ものづくり補助金平成27年度製造業京都府

IoT分野で使用する銀メッキ導電性繊維の抵抗値の低下と安定化

ミツフジ株式会社

成果平均抵抗値 1倍→0.33倍

この事例のポイント

  • ウェアラブルデバイス市場での導電性繊維の採用拡大に向け、品質の高機能化が求められていた。
  • 従来の銀メッキ量の1.5倍を目指し、メッキ液の配合、繊維の表面処理、処理液の温度や時間などの条件を変えて試作した。
  • 平均抵抗値 1倍→0.33倍。銀メッキ量を増やした改良品は、平均抵抗値が約1/3、ばらつき度が約1/5に下がり、導電性と均一性が大きく向上した。

事業者のプロフィール

事業者名ミツフジ株式会社
所在地京都府 京都府相楽郡精華町
業種繊維工業
技術分野表面処理
従業員数45人
資本金8.645億円
設立1979年

事業の背景

当社は昭和31年に西陣織物製造業として創業し、20年前から銀メッキ導電性繊維「AGposs®」の開発・販売を主力としてきた。従来は抗菌・防臭のアパレル品や水浄化用フィルター、電磁波対策メッシュなどが中心だった。近年はウェアラブルIoT市場が活況を呈しており、着衣型デバイスの市場拡大に合わせて新分野への参入を進めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力ウェアラブルデバイス市場での導電性繊維の採用拡大に向け、品質の高機能化が求められていた。
  • 品質・精度生体情報を正確に取得するため、導電性繊維の抵抗値をさらに下げる必要があった。
  • 品質・精度センサー部分の導電性にばらつきがあり、データのノイズの原因となっていた。
  • 品質・精度洗濯を繰り返すと銀メッキがはがれ、抵抗値が上がりやすかった。

やったこと

従来の銀メッキ量の1.5倍を目指し、メッキ液の配合、繊維の表面処理、処理液の温度や時間などの条件を変えて試作した。銀メッキの層の厚さや繊維表面を評価し、抵抗値の測定と洗濯試験を行った。試料は1本400g巻を4分割して表層から100gずつ採取し、各分割から20サンプルを取って10cm間の電気抵抗値をテスターで計測し平均値をまとめた。表面観察にはキーエンス製デジタルマイクロスコープ、切断にはソノテック製超音波カッターを導入し、洗濯はJIS L0217 103法に従い100回まで実施した。

検査測定デジタルマイクロスコープ(キーエンス製)
加工機超音波カッター(ソノテック製)

新しい製品・サービス:銀メッキ導電性繊維「AGposs®」の抵抗値を下げた改良品と、それを活用したウェアラブルIoTデバイス「hamon®」

事業の効果

  • 平均抵抗値 1倍→0.33倍
  • ばらつき度 1倍→0.2倍
  • 銀メッキ部の厚み 1倍→1.8倍
  • 平均抵抗値のばらつき度が最大で9%と大幅に改善された
  • 洗濯0回から100回の抵抗値の変化は約1.55倍となり、目標の1.2倍以内には及ばなかった

銀メッキ量を増やした改良品は、平均抵抗値が約1/3、ばらつき度が約1/5に下がり、導電性と均一性が大きく向上した。銀メッキ層は従来品より約1.8倍厚くなった。洗濯100回後の抵抗値の変化は約1.55倍で、目標の1.2倍以内には届かなかったが一定の耐久性は確保できた。この成果を活用して、ウェアラブルIoTデバイス「hamon®」が開発された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の織物・編み物技術と20年前からの銀メッキ導電性繊維の開発・販売が一貫しており、ウェアラブルIoT参入が経営方針として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    市場拡大と自社の強みを示し、洗濯耐性や低抵抗化で他社製品に比べ優位性を示したとしており、強み・弱みへの言及がある。

  • 課題の認識と解決4

    課題として抵抗値低下と洗濯耐性向上を挙げ、銀量1.5倍化で抵抗値が約1/3、ばらつきが約1/5に低下したと数値で示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    洗濯100回後の抵抗値変化が約1.55倍で目標1.2倍には届かなかったと記載され、付加価値向上の目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    京都の本社・R&Dセンター・福島の工場と社内で開発から製造までを行う体制が記載されているが、人員や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医療・着衣型ウェアラブル分野をターゲットに、心拍など生体情報を正確に取れる低抵抗値化という選ばれる理由を整理している。

  • 事業化までの道筋3

    既存顧客との共同開発と医療機器承認番号取得という今後の方向性は示されているが、スケジュールや解決方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    着衣型ウェアラブルIoTは市場が活況とされ、医療機器承認を目指す高付加価値の新分野への参入が示されている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    ウェアラブルIoT分野の市場拡大への貢献や地域未来牽引企業への選定が示されるが、雇用や波及効果の数値は書かれていない。

  • 費用対効果3

    補助金額や付加価値額の増加は記載がなく、抵抗値低下や洗濯耐性の改善という技術成果のみが数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献4

    ウェアラブル医療機器への展開や海外メーカー・大学等との取引を通じ、IoT分野のサプライチェーンに貢献する内容が示されている。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    ウェアラブルIoT市場の拡大分野への進出が示され、日本市場や米国市場の成長にも触れているが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及3

    京都・福島の拠点や地域未来牽引企業への選定が記載され、地域の企業として位置付けられているが、地域特性の活用は限定的。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

着衣型ウェアラブルデバイス市場では、既存顧客との共同開発や製品提供スピードを上げて実商品として販売することを目指している。また医療機器として医療承認番号の取得を目指し、新しい市場を開拓する方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。