ものづくり補助金平成28年度製造業群馬県

自社製刺繍用治具を用いた筒状製品への刺繍技術の開発

有限会社昌藤

成果生産性50%の向上を狙った

この事例のポイント

  • 筒状製品の細く小さな袖口やポケットへの刺繍が迅速にできない。
  • 生地のバタつきを押さえる「デジタルコントロール布押さえ機能」を搭載した刺繍機を導入し、対応する取り付け金具を自社で製作した。
  • 生産性50%の向上を狙った。刺繍の精度が向上し、フェルト・伸縮素材への刺繍で既存機より品質が上がった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社昌藤
所在地群馬県 太田市
業種繊維工業
技術分野デザイン,立体造形
従業員数24人
資本金300万円
設立1978年

事業の背景

当社は繊維工業の会社で、Tシャツ、キャップ、リストバンド製品への刺繍加工を行っている。近年、アジア圏の発展途上国から安価に仕入れた製品に刺繍を入れたいという顧客が増えている。アパレル市場、ベビー・子ども服市場は縮小傾向が続いているが、品質や特性にこだわった商品やライフスタイルの変化に合わせた商品開発が増えている。筒状製品への高精度な刺繍のニーズは高いが、既存設備では対応が困難だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力筒状製品の細く小さな袖口やポケットへの刺繍が迅速にできない。
  • 品質・精度既存の単頭機では精度が低く繊細な刺繍が困難で、しわやツレが発生する。
  • 人手・技能針折れや糸切れが多発し生産性にも問題がある。
  • 人手・技能刺繍時に治具を押さえる操作が必要で危険である。
  • 生産能力量産が不可能なため、他社では縫えない箇所の加工依頼を断らざるを得なかった。

やったこと

生地のバタつきを押さえる「デジタルコントロール布押さえ機能」を搭載した刺繍機を導入し、対応する取り付け金具を自社で製作した。既存刺繍機でも使える治具(細身ジーンズ用・子ども服袖口用)を製作した。回転数(針の往復数/分)の調整や素材に対する治具のバタつきを検証し、治具のバタつき量を測定器で検証した。伸縮素材への刺繍、細身ジーンズの膝上部分、子ども服のポケット部分、ベビー用Tシャツの袖口への刺繍を試作し、既存機と新設備で試作製作時間を比較した。

加工機デジタルコントロール布押さえ機能を搭載した刺繍機
金型刺繍機用取り付け金具
金型細身ジーンズ用・子ども服袖口用治具
検査測定治具のバタつき量を検証する測定器

新しい製品・サービス:細身ジーンズ、子ども服の袖部分(袖周り18cmまで)、伸縮素材・フェルト素材への高度な刺繍加工

事業の効果

  • 生産性50%の向上を狙った
  • 回転数 500rpm→1,000rpm
  • 高速の針回転数800rpmにおいて、1.0mm以下を達成した

刺繍の精度が向上し、フェルト・伸縮素材への刺繍で既存機より品質が上がった。細身ジーンズのスリムサイズの太ももやすね・足首、接ぎ合わせ部分への刺繍が可能になり、顧客へのアピール要素が増えた。子ども服の袖部分への刺繍も可能になった。刺繍やデータ修正の時間を大幅に削減し、生産性も向上した。品質面で他社との差別化が実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の刺繍機で断っていた筒状製品への刺繍を、新設備導入で実現する流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    既存機は単頭機1台で断らざるを得なかったが、新設備でスリムサイズや子ども服袖口の刺繍が可能になり、他社との差別化を図る旨が書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    課題①〜⑤を列挙し、生地のバタつき解消と回転数向上で生産性50%向上を狙うなど、課題と解決策の対応が具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    既存機500rpmに対し1,000rpmでの生産を一部可能にし、生産性50%向上を狙うと数値で示されている。ただし1,000rpmでは加工できない仕様もあると書かれている。

  • 事業を進める体制2

    従業員数24人とあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客ニーズ(治具製作で通常の倍以上の工賃)や、他社では縫えない箇所への対応が選ばれる理由として具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作・測定・時間比較の検証手順は書かれているが、中長期の遂行スケジュールや課題解決の段取りは明示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    筒状製品への高精度刺繍はニーズが高いが既存設備では困難とあり、同分野で高付加価値化を図る内容だが、市場での普及度の数値は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    海外製品への刺繍ニーズや国内ユニホーム問屋との取引拡大に触れるが、国が補助する経済波及や雇用創出の記述は見当たらない。

  • 費用対効果3

    1,400万円の受注見込みと生産性50%向上の狙いは示されるが、補助金投入額に対する費用対効果の記述はない。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタルコントロール布押さえ機能付き刺繍機の導入は書かれるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献までは読み取れない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    太田市の事業者であることは分かるが、地域の特性を活かして雇用や地域成長を牽引する記述は見当たらない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

既製品への加工表現が多彩になり、付加価値の高い提案が可能になった。デザイン提案力や立体刺繍技術、低コスト体質を高め、ユニホームを扱う問屋からの受注を拡大する。楽天市場への出店、製品輸入業者との業務提携により新規開発を狙う。伸縮素材、細身製品、子ども服への刺繍を合わせ、将来的に1,400万円の受注を見込む。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。