ものづくり補助金平成28年度製造業福井県

自硬性砂型製造プロセスの改善による高品質・低コスト化と最先端医療機器鋳物の生産体制の構築

株式会社川鋳

成果不良率 15%→1%

この事例のポイント

  • 砂型に用いる砂と添加剤の混練工程で混合が均質にならず、不良率が15%に上っていた。
  • 従来のミキサーに代えて、ミキサーの長さが2倍超の「大型自動連続式砂混練機」を導入した。
  • 不良率 15%→1%。均質な混合により砂型の品質が向上し、不良率が大きく下がった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社川鋳
所在地福井県 坂井市
業種鉄鋼業
技術分野精密加工
資本金4,000万円
設立1955年

事業の背景

当社は昭和30年(1955年)設立の鋳造会社で、原子力関連部品や工作機械向けの鋳物を手がけてきた。精密加工鋳造を強みとし、国内シェアNo.1のターボ冷凍機の圧力容器鋳造技術は県の「実は福井の技」に認定されている。近年は医療機器分野で鋳物の利用が広がっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度砂型に用いる砂と添加剤の混練工程で混合が均質にならず、不良率が15%に上っていた。
  • 人手・技能不良品の砂型は造型後に手作業での手直しが必要になっていた。
  • 生産能力冷却部品の生産能力は月2台にとどまり、顧客企業の発注に応えきれなかった。

やったこと

従来のミキサーに代えて、ミキサーの長さが2倍超の「大型自動連続式砂混練機」を導入した。混練距離を長くして砂と添加剤を均質に混ぜ、混練モードを自動化して添加剤の混合割合をワンタッチで設定できるようにした。機械の大型化で一度に造型できる砂型の数も増やし、作業スペースも広げた。

  • 加工機大型自動連続式砂混練機高周波電気誘導炉

新しい製品・サービス:放射線治療機器「リング型ガントリー」の冷却部品

事業の効果

  • 不良率 15%→1%
  • 冷却部品の生産能力 2台/月→10台/月

均質な混合により砂型の品質が向上し、不良率が大きく下がった。手作業の手直しが不要になり、作業時間の短縮とコスト削減も図れた。生産能力が大幅に上がり、顧客の発注に対応できる見通しが立った。医療機器分野への進出の方向性も定まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性創業60年の鋳造一筋の事業を背景に、医療機器分野へ精密加工鋳造技術を展開し事業化の方向性を定めたと具体的に書かれている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内シェアNo.1のターボ冷凍機圧力容器鋳造技術と、近年の医療機器分野の動向を捉えた展開が、強みと機会の対応として読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決不良率15%から1%への低減と生産能力の月2台から10台への向上など、課題と解決の効果が数字で示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用医療機器分野の開拓や新たな雇用・需要の創出にわずかに触れるのみで、国が補助する理由は具体的に書かれていない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    創業60年の鋳造一筋の事業を背景に、医療機器分野へ精密加工鋳造技術を展開し事業化の方向性を定めたと具体的に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内シェアNo.1のターボ冷凍機圧力容器鋳造技術と、近年の医療機器分野の動向を捉えた展開が、強みと機会の対応として読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    不良率15%から1%への低減と生産能力の月2台から10台への向上など、課題と解決の効果が数字で示されている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産能力を月2台から10台に高めたことは示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    熟練工の技術継承や若手社員の育成に触れているが、補助事業を遂行する人材体制の具体は読み取りにくい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医療機器の放射線治療機器のリング型ガントリー冷却部品に採用されている点と、高精度・高硬度が求められる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    本格稼働後の医療分野での展開や新規分野開拓の方向は書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    最先端医療機器分野は鋳物の利用が拡大している分野と紹介され、同分野での高精度・高付加価値化を図る点がうかがえる。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    医療機器分野の開拓や新たな雇用・需要の創出にわずかに触れるのみで、国が補助する理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果4

    混練機導入で不良率15%から1%、生産能力月2台から10台、作業時間短縮によるコスト大幅改善と費用対効果を示す数字がある。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタル技術の活用は書かれていないが、鋳造と自動化による品質安定化が記述され、わずかに貢献がうかがえる。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    医療機器分野という成長分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は見られない。

  • 地域経済への波及3

    地域企業として坂井市の鋳造技術に触れ、地域の技術を活かす方向は読み取れるが、雇用や地域成長への具体的数値は乏しい。

今後の展望

本事業による高品質な鋳造部品の製造が本格稼働すれば、最先端の放射線治療器メーカーの需要に対応できる。医療分野でのリーダー企業を目指すとともに、多様な新規分野の開拓も指向している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。