ものづくり補助金平成28年度製造業福井県

製造設備の温湿度制御による魅せる四季醸造の『真夏のしぼりたて』

吉田酒造有限会社

成果当面は800石(144,000リットル)まで製造量を引き上げる目標が立った。

この事例のポイント

  • 技術面のハードルがあり、目指す品質の酒造りが難しかった。
  • 麹づくりでは、蒸米づくりに用いる蒸気の温度を管理する蒸気乾燥機と、麹製造工程の湿度と温度を自動で記録・保存・監視できる製麹温度制御システムを導入した。
  • 当面は800石(144,000リットル)まで製造量を引き上げる目標が立った。四季を通じて醸造・貯蔵ができるサーマルタンクの導入で設備面の生産量が増強された。

事業者のプロフィール

事業者名吉田酒造有限会社
所在地福井県 永平寺町
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数10人
資本金800万円
設立1806年

事業の背景

文化3年(1806年)創業の吉田酒造は、蔵の周囲の水田で作った酒米と同じ水源の水で酒を醸す蔵である。麹は全量手づくりで、米洗いも限定給水で行っている。都市部の消費者や海外の消費者の嗜好に応える高品質な純米吟醸酒の醸造が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度技術面のハードルがあり、目指す品質の酒造りが難しかった。
  • 人手・技能麹づくりや醸造時の温度管理・確認に大きな作業負担がかかっていた。
  • 生産能力製造量を増やすための設備面の余裕が不足していた。
  • 品質・精度麹菌の制御が杜氏の経験に大きく依存し、再現性が低かった。

やったこと

麹づくりでは、蒸米づくりに用いる蒸気の温度を管理する蒸気乾燥機と、麹製造工程の湿度と温度を自動で記録・保存・監視できる製麹温度制御システムを導入した。醸造した酒の加熱(火入れ)では、清酒加熱冷却装置により65度30秒の火入れ後に急速に冷却し、香りや味わいの低下を防いだ。タンク内の温度を適正管理できるサーマルタンクを導入し、仕込み時は低温発酵で吟醸香を高め、製造期間も延長した。貯蔵では酵素が活動しない氷温管理が可能となった。

  • 加工機サーマルタンク清酒加熱冷却装置蒸気乾燥機
  • ソフト製麹温度制御システム

新しい製品・サービス:無ろ過生原酒、純米大吟醸酒

事業の効果

  • 当面は800石(144,000リットル)まで製造量を引き上げる目標が立った。

四季を通じて醸造・貯蔵ができるサーマルタンクの導入で設備面の生産量が増強された。麹づくりや温度管理の自動化により仕込み時期の労働負担が軽減され、その余力を酒質向上に充てられるようになった。火入れ後の急速冷却と氷温管理により香りや味わいの低下を防ぎ、夏季の生原酒の発売が可能になった。純米吟醸酒や無ろ過生原酒は高い評価を得て、酒販店からの引き合いも好調で、販路拡大が見込まれている。

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性都市部の消費者や海外コンクールでの好成績、酒販店からの引き合いを挙げ、市場ニーズと自社の手づくり麹・水源という強みを結びつけている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け女性や海外の消費者が求める高品質な純米吟醸酒・生貯蔵原酒という顧客ターゲットと、首都圏酒販店からの引き合いによるニーズ裏付けが明確。
  • 4
    新しさ・高付加価値高水準の純米吟醸酒や生貯蔵原酒、夏季の生原酒発売など、同分野で高付加価値化を図る商品づくりが具体的に示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果設備導入による品質向上や製造量増加に触れているが、補助金額に対する付加価値額や費用対効果の数値は示されていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    創業文化3年の蔵が水田の酒米と同じ水源の水で醸す郷酒を続けており、製品づくりの一貫性は読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    都市部の消費者や海外コンクールでの好成績、酒販店からの引き合いを挙げ、市場ニーズと自社の手づくり麹・水源という強みを結びつけている。

  • 課題の認識と解決3

    麹の手作業負担や温度管理の課題を認識し、装置導入で解決して品質と生産性を高める計画になっている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    当面800石(144,000リットル)まで製造量を引き上げる目標が示されており、設備導入による増産の見通しがある。

  • 事業を進める体制3

    従業員10名の蔵で、杜氏の経験に依存していた工程をデータ管理に移す体制の変化が記述されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    女性や海外の消費者が求める高品質な純米吟醸酒・生貯蔵原酒という顧客ターゲットと、首都圏酒販店からの引き合いによるニーズ裏付けが明確。

  • 事業化までの道筋3

    装置導入の工程と効果が記述されているが、中長期の検証や進め方のスケジュールまでは詳しく書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    高水準の純米吟醸酒や生貯蔵原酒、夏季の生原酒発売など、同分野で高付加価値化を図る商品づくりが具体的に示されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    地域の水田や水源を活かす酒造りと、若い世代を育てる取組が書かれ、地域資源を生かす意義は読み取れる。

  • 費用対効果2

    設備導入による品質向上や製造量増加に触れているが、補助金額に対する付加価値額や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    サーマルタンクや製麹温度制御システムのデータ蓄積で酒質向上に取り組み、データ活用という面で業界内のイノベーションにつながる。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    永平寺町の水田と水源を活かした地域特性のある酒造りで、製造量拡大と地域ブランドの価値向上を目指している。

今後の展望

製造量を当面800石まで引き上げ、販路拡大を目指す。

事業者の声

「うま味があって、クリアできれい」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。