ものづくり補助金平成28年度製造業山梨県

甲州ワインの溶存酸素量の制御による香味の向上と長期安定化

中央葡萄酒株式会社

この事例のポイント

  • 圧搾コルクは保存性がやや不安定で、ワイン中の亜硫酸濃度が1年後にスティルバンより若干低くなる傾向があった。
  • 最新型充填装置を導入し、ビン内の空気を強制脱気したうえで不活性ガス(窒素N2)を注入する仕組みにより、充填ノズルからワインが注がれる際にボトル内の不活性ガスがフィラーボウル空間部…
  • 最新型充填装置により溶存酸素量を制御し、甲州ワインの繊細なフレーバーの向上と長期的な品質安定化を図る計画である。

事業者のプロフィール

事業者名中央葡萄酒株式会社
所在地山梨県 甲州市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数23人
資本金2,000万円
設立1953年

事業の背景

創業から95年の中央葡萄酒は、甲州ブドウを用いた国産ワインの醸造販売を主力とする。甲州ワインは健康志向や和食ブームを背景に国内外で親しまれつつあった。国内で販売される中価格帯ワイン(1,000~3,000円未満/本)の市場では、フランス、イタリア、スペインなどの伝統国やチリ、オーストラリアなどの輸入ワインが競合しており、国内市場の約70%を輸入ワインが占めていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度圧搾コルクは保存性がやや不安定で、ワイン中の亜硫酸濃度が1年後にスティルバンより若干低くなる傾向があった。
  • 新製品・新技術甲州ワインの繊細なフレーバーを活かすため、酸化劣化を最小限にする充填技術が必要だった。
  • 販路・情報発信国内の中価格帯ワイン市場は輸入ワインが約70%を占めており、TPP導入後は輸入ワインとの競合がさらに加速すると見込まれていた。

やったこと

最新型充填装置を導入し、ビン内の空気を強制脱気したうえで不活性ガス(窒素N2)を注入する仕組みにより、充填ノズルからワインが注がれる際にボトル内の不活性ガスがフィラーボウル空間部と入れ替わるようにした。これによりワインは常に酸素から遮断される。中価格帯ワインには、従来の圧搾コルクに代えてワイン専用のスティルバンを採用し、ボトル栓による溶存酸素量の影響を抑えた。充填装置の導入により、醸造技術と甲州ワインのフレッシュな香りや味わいをさらに活かすことを目指した。また製造工程の衛生面の取り組みも強化した。

加工機最新型充填装置
その他スティルバン(ワイン専用スクリューキャップ)

事業の効果

最新型充填装置により溶存酸素量を制御し、甲州ワインの繊細なフレーバーの向上と長期的な品質安定化を図る計画である。ワインが酸素から遮断されるため、酸化劣化を抑えて香味を保つことが期待される。輸出拡大の実現も見込んでいる。また、消費者の飲食物への信頼に応えるため、品質管理や衛生面の強化にもつながると位置づけられている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来のブドウ栽培や甲州種垣根式栽培への取組が書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内中価格帯ワインの70%が輸入ワインで占められ、TPP後の競合激化と甲州の繊細な香味という強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    圧搾コルクの溶存酸素による保存性の不安定さという課題を認識し、スティルバン採用と充填装置導入で対応する流れは読み取れるが、事業計画の数値は薄い。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化の目標値や賃上げの数値目標は記載がなく、輸出拡大という方向性のみがうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    工場長が農学博士・ワイン科学士で、2015年度の技術賞受賞などの技術体制はうかがえるが、補助事業の遂行体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    デキャンターアワード金賞やベスト50選出など品質の裏付けがあり、甲州の食との相性という選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    充填装置導入による品質向上と輸出拡大は書かれるが、スケジュールや課題解決の具体的な遂行方法は記載がない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    欧州系ワインが中心の市場で、日本固有品種甲州の高品質化とデキャンター金賞という高水準の付加価値化が具体的に書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    日本固有ブドウのアイデンティティや和食ブームによる輸出拡大への言及はあるが、波及効果や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    充填装置に窒素注入の脱気機能が付加された点は書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は記載がない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    輸出拡大や海外市場への展開はうかがえるが、成長分野への進出による構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及3

    山梨県甲州市勝沼の地域ブドウを活かした甲州ワインと、県内農家からの原料買い付けが書かれ、地域資源の活用はうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

  • 目標:山梨県内の農家から買い付ける平均的な品質の原料ブドウの平均糖度は15~16度で、ワイン用に要求される20度以上には届いていない。
  • 目標:国内市場の内訳を見ると約70%が輸入ワインで占められている。

事業者の声

来年つくるワインが一番いいワイン

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

群馬県製造業平成29年度

冷凍マグロ専用刺身醤油の試作開発

鰹節の厚さと抽出温度を管理するため、ガス式スチームコンベクション、小型鰹節削り機、プレハブ冷蔵庫、冷蔵ユニット、小型軽量充填機、打栓機を導…

効果:製造ロット 32.5kg→65kg

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。