ものづくり補助金平成28年度製造業兵庫県

軽合金素材での金属造形技術確立とリバースエンジニアリング分野への進出

伊福精密株式会社

この事例のポイント

  • リーマンショックや各種天災などで顧客からの受注が停滞、または大幅に減少する局面が何度かあり、顧客の動向に影響を受けすぎない事業体制が必要だった。
  • 軽合金(アルミやチタン等)に対応した3Dプリンターと、図面のない現品からデータを作成できる3Dスキャナを導入した。
  • 3Dプリンティングにより、既存部品の複製だけでなく、切削加工では実現できなかった複数部品の単品化や、3次元水管を配置した金型などの提案が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名伊福精密株式会社
所在地兵庫県 神戸市西区
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,立体造形
従業員数43人
資本金5,000万円
設立1980年

事業の背景

当社は従来、自動車関連の部品試作及び量産を主な業務としていた。事業を続けるなかで、リーマンショックや各種天災などにより顧客からの受注が停滞、または大幅に減少する局面が何度かあった。そのため、切削加工事業を強化する新領域として、成長が見込める金属3Dプリンティングと3Dスキャンを行う3D事業への進出を決断した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑リーマンショックや各種天災などで顧客からの受注が停滞、または大幅に減少する局面が何度かあり、顧客の動向に影響を受けすぎない事業体制が必要だった。
  • 新製品・新技術従来の材料顧客支給の受託加工から、材料を自社で持つ高付加価値業務へ進出する必要があった。
  • その他発注側が不要になった金型を受注側へ通知せず、受注側が長期間その金型を保有し続ける状況が発生していた。

やったこと

軽合金(アルミやチタン等)に対応した3Dプリンターと、図面のない現品からデータを作成できる3Dスキャナを導入した。レーザースキャナーとCADソフトウェアを用いて現物から製品のデジタルデータを作成するリバースエンジニアリングサービスを実施した。マルエージング鋼、ステンレス、インコネル、チタン、アルミニウム、コバルトクロムモリブデンなどの金属粉体材料で金属製品を製作できる金属3Dプリンターを導入した。金型のデジタル倉庫サービスでは、長期保有金型をスキャニングし、加工特性を考慮して仕上り品の形状を算出し、仕上り品の3Dデータを作成・補完した。データ作成にとどまらず金属3Dプリンティングによる生産も請け負い、金型レスのものづくりを実現した。生産品はレーザー測定により現物との差分を3Dデータで比較し、従来の一部測定による公差確認よりも明瞭な品質保証を行った。

加工機金属3Dプリンター
検査測定3Dスキャナ(レーザースキャナー)
ソフトCADソフトウェア(3DCAD)

新しい製品・サービス:3Dプリンティングを用いた金型レス加工およびリバースエンジニアリングサービス

事業の効果

3Dプリンティングにより、既存部品の複製だけでなく、切削加工では実現できなかった複数部品の単品化や、3次元水管を配置した金型などの提案が可能になった。医療分野など個人に合わせた複数サイズ展開や詳細なサイズオーダー部品も、3Dデータを加工して成型することで実現できるようになった。金型の長期保有問題に対しては、金型のデジタル倉庫サービスとして金型レスの生産を提供できるようになった。レーザー測定による品質保証により、加工精度の明瞭な確認が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    自動車部品の試作・量産から切削加工へ、3D事業へ進出する経緯が書かれ、過去の取組との連続性は読み取れるが、経営戦略上の位置づけの明記は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    リーマンショックなどで受注が減った外部環境と金属加工の知見を踏まえた進出が書かれているが、競争優位の定量的な根拠は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    受注変動への脆弱性という課題を認識し、材料当社持ちの高付加価値業務へ進出する方針が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性向上や売上・付加価値増加を目指すとあるが、数値目標や実現見込みは書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    3DCADや3Dプリンター資格の全社員習得、設備導入と技能習得に努めていると書かれ、体制の一端はうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    金型レスものづくりや複数部品の単品化、医療分野の個人別サイズ部品など、顧客ニーズと提供価値が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    デジタル倉庫サービスの提供開始や品質保証の方法は書かれているが、中長期のスケジュールや課題解決の方法は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    金属3Dプリンティングとリバースエンジニアリングを組み合わせ、従来の切削では実現できない加工を提供する点が書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    金型の長期保有という下請け問題への言及はあるが、地域波及や雇用創出といった国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果2

    投入額に対する付加価値額の増加や費用対効果を示す数字は書かれておらず、わずかに効果がうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献4

    レーザースキャナー、CAD、金属3Dプリンターを組み合わせ、デジタル金型倉庫サービスなど新しい業務モデルを構築している点が具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    金属3D事業という成長分野への進出が書かれているが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    神戸市の企業であることは書かれているが、地域の特性を活かした付加価値創出の記述はわずかである。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

金属3Dプリンターを用いた加工品の国内での普及を目指す。金属3D事業を行う金属加工業を増やし、アライアンスを締結することを希望している。金属を熟知した製造業が3D事業を推進することで、世界の企業から認められる高品質な金属3D事業が実現できると考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。