ものづくり補助金平成28年度製造業京都府

分散機導入による難燃性と接着性の機能を併せ持つ難燃性接着剤及び導電性接着剤の生産性向上の実現

ヒエン電工株式会社

成果補助事業前の1/2の加工日数

この事例のポイント

  • 当社の売上は船舶用電線が多くを占めており、好不況の波が大きい造船業に左右されるため、売上を安定させるために船舶用電線以外の事業の柱を育てることが課題となっている。
  • 分散機(ホモジナイザー、ビーズミル、ボールミル)を導入し、難燃性接着剤と導電性接着剤の生産性を向上させた。
  • 補助事業前の1/2の加工日数。分散機の導入により、難燃性接着剤の加工日数は補助事業前の1/2、導電性接着剤は1/8に短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名ヒエン電工株式会社
所在地京都府 福知山市
業種プラスチック製品製造業
技術分野複合・新機能材料
従業員数113人
資本金9.979億円
設立1954年

事業の背景

当社は船舶用電線の専業メーカーとして1954年の設立以来、造船分野・土木加工分野・エレクトロニクス分野を中心に事業を展開してきた。当社の売上は船舶用電線が多くを占めている。当社のコア技術である接着塗工技術を活用し、OA機器や家電機器の配線に使われるフレキシブルフラットケーブルの外側に巻き付ける遮蔽(シールド)テープを新規に開発した。新開発の遮蔽テープを使用したフレキシブルフラットケーブルが複写機で採用された実績があり、高い評価を受けている。近年、カーナビゲーションや車載レーダー等の自動車への電子機器搭載が進み、配線密度の高いフレキシブルフラットケーブルの採用が増加している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑当社の売上は船舶用電線が多くを占めており、好不況の波が大きい造船業に左右されるため、売上を安定させるために船舶用電線以外の事業の柱を育てることが課題となっている。
  • 新製品・新技術分散機で行う大量生産時にも、従来の分散機と同じ品質・性能を実現することが課題である。
  • 生産能力大量生産による生産性向上とコストダウンによる価格競争力の向上が課題である。

やったこと

分散機(ホモジナイザー、ビーズミル、ボールミル)を導入し、難燃性接着剤と導電性接着剤の生産性を向上させた。ホモジナイザーで難燃性接着剤の前分散(粗練り)を行い、ビーズミルで均一に分散させ、ボールミルで導電性接着剤の分散を行う。分散後、コーティングマシンで層状に塗布し、4,000㎡の遮蔽テープのシートを作って任意の幅に切断する。分散機の大型化が品質に与える影響を確認するため、色調、粒子径と分布、粘度、強度等を評価し、遮蔽テープの状態で外観、引張強度、接着強度、導電性、難燃性等を評価した。生産量、製造時間、加工日数、製造経費等を評価して生産性と価格競争力を確認した。熟練作業者と技術部門の協力で機械の設定を微調整するノウハウを蓄積し、大量生産時でも従来の分散機と同じ品質・性能を確保できた。

加工機ホモジナイザー
加工機ビーズミル
加工機ボールミル

新しい製品・サービス:難燃性と接着性を併せ持つ難燃性接着剤、および導電性と接着性を併せ持つ導電性接着剤、これらを用いた新規遮蔽テープ

事業の効果

  • 補助事業前の1/2の加工日数
  • 補助事業前の1/8の加工日数
  • 補助事業前の1/2の製造経費
  • 補助事業の完了時比約1,100%

分散機の導入により、難燃性接着剤の加工日数は補助事業前の1/2、導電性接着剤は1/8に短縮された。製造経費も1㎡換算で補助事業前の1/2に抑えられ、大量生産による生産性向上と価格競争力の強化が実現した。大量生産時にも従来と同じ品質・性能を確保でき、他社品との比較でも性能とコストパフォーマンスに優れる結果となった。遮蔽テープの販売実績は補助事業の完了時比で約1,100%と順調に伸びている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    船舶用電線が売上の多くを占める中で、接着塗工技術を活かし機能性フィルム事業を柱に育てる方針が明記されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    他社3社との比較表で性能とコストの優位性を示し、1,100%の販売伸長や持続的な競争優位にも言及している。

  • 課題の認識と解決5

    船舶需要の好不況による売上変動を課題と認識し、加工日数を1/2・1/8、製造経費を1/2に削減した数値を示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    賃上げの目標は見当たらず、付加価値額の目標値も示されていない。生産性の改善結果は書かれている。

  • 事業を進める体制3

    熟練作業者と技術部門が協力して機械設定を調整し、試運転後に二つのテストと評価を行ったことが読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    遮蔽テープの対象用途をフレキシブルフラットケーブルとし、複写機での採用実績や自動車向け需要を具体的に示している。

  • 事業化までの道筋3

    既存製品の深耕と医療・オプトエレクトロニクス分野への展開を今後の計画として示しているが、時期や手順は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    新開発の5層構造遮蔽テープは、他社品より性能とコストパフォーマンスが優れると比較試験で評価されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    自動車のEV化や家電の省エネ化への社会的要請に応える電子部品向け素材として、需要増加の見通しが述べられている。

  • 費用対効果3

    製造経費が1/2になったことや販売が約1,100%伸びたことは書かれているが、補助金額と付加価値増加の比較はない。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタル技術の活用や新しいビジネスモデルについての記述は少なく、わずかに新領域展開がうかがえる程度である。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    自動車電子機器や産業用機器の小型化・高効率化の進展を背景に、機能性フィルム分野へ進出する方向性が示されている。

  • 地域経済への波及2

    京都府福知山市の長田野工場で事業を行うと記載されているが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自動車のEV化、各種産業用機器・家電機器の省エネルギー化により電子部品の小型化・高効率化が進展すると予想される。遮蔽テープの更なる品質向上とコストダウンを図るとともに、既存製品の性能面での深耕(耐熱、ヒートサイクル対応等の強化)と、医療・メディカルやオプトエレクトロニクス分野への周辺領域展開を継続し、多機能性フィルム事業を事業の柱のひとつに育て上げる計画である。

事業者の声

一つだけのものを。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。