ものづくり補助金平成28年度製造業新潟県

革新的な吊下げ式溶接ロボットと新技術導入による溶接工程の製造能力と自動化率の向上

株式会社北陸製作所

この事例のポイント

  • 団塊世代の定年などで現場の人手不足が年々深刻になり、熟練技術者も不足して十分な加工期間を確保できないトラブルが増えていた。
  • 溶接を行う可動範囲の広い吊り下げ式の溶接ロボットを、メーカーの㈱神戸製鋼所に特注して導入し、稼働率と自動化率を高めた。
  • 自動溶接ロボの導入と夜間の連続稼働により生産性は4〜8倍に高まった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社北陸製作所
所在地新潟県 長岡市
業種金属製品製造業
技術分野情報処理,接合・実装,機械制御
設立1954年

事業の背景

株式会社北陸製作所は1954年創業の建築鉄骨製造業で、神社仏閣などの特殊物件に強みがある。顧客はスーパーゼネコンが中心で、売上比率は新潟県内が2割、県外が8割となっている。ものづくり業界では人手不足が長年の課題となり、仕事はあるのに人材が足りず、育成も追いつかない状況だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能団塊世代の定年などで現場の人手不足が年々深刻になり、熟練技術者も不足して十分な加工期間を確保できないトラブルが増えていた。
  • 生産能力一次加工機械は稼働率が低く、溶接・組立は時間がかかるため、製造工程全体の効率が上がらなかった。
  • 人手・技能溶接を専門的に学べる教育機関がなく、人材を育成する仕組みも整っていなかった。

やったこと

溶接を行う可動範囲の広い吊り下げ式の溶接ロボットを、メーカーの㈱神戸製鋼所に特注して導入し、稼働率と自動化率を高めた。アームが届かないため人の手で溶接していた箇所もノンストップで溶接できるようになった。自動運転システムにより夜間も連続作業が可能になった。同時に、①設計②材料調達③材料の切断・穴あけなどの一次加工④溶接・組立のうち、③の一次加工を外注し、④溶接・組立に集中する体制へ切り替えた。一次加工は信頼できるパートナーが新設した工場に委託した。

ロボット吊り下げ式溶接ロボット(㈱神戸製鋼所製・特注)

事業の効果

自動溶接ロボの導入と夜間の連続稼働により生産性は4〜8倍に高まった。溶接・組立に集中する体制を構築できたことで、利益率の高い工程の生産性が向上した。自動化により人手不足の軽減にも手応えを得た。ビル鉄骨に加え倉庫や工場建築にも営業できるようになり、受注力も増した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    1954年創業で神社仏閣など特殊物件の鉄骨製造を手がけてきた経緯があり、溶接・組立への集中という方向性も読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    有名建築家の複雑な建築で頼りにされる技術力や、県外の仕事が8割という外部環境との関係が読み取れるが、強み・弱みの分析までは書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    人材不足や加工期間の確保困難という課題を認識し、溶接・組立への集中で生産性が4〜8倍に高まり利益率の高い工程に注力できたと具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産性4〜8倍という数字は示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性の根拠も限られている。

  • 事業を進める体制3

    外注先や体制変更による工程の再編は書かれているが、人材育成の仕組みは課題として残ると記されており、遂行体制は十分に読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    神社仏閣や複雑な形状の鉄骨という強みと、ビル・倉庫・工場建築への営業拡大により受注力が増したことは読み取れるが、顧客ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    一次加工の外注から溶接・組立への集中、さらに自動溶接ロボ導入と工場体制変更という段階的な進め方が書かれており、一定の遂行順序は読み取れる。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    神社仏閣など複雑な形状の特殊物件に対応できる技術力があり、利益率の高い分野に注力したという記述から、同分野での高付加価値化がうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    高層ビルや倉庫・工場建築に対応する点はうかがえるが、雇用創出や川上・川下への波及効果など国が補助する積極的な理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    生産性が4〜8倍に高まったという効果は示されているが、補助金の投入額や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    吊り下げ式溶接ロボと自動運転システムにより夜間も連続作業が可能になったと書かれており、デジタル技術の活用は読み取れるが、サプライチェーン全体への貢献は不明。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    人手不足を背景に自動化・効率化を進めた点はうかがえるが、日本経済の構造転換や成長分野への進出には触れられていない。

  • 地域経済への波及2

    新潟県長岡市に立地していることは書かれているが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用・地域経済への波及は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ものづくり業界の人手不足は今後も続くとみて、自動化する作業と人の手で行う作業を見極めながら生産性を高めていく方針である。人材確保は継続的な課題であり、社内教育の仕組みづくりを進めつつ、今後は国籍を問わず優秀な人材を集めていきたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。