ものづくり補助金平成24年度兵庫県

電子ドビー搭載、旧型織機による高感性“経て取りストール”の開発

阿江ハンカチーフ株式会社

この事例のポイント

  • 旧式織機は柔らかく高級感のある質感を出せる一方、アナログ方式のためデザインの自由度や製品開発スピードに課題があった。
  • 旧式織機のパンチカード機能を電子化し、デザイナーがパソコン上で描いたデータをそのまま信号で旧式織機に送れるようにした。
  • 旧式織機の電子化により、デザイナーのデータをそのまま織機に送れるようになり、ストールの製品開発スピードが向上した。

事業者のプロフィール

事業者名阿江ハンカチーフ株式会社
所在地兵庫県 加東市
業種繊維工業
技術分野繊維加工
従業員数14人
資本金1,000万円
設立1948年

事業の背景

西朋市をはじめとする播州織の産地は明治初期から綿織物を生産しており、旧式の織機で細い糸をしなやかに織る技術で高い評価を得ている。旧式織機は現代の織機にない柔らかな風合いや高級感を出せる反面、デザイン性や製品開発スピードに問題があった。同社は先代からハンカチに特化して業績を伸ばし、業界大手の問屋との信頼関係のもとOEM生産で5,000種類以上のブランドハンカチを世に出してきた。アパレル市場ではデザインの多様化と製品開発スピードが重要になっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術旧式織機は柔らかく高級感のある質感を出せる一方、アナログ方式のためデザインの自由度や製品開発スピードに課題があった。
  • 納期・工程旧式織機はパンチカードでデザインを織るため、デザインごとに紙に穴を開け、修正時は紙をつなぎ合わせる原始的な工程が必要で、1.8mのストールには20mのパンチカードが必要となり、製品化に手間と時間がかかっていた。
  • 新製品・新技術パンチカードの特性上デザインに制約があり、デザインが重要なアパレル製品において自由度が制限されていた。

やったこと

旧式織機のパンチカード機能を電子化し、デザイナーがパソコン上で描いたデータをそのまま信号で旧式織機に送れるようにした。同時に旧式織機に電子織ネームジャカード装置を搭載し、旧式織機で織る高品質の布に複雑な柄やネームを自由に表現できるようにした。同社独自の細糸織り技術により、80番手や100番手の細い綿糸でストールを製造し、50cm×180cmで35gと非常に軽いストールも生産している。国内初となる旧式織機のジャカード電子化により、さまざまな文様やブランドロゴをストールに織り込めるようになった。

  • 加工機電子織ネームジャカード装置
  • その他パンチカード機能の電子化装置

事業の効果

旧式織機の電子化により、デザイナーのデータをそのまま織機に送れるようになり、ストールの製品開発スピードが向上した。パンチカードの電子化とジャカード電子化によってデザインの幅が広がり、自由で多様なデザインが可能になった。旧式織機の質感と同社の技術による最高品質は保たれたまま、世界トップクラスと評価される綿ストールをより早くデザイン性豊かに生産できるようになった。他社にないオリジナルの技術として同社の強みにもなっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    強み・弱みを踏まえた優位性80・100番手の細糸で35gの製品を作り、OEMで5,000種類以上を手がけ、国内初のジャカード電子化で他社にないデザインを実現すると具体的に示されている。
  • 4
    これまでの取組との一貫性明治元年創業で先代からハンカチに特化し、平成25年に高品質ストールの自社ブランドを立ち上げており、技術蓄積と取組の流れは一貫している。
  • 4
    課題の認識と解決パンチカードで1.8mのストールに20mを要する手間が課題と具体的に示され、電子化でデザインデータを直接織機に送る解決策が記載されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標目標は開発スピードの短縮と試作数の増加のみで、数値目標や付加価値・賃上げの目標値は示されていない。
経営戦略との整合性4.3
  • これまでの取組との一貫性4

    明治元年創業で先代からハンカチに特化し、平成25年に高品質ストールの自社ブランドを立ち上げており、技術蓄積と取組の流れは一貫している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性5

    80・100番手の細糸で35gの製品を作り、OEMで5,000種類以上を手がけ、国内初のジャカード電子化で他社にないデザインを実現すると具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    パンチカードで1.8mのストールに20mを要する手間が課題と具体的に示され、電子化でデザインデータを直接織機に送る解決策が記載されている。

事業の実現可能性2.6
  • 付加価値・賃上げの目標2

    目標は開発スピードの短縮と試作数の増加のみで、数値目標や付加価値・賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員14人、一貫受注の体制は記載があるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    シルクのような風合いで50cm×180cm・35gと軽く、アパレル市場を顧客に、デザインの自由度を選ばれる理由として整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    電子化による開発の方向性は示されているが、実施スケジュールや中長期の課題検証、遂行方法の詳細は記載されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    国内最高品質の綿ストールとして高水準の高付加価値化を図り、世界トップクラスと評価される細番手織りの独自性が記載されている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    播州織産地の技術継承や海外生産増への危機感が述べられるが、雇用創出や波及効果の数字や具体的な記述は限られている。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献4

    パンチカードを電子化し、デザインデータを直接織機へ送る仕組みと電子織ネームジャカードの搭載という具体的なデジタル活用が記載されている。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    海外生産の拡大に対する危機感は述べられているが、市場成長分野への進出や構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及3

    播州織産地の技術を活かした取組と述べられているが、地域の雇用や経済成長への効果は具体的に書かれていない。

事業者の声

「技術を生かして革新し続けることが、当社も産地も必要と考えています。」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。