ものづくり補助金平成28年度製造業愛知県

IOTを活用した次世代微細加工プラスチック製品の開発

玉野化成株式会社

成果コストは見込み通り1個が従来品の約半分を達成

この事例のポイント

  • 国内市場縮小の潮流の中、新規事業の企画と新製品の開発が急務だった。
  • 次世代燃料電池車の冷却装置用精密メッシュフィルターの樹脂化に挑戦した。
  • コストは見込み通り1個が従来品の約半分を達成。樹脂単一製品の量産化を実現し、従来品の約半分のコストを達成した。

事業者のプロフィール

事業者名玉野化成株式会社
所在地愛知県 名古屋市
業種プラスチック製品製造業
技術分野精密加工
従業員数213人
資本金8,000万円
設立1968年

事業の背景

玉野化成は射出成形と部品組立で、自動車部品から医療機器部品まで精密プラスチック部品を製造している。主力のウォッシャーノズルは年間3000万個以上出荷され、国内シェア65%、世界シェア17%とされる。一方、海外での部品現地調達や人口減少による国内市場縮小の動きが自動車産業に向かっており、新製品開発が急務となっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術国内市場縮小の潮流の中、新規事業の企画と新製品の開発が急務だった。
  • 新製品・新技術次世代燃料電池車の冷却装置に使う、金属製メッシュフィルターを樹脂化する必要があった。
  • 品質・精度金属メッシュは樹脂との接合にコストがかかり、網の端がほつれたり編み目が片寄って不純物を通すなどの機能不具合が起きていた。

やったこと

次世代燃料電池車の冷却装置用精密メッシュフィルターの樹脂化に挑戦した。金属メッシュ部を樹脂に置き換え、樹脂の単一製品として微細メッシュを開発した。製品サイズは直径60ミリメートル、高さ140ミリメートルで、直径0.1ミリメートルの穴と線径0.2ミリメートルからなる微細メッシュを射出成形で作る。0.01秒単位で指令が有効な高速射出成形機「ロボショットα-S100iA」を導入し、試作品のバリや欠肉、結合部の強度不足を順に解決した。速度や圧力、温度、時間、位置などの成形条件の組合せを分析し、成形トライ時のデータを全て蓄積して最適条件を見つけた。

加工機ロボショットα-S100iA(ファナック製高速射出成形機)
検査測定内圧センサー
ソフト成形データの蓄積・管理システム

新しい製品・サービス:樹脂単一構造の次世代燃料電池車向け微細メッシュフィルター

事業の効果

  • コストは見込み通り1個が従来品の約半分を達成

樹脂単一製品の量産化を実現し、従来品の約半分のコストを達成した。他社との価格競争力も十分に備えた。樹脂だけで微細メッシュを製造したことで、プラスチックのさらなる可能性を感じたとされる。成形データの蓄積と分析を通じてIoT化をスタートさせ、スマート工場化への期待も膨らんでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のウォッシャーノズル製造の延長で精密樹脂部品の専門性を示し、燃料電池車向け冷却装置フィルターへ展開したと読める。ただし中長期の位置付けは具体性が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国内シェア65%、世界シェア17%、年3000万個以上という実績が示される一方、国内市場縮小への危機感が書かれ、競争優位の根拠は部分的。

  • 課題の認識と解決3

    金属メッシュの接合コストや端部のほつれという課題を認識し、樹脂化で解決した経緯が書かれている。成長計画の数値は示されていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    コストは従来品の約半分を達成と書かれ数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員213人と精密成形の専門技術は読めるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    0.1ミリメートルの穴と線径0.2ミリの微細メッシュ、直径60〜140ミリという製品仕様と、燃料電池車向け冷却装置という顧客ターゲットが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作での問題点(バリ、欠肉、結合強度)を順に解決して量産化したと段階が書かれているが、今後のスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    0.1ミリの微細メッシュを射出成形で作ることは前例がなく、他社との価格競争力も備えたと、高付加価値化の内容が具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    燃料電池車の冷却装置という次世代分野への貢献は読めるが、雇用創出や波及効果の数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額や費用対効果の数字は書かれておらず、コストが従来品の約半分になったという結果のみがわずかにうかがえる。

  • イノベーションへの貢献3

    IoTの成形条件分析やスマート工場化への取組が書かれており、デジタル活用の方向性は読めるが、地域やサプライチェーンへの貢献は示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    次世代燃料電池車という成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及2

    名古屋市南区の企業であることは書かれているが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は見当たらない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

スマート工場化への期待が膨らんでいる。

  • 目標:ウォッシャーノズルの年間出荷実績は3000万個以上

事業者の声

プラスチックの可能性を感じた

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。