ものづくり補助金平成28年度製造業奈良県

生酒製造体制の革新と共に、本物の日本酒で世界を酔わせろ!

株式会社今西清兵衛商店

この事例のポイント

  • 生酒は瓶詰め後に風味の変化(酸化)が早く、海外で流通させるには風味の変化を抑えて通年製造する体制が課題だった。
  • 低温貯蔵設備としてサーマルUSタンクとアルコライザーを導入した。
  • 通常の低温瓶貯蔵より新鮮なしぼりたてに近い状態で出荷できるようになり、生酒の海外展開が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社今西清兵衛商店
所在地奈良県 奈良市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境,測定計測
設立1884年

事業の背景

当社は約30年前から日本酒の輸出を行っていたが、2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録され日本酒愛好家が増え、最近10年間で日本酒輸出量は約2倍に増加した。飽和した国内市場から海外に販路を求める企業も約10倍に増え、海外日本酒市場での競争率は5倍以上に跳ね上がっていた。自社の輸出実績は減少傾向にあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力生酒は瓶詰め後に風味の変化(酸化)が早く、海外で流通させるには風味の変化を抑えて通年製造する体制が課題だった。
  • 新製品・新技術海外市場に生酒を輸出するため、対応可能な製造体制を構築する必要があった。
  • 人手・技能味は社長の舌に頼っており、味の再現性と味の承継に不安があった。

やったこと

低温貯蔵設備としてサーマルUSタンクとアルコライザーを導入した。醸造後にサーマルUSタンクで低温貯蔵し、出荷直前にSFフィルターでろ過処理して瓶詰めする製造体制を構築した。アルコライザーで製品の風味・成分をデータベース化し、国・地域ごとの味覚・料理に合う酒の提案を可能にした。海外消費者の味覚に合わせた日本酒の製造・輸出と味の見える化に取り組んだ。

その他サーマルUSタンク
検査測定アルコライザー
その他SFフィルター

新しい製品・サービス:他社が殆ど手掛けていない生酒の海外輸出

事業の効果

通常の低温瓶貯蔵より新鮮なしぼりたてに近い状態で出荷できるようになり、生酒の海外展開が実現した。風味・成分のデータベース化により現地の味覚に合う酒を提案でき、味の再現性が生まれて味の承継への不安が無くなった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    約30年前からの輸出と「鹿のロゴマーク」による海外ブランディングの継続が書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外日本酒市場の競争率が5倍以上に上昇し、輸出実績が減少傾向にあったと外部環境と課題が具体的に示され、他社が手掛けない生酒輸出で差別化する方向が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    輸出実績減少という課題に対し、生酒の通年製造体制構築と低温貯蔵設備導入で対応する流れが書かれており、高付加価値化につながる解決策が読み取れる。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    販路や成果は述べられるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    事業の遂行体制(人材や事務処理能力)についての記述は見当たらず、わずかに承継や社長の役割が触れられるにとどまる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    新鮮なしぼりたての出荷、国・地域ごとの味覚に合わせた酒の提案、味の再現性という価値と顧客ターゲットが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    低温貯蔵・ろ過・データベース化という工程は読み取れるが、スケジュールや中長期の検証方法の記述は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    他社がほとんど手掛けていない生酒の海外輸出を計画し、同分野で高付加価値化を図る点が明確に書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    海外販路拡大や奈良の伝統の継承はうかがえるが、経済波及や雇用創出などの国が補助する理由は示されていない。

  • 費用対効果2

    設備導入による費用対効果を示す数字や付加価値増加の記載がなく、効果は定性的な記述にとどまる。

  • イノベーションへの貢献3

    アルコライザーによる風味データベース化など、データ活用での味の見える化が書かれているが、業界全体への貢献は示されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    海外需要の拡大に対応する取組とはうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとの記述はない。

  • 地域経済への波及3

    奈良の地と南都諸白の伝統、国際観光都市としての地域性を活かしたブランド戦略が書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。