ものづくり補助金平成28年度製造業山梨県

新大型ピロボール部品加工の生産性を約2倍に上げる高度生産性向上

株式会社萱沼鉄工所

成果試作1の加工時間 453分→201分

この事例のポイント

  • 大型ピロボール部品は工程数が多く、一つ一つの段取りに時間がかかり、発注から完成までのリードタイムが長いという課題があった。
  • 最新モデルの5軸制御複合加工機を導入し、加工工程や加工条件、切削ツール、加工治具を見直した。
  • 試作1の加工時間 453分→201分。加工時間は試作1で43%、試作2で56%削減され、生産性はおおよそ2倍になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社萱沼鉄工所
所在地山梨県 都留市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数35人
資本金1,500万円
設立1981年

事業の背景

同社は1927年(昭和2年)に創業し、ベアリングの精密加工を主力としている。半導体製造装置やオートバイの制御機構に用いられるニードル、ピロボールなどを手がけ、大手ベアリングメーカーの重要協力会社10社に選ばれるなど顧客から厚い信頼を得ている。昨今は建設用大型機械や舶用駆動系に使われる新大型ピロボールロッドエンドの需要が増している。造船・建設機械関連のベアリングの市場規模は約63億円と考えられている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力大型ピロボール部品は工程数が多く、一つ一つの段取りに時間がかかり、発注から完成までのリードタイムが長いという課題があった。
  • 人手・技能加工の精度が職人の経験や熟練度によって差が生じていた。
  • 生産能力多品種・少量生産で特殊な形状の部品に対応するため、高効率で高品質な生産体制を整える必要があった。

やったこと

最新モデルの5軸制御複合加工機を導入し、加工工程や加工条件、切削ツール、加工治具を見直した。加工工程は当初の3工程から2工程に集約し、マザトロール方式と呼ばれる対話方式で加工順序と加工条件を定めた。切削ツールは大きな加工に向くフェイスミルを採用し、一気に面を荒取りできるようにした。試作した2種類の部品はいずれも従来の7工程もしくは5工程から2工程に集約できた。

加工機5軸制御複合加工機

新しい製品・サービス:新大型ピロボール部品

事業の効果

  • 試作1の加工時間 453分→201分
  • 試作2の加工時間 243分→130分
  • 試作1の寸法公差 0.15ミリ→0.01ミリ
  • 試作2の寸法公差 0.02ミリ→0.01ミリ

加工時間は試作1で43%、試作2で56%削減され、生産性はおおよそ2倍になった。寸法公差は50%から93%改善し、高精度の加工が可能になった。加工機による寸法の狂いもなく、作業員の技能差に関わらず同じ精度で加工できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の精密加工とベアリング取引の経緯が書かれ、大型ピロボール加工の需要増にも触れている。ただし投資を経営戦略に位置づける記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    関東地区の重要協力会社10社に選ばれたこと、ベアリング市場規模約63億円、他社にできない高品質と多品種少量対応を強みとして挙げている。

  • 課題の認識と解決5

    加工時間を試作1で453分から201分、試作2で243分から130分に縮め、43〜56%削減、寸法公差も改善と数字で課題と効果が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産性を約2倍にする目標と、加工時間削減率43〜56%の実績が示されており、実現性の根拠がある。ただし付加価値額の数値目標は見当たらない。

  • 事業を進める体制2

    職人の経験や熟練度による精度差、若手からベテランまでの従業員構成への言及はあるが、補助事業の遂行体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    大型ピロボールのニーズ増、高い加工技術が必要な点、精度や納期への顧客要求、他社にできない品質と納期・価格対応が選ばれる理由として書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    加工工程を3工程から2工程に集約し、フェイスミルで荒取りする方法を採用したと書かれているが、中長期のスケジュールや検証方法は読み取れない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    新大型ピロボールは大型の約1.5倍の大きさで、船舶や大型機械向けの需要を見込むとあるが、市場の普及度についての具体的な記述は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    道路・トンネル・橋梁の老朽化対応や地震・災害に強い基盤整備が急務と書かれ、建設機械や舶用駆動系への需要増にわずかに触れている。

  • 費用対効果4

    約2倍の生産性向上と寸法公差の改善を示しているが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    5軸制御複合加工機の導入や工程集約はあるが、デジタル技術の活用やサプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    都留市の織物産地の歴史や山あいの立地に触れているが、地域経済の成長や雇用創出への言及はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

同ベアリングメーカーでのシェアを高めるため、他社に対応できない高い品質と多品種・少量生産における納期・価格対応力を主なPRポイントとして営業していく。船舶や大型機械用の需要も見込めるため、新大型ピロボールの特性をアピールしていく考えである。

事業者の声

取引先の要望で、それまでになかった新しいベアリングを一から作ったこともあります。他社にできないことをうちがやることで少しでも競争力を高め、差別化を図っていきたいです

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

MRI用超電導マグネット監視装置の生産体制強化

制御基板の試験を自動化するため、基板検査装置を開発し、手作業で行っていた測定端子の接続や測定値の読み取りを自動化する。

効果:測定工数は予定通り約半分以下の時間となった

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。