ものづくり補助金平成28年度情報通信業東京都

IoT向け新規セキュリティ技術を搭載した 大容量データ暗号化認識システム

株式会社サウマネジメント

この事例のポイント

  • 小型のIoT機器はコンピューティングリソースに制限があるため、暗号化などのセキュリティ対策が十分にできず、監視カメラがネット回線経由で乗っ取られて映像が流出する事件が頻発している。
  • 暗号化ゲートウェイ専用ソフトウェアのエンジンをベースに、リソースが制限される監視カメラにも搭載できる軽量で高度な暗号化エンジンを新たに自社で開発した。
  • キーを必要とせずに映像を復号できる仕組みを開発できたため、キーが盗まれて映像を見られるリスクを抑えられる。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社サウマネジメント
所在地東京都 東京都新宿区
業種情報サービス業
従業員数20人
資本金500万円
設立2001年

事業の背景

当社は平成13年に創業し、ネットワーク構築からシステムエンジニアリング、インテグレーション、モバイルアプリの設計・開発・運用まで幅広いITサービスを提供している。近年はEU一般データ保護規則(GDPR)に対応するような個人データ保護のためのシステム開発にも取り組んでいる。近年IoT機器が急速に普及する一方で、サイバー攻撃の脅威が懸念されている。監視カメラの映像は犯罪事件の解決に役立つため、監視カメラの数は今後も増加するとみられている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他小型のIoT機器はコンピューティングリソースに制限があるため、暗号化などのセキュリティ対策が十分にできず、監視カメラがネット回線経由で乗っ取られて映像が流出する事件が頻発している。
  • 人手・技能監視カメラの数は増加しているが、熟練監視員でも一度に見られる映像のチャンネル数には限界があり、監視員を増やせばコストが増加する。

やったこと

暗号化ゲートウェイ専用ソフトウェアのエンジンをベースに、リソースが制限される監視カメラにも搭載できる軽量で高度な暗号化エンジンを新たに自社で開発した。このエンジンをもとに、監視カメラの映像データを暗号化・復号するアーキテクチャを設計した。監視カメラから送信された暗号化映像をサーバーに確実に収集・復号し、映像データを照合・分析して検知処理するアプリケーションを開発した。顔認証を用いた特定リスト表示システムを導入し、復号した映像をデータベースの画像と照合して該当者を特定すると、音等で専用ビュアーに通知して不審者や侵入者の予兆を自動検知する仕組みを構築した。これらのサブシステムを統合し、ネットワーク接続された監視カメラに搭載して「IoT向け大容量データ暗号化認識システム」を開発した。

ソフト特定リスト表示システム

新しい製品・サービス:IoT向け新規セキュリティ技術を搭載した大容量データ暗号化認識システム

事業の効果

キーを必要とせずに映像を復号できる仕組みを開発できたため、キーが盗まれて映像を見られるリスクを抑えられる。暗号化された映像はウェブページにアクセスしても真っ暗で何も映らず、許可されたサーバーだけで復号されることを確認できた。暗号化・復号してもほぼ遅延が発生せず、リアルタイム性を損なわないことも確認できた。顔認証により復号した映像から特定の顔を検出できることを検証し、人が目視で行っていた監視業務を自動化できる可能性を示した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    ネットワーク構築からITサービスまで幅広く手がけ、GDPR対応の個人データ保護開発にも取り組んでいると書かれているが、本事業の位置づけは経営戦略として明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    IoT機器のセキュリティ不備や監視員増員によるコスト増という外部環境の課題は示されるが、自社の経営資源の強みとの関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    監視員の増員によるコスト増加という課題を、暗号化と顔認証の組み合わせで解決すると明確に示している。ただし事業化後の高付加価値化の数字は示されていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げに関する目標値は書かれていない。製品化を2021年までに目標とすると記載されるのみである。

  • 事業を進める体制3

    創業以来のシステム開発・運用の実績が書かれ、遂行体制の一端はうかがえるが、人材や事務処理能力の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    キーなしで復号する仕組みやIoT市場11兆円という規模は示されるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は書かれていない。

  • 事業化までの道筋4

    製品化に向けた課題として画像認識精度とAI学習データ、ブラウザ表示時の遅延が具体的に挙げられ、解決の方向性も示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    IoT機器向け暗号化・認識の技術は新規性が示されるが、市場の普及度や認知度の水準については書かれていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    監視カメラの乗っ取りによる映像流出という社会課題はうかがえるが、経済波及効果や雇用創出の記述はない。

  • 費用対効果2

    監視員の増員コストを抑える効果は示唆されるが、投入額に対する付加価値増加の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    暗号化と顔認証を組み合わせ、監視映像の人手確認を自動化する新しい仕組みを示しており、業界全体への貢献可能性が読み取れる。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    IoT市場の拡大(2021年に11兆円超)を前提にしており、成長分野への進出という文脈はうかがえるが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

最も難題であった暗号化・復号には成功したが、製品化には画像認識の精度向上のためのAI導入や、ウェブブラウザ表示時のファイル変換による遅延の改善といった課題が残っている。これらを解決し、日本のIoT市場規模が11兆円を超えるとされる2021年(IDC Japan予測)までの製品化を目標としている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。