ものづくり補助金平成28年度製造業山梨県

タンク内二次発酵法による甲州種スパークリングワインの技術開発

株式会社塩山製作所

この事例のポイント

  • 炭酸ガスを添加する方法では泡が大きくムラがあり、グラスに注いだ後の炭酸ガスの発生時間が短いという欠点があった。
  • 独自開発した温度コントロール装置付きの低温保持耐圧タンクを2基導入した。
  • タンク内二次発酵により、炭酸ガスを添加する方法よりコスト面で優位でありながら、瓶内二次発酵法と同様の品質を得られる甲州種スパークリングワインの生産技術を確立した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社塩山製作所
所在地山梨県 甲州市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野バイオ
従業員数29人
資本金4,000万円
設立1984年

事業の背景

株式会社塩山製作所は35年余り半導体事業を展開してきたが、半導体の仕事は浮き沈みが激しく、この地でなければできない仕事ではない。実際に多くの国内メーカーが生産拠点を海外に移している。松坂社長は勝沼にぶどう畑を持つ4代目のぶどう農家で、こうした状況の中でワイン事業への参入を決断した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度炭酸ガスを添加する方法では泡が大きくムラがあり、グラスに注いだ後の炭酸ガスの発生時間が短いという欠点があった。
  • コスト・採算瓶内二次発酵タイプは市場で好まれるが、コストを抑えつつ瓶内二次発酵と同等の品質を得る製法が必要だった。
  • 生産能力甲州ブドウ特有の香味を守るには低温で発酵できるタンクが必要で、高圧の状態で瓶詰めする設備も整える必要があった。

やったこと

独自開発した温度コントロール装置付きの低温保持耐圧タンクを2基導入した。タンクでの生産を繰り返しながら、ガス圧の変化、発酵温度、酵母状態の評価分析を行い、外観、香り、味、余韻などで最高点を得た酵母1種類に絞り込んだ。その酵母を使ってタンク内で二次発酵させたスパークリングワインを生産し、量産で使える最適なプロセス条件を構築した。タンク内二次発酵した高圧状態のワインを瓶詰めするため、スパークリング専用のカウンタープレッシャー充填機を導入した。ガス圧が抑えられる低温のままタンクから瓶詰め機へ供給できるよう生産ラインを改造し、高圧力対応の瓶詰めラインを整えて瓶詰めの量産体制を構築した。

その他温度コントロール装置付き低温保持耐圧タンク(2基)
加工機カウンタープレッシャー充填機(プレッシャー充填機)

新しい製品・サービス:甲州種スパークリングワイン(タンク内二次発酵)

事業の効果

タンク内二次発酵により、炭酸ガスを添加する方法よりコスト面で優位でありながら、瓶内二次発酵法と同様の品質を得られる甲州種スパークリングワインの生産技術を確立した。香りがよくフレッシュ感のあるカジュアルなスパークリングとして2018年から販売を開始し、高い人気を集めている。製造プロセスを量産体制で構築したことで、安定した商品供給が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    半導体事業35年余の実績はあるが、ワイン参入が既存事業とどう連動するかは事例中で具体的に述べられていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    多くの国内メーカーが海外移転する中、この地で契約農家と組む土地の味を重視する方針が書かれているが、市場との比較データは乏しい。

  • 課題の認識と解決3

    炭酸ガス添加法の泡の欠点と瓶内二次発酵の品質を課題として示し、タンク内二次発酵で解決した経緯が述べられている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    2018年から販売し人気とあるが、付加価値額や賃上げの目標数値は示されておらず、目標の記載はうかがえるだけ。

  • 事業を進める体制3

    醸造家と栽培家を探し出しタッグを組んだと書かれ、体制の一部は読み取れるが人員や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    香りのいいフレッシュ感のあるスパークリングを求め、コストを抑えつつ瓶内二次発酵並みの品質という顧客像と価値が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    タンクでの生産を繰り返し評価分析して最適条件を導き、ロゼの販売計画も述べられているが、スケジュールは乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    日本で多い炭酸ガス添加法に対し、タンク内二次発酵の高品質スパークリングを製品化し、高い人気を得ていると具体的に書かれている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    半導体工場の建物をワイナリーに転用した点は読み取れるが、地域経済波及や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    タンク内二次発酵の生産技術確立は書かれているが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は述べられていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    半導体の生産拠点が海外へ移る中、国内でワイン事業に転換した事例として構造転換の一端がうかがえる。

  • 地域経済への波及4

    勝沼の在来品種甲州とマスカット・ベリーAを使い、この土地でしかできないワインを自社畑と契約農家で製造していると具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

来年以降はロゼも販売する計画で、新たな魅力を打ち出していく。土地から味が想像できるワインを育てていく方針である。

事業者の声

「これからのものづくりは世界的なものを育てていかないと、生き残ることは難しいと思います。」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。