ものづくり補助金平成28年度製造業岐阜県

自動車部品用検査治具の生産性向上を実現する手修正レス製造工程の確立

有限会社大野木型

成果組付け後の品質精度 0.15mm→0.1mm

この事例のポイント

  • 加工誤差の修正と再検査に高い技術力と多くの時間を要していた。
  • 最新の3軸加工機(熱変位制御機能を搭載した高精度加工設備VCN-700D)を導入し、加工精度の誤差を最小化した。
  • 組付け後の品質精度 0.15mm→0.1mm。自動補正工程の確立により、誤差の修正や再検査が不要となり、手修正レスでの加工が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社大野木型
所在地岐阜県 可児市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数10人
資本金300万円
設立1988年

事業の背景

当社は自動車部品の寸法精度を検査するための検査治具を製作している。平成23年に先代から事業を継承し、今年で10年目を迎える。当時はリーマン・ショックの影響が残る中で、あらゆる業界の仕事を受注していた。分割製法は業界の主流になりつつあるが、アジアなど新興国でも検査治具製造が本格化し、国際競争が激しくなっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度加工誤差の修正と再検査に高い技術力と多くの時間を要していた。
  • 品質・精度加工設備そのものの精度や、材料の熱収縮、刃具の摩擦・たわみを要因とする加工誤差があった。
  • 品質・精度分割製法では個々に作った部品を組み合わせる際の誤差が累積し、大きな誤差となっていた。
  • 新製品・新技術多様化する製品仕様と複雑化する形状に対応する必要があった。
  • コスト・採算顧客からコスト及び納期を10%削減することを求められていた。

やったこと

最新の3軸加工機(熱変位制御機能を搭載した高精度加工設備VCN-700D)を導入し、加工精度の誤差を最小化した。設備メーカーの検査成績書をもとに加工設備の位置決め精度を検証した。材料の熱収縮、刃具の摩耗、刃具のたわみという3つの誤差要因をまとめて解消する独自の加工方法を考案し、組付け後にペアとなる上下加工物のうち、下段加工時の誤差を上段加工時に補正加工して、組付け後の精度が基準内かを検証した。作業者が経験則で判断していた分割ルールを標準化し、最適な4パターンの分割ルールを手順書にまとめ、補正値管理ファイルへ自動入力するマクロと誤差を補正するプログラムを作成した。サンプルで一連の動作を確認し、補正値が正常に反映されること、組付け後の精度と組付け作業時間を検証した。テーブル幅の制限で1度に1製品しか載せられなかったが、複数パーツを載せられるテーブルを選定して同時加工を可能にした。

加工機高精度加工設備VCN-700D(3軸加工機)
ソフト補正値管理ファイル自動入力マクロ・誤差補正プログラム

事業の効果

  • 組付け後の品質精度 0.15mm→0.1mm
  • 誤差の修正・再検査に要する時間 350分→0分

自動補正工程の確立により、誤差の修正や再検査が不要となり、手修正レスでの加工が実現した。分割製法の累積誤差が相殺されて組付け後の品質が向上し、複数製品の同時加工によって加工時間も短縮された。短納期での対応が可能となり受注できるパーツが増え、検査を省略できる生産体制によって作業効率が大きく向上し、生産コストの削減につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    事例は手掛ける分割製法と業界の主流化を述べ、事業の延長線上にある取組とうかがえるが、経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    分割製法のメリットや新興国の競争激化、顧客からのコスト・納期10%削減要求を挙げ、競争優位の方向性が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    加工誤差の修正と再検査に350分かかっていた課題を示し、自動補正で0分にしたと数字つきで成果まで書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    コスト・納期10%削減の目標が示され、精度±0.15mmから±0.1mm以下、350分から0分など具体的な改善値が書かれている。

  • 事業を進める体制2

    人員は10人の会社と記載があるのみで、補助事業を遂行する体制や事務処理能力についての記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客要求の精度や遠方からの受注増加が書かれ、選ばれる理由として加工精度と短納期が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の取組として主要取引先のライン数増加対応や補助具製造への挑戦が示されるが、スケジュールや解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    分割製法は業界の主流になりつつあるとあり、高水準の高付加価値化を示す記述は限定的である。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    新興国との競争激化や地域の受注増加は触れられているが、国が補助する波及効果や雇用創出の記載は乏しい。

  • 費用対効果3

    コスト削減や作業効率化、検査省略が書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    独自の加工方法やマクロによる自動補正が書かれるが、デジタル技術の活用がサプライチェーン全体のイノベーションに及ぶ記述は少ない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    岐阜県可児市の地域企業で、東海から中国・九州への受注拡大が書かれるが、地域の特性を活かした雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は、現在の主要取引先である自動車メーカーのライン数増加に対応するため、検査治具の供給に力を入れる。あわせて、加工用ラインの補助具製造を請け負うという新たな取り組みにも挑戦していく。

事業者の声

良いものをどうすれば早く作れるのか

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。