000万円
設立1978年

事業の背景

ブライダル市場は挙式の簡素化・小規模化の影響を受け横ばいである。ブライダル衣装の需要は洋装7割、和装3割で、和装の層も一定数存在する。新婦の婚礼衣装にかける費用は2016年で平均47.4万円と2006年比4.6万円増加している。一方、桐生市域の織物産業の市場規模は減少傾向が続いている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力織物は最低ロットが5着で、1着分の製作に18日間を要していた。
  • 人手・技能西陣織は職人の高齢化や人材難で生産量が減少しており、織工に依存する製法からの脱却が必要だった。
  • コスト・採算取引先から高級打掛織物の卸値(200,000円)に対し5%以上の低減を要望されていた。

やったこと

連続する柄を自然につなげる「柄合わせ」の技術を開発するため、新たに複合多頭刺繍機を導入した。解決策として、互いの領域に入って刺繍できる「のみこみ領域」を利用したデザインとし、そのデザインをもとに刺繍機の動きに合わせたプログラミングを行った。作業台にポイントマークを設定し、全ての生地に同じ設定を行い、ポイント同士を合わせることで5本全ての生地のテンションが合うようにした。これにより西陣織と同等の品質で着物地への全面機械刺繍を確立した。

加工機複合多頭刺繍機

新しい製品・サービス:着物地への全面機械刺繍による高級着物地

事業の効果

  • 柄合わせのズレ 2mm以内→1mm以内
  • 織物卸値 200,000円→181,780円
  • 1着あたりの製作期間 18日間→6日間

柄合わせ技術の確立により、連続する柄を自然につなげた西陣織と同等品質の全面機械刺繍が可能になった。織物卸値は目標の5%以上の低減を上回る約9%の低減を達成し、製作期間も18日間から実質6日間に短縮された。今後は帯地の機械刺繍やロングドレス刺繍へ展開する。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    織物から機械刺繍へ展開する方向性は示されるが、過去の取組との一貫性や経営戦略上の位置づけは文章から十分に読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    西陣織と同等品質の機械刺繍という強みと、ブライダル需要や桐生織物産業の縮小という外部環境の両方が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    課題は織工減少と製作期間18日間、卸値5%低減要望と具体的で、柄合わせ開発により約9%低減と6日間・1着からの製作を達成と数字で示される。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    目標の5%低減に対し約9%低減、製作期間を1週間以内の目標に対し実質6日間と、目標値と実績が数字で示されている。

  • 事業を進める体制2

    担当体制や人材配置は書かれていないが、従業員数9人と経費明細に人件費が見える程度でわずかにうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ブライダル和装で西陣織同等の全面機械刺繍を提供する価値と、和装ニーズの裏付けとして平均47.4万円の婚礼衣装費用が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    柄合わせの解決方法を2つに分けて示し、今後は帯地やロングドレス刺繍へ展開、5年後に1,649万円の売上を見込むと段階的な計画が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    全面機械刺繍による着物地生産という新分野の開拓を掲げ、西陣織同等品質で従来は不可能とされた点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性80%
  • 波及効果・雇用3

    西陣織の職人減少と桐生織物産業の市場縮小という産業課題が示され、救世主的存在として波及効果がうかがえるが、雇用や経済波及の数字は薄い。

  • 費用対効果5

    目標原価と実際経費が並べて示され、原価合計134,700円が132,700円、卸値低減約9%と費用対効果が数字で示される。

  • イノベーションへの貢献4

    複合多頭刺繍機とプログラミングによる柄合わせ技術の導入が具体的に書かれ、織物から機械刺繍へのものづくりの転換が示される。

政策面70%
  • 成長分野への進出3

    織工依存製法からの脱却という構造転換が示されるが、日本経済全体への貢献までは読み取れない。

  • 地域経済への波及4

    桐生市の多品種少量生産の特色を活かし、高付加価値商品の開発を進めるという地域特性との結びつきが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今回獲得した全面機械刺繍技術により、和装業界の救世主的存在となることを目指し、5年後には1,649万円の売上規模を見込む。

  • 目標:事業開始後5年後には和装、帯地、ロングドレス刺繍などを合わせ1,649万円の売上規模を見込む。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。