ものづくり補助金平成28年度製造業奈良県

日本酒版ドメーヌ蔵が白ワインに挑む、グレープフルーツ香を醸す醸造技術の確立

倉本酒造株式会社

この事例のポイント

  • 国内日本酒市場は1970年をピークに約3分の1まで縮小しており、代替品の台頭や食事との相性イメージの低下が一因と考えられる。
  • 製造品質・精度・製造効率を高めるため、洗米吸水工程・蒸米工程・貯蔵工程の機材を刷新した。
  • 洗米工程では割米率が90%減り、蒸米工程では水分率が11%改善するなど、各工程で製造品質と効率が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名倉本酒造株式会社
所在地奈良県 奈良市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
設立1871年

事業の背景

昨今の国内日本酒市場は1970年をピークに約3分の1まで縮小している。代替品であるワイン等の台頭や、食事との相性イメージの低下が一因と考えられる。一方で、料理を選ばないフルーティな香りとしっかりした旨味を持つ特定名称酒等は堅調に推移している。当蔵においても高付加価値商品の開発が急務となっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他国内日本酒市場は1970年をピークに約3分の1まで縮小しており、代替品の台頭や食事との相性イメージの低下が一因と考えられる。
  • 新製品・新技術当蔵の高付加価値商品の開発が急務となっていた。
  • 品質・精度醸造工程で偶発的に生じるグレープフルーツ香を、安定して製造できる技術が確立されていなかった。

やったこと

製造品質・精度・製造効率を高めるため、洗米吸水工程・蒸米工程・貯蔵工程の機材を刷新した。洗米工程では割米率を90%減らし、蒸米工程では蒸米後の給水率である水分率を11%改善した。貯蔵工程では濾過フィルターと冷蔵設備を導入し、濾過技術を高めるとともに氷点下以下での貯蔵を可能にして風味変化を抑制した。グレープフルーツ香の技術化には、米品種・精米歩合・酵母・麹歩合を組み合わせた仕込み試験を重ね、4MMPが香る新しいスタンダードの提案に至った。試験開始から3年後の2020年に技術化に成功し、製品化を実現した。

加工機洗米吸水工程の機材
加工機蒸米工程の機材
加工機貯蔵工程の濾過フィルター
その他貯蔵工程の冷蔵設備

新しい製品・サービス:グレープフルーツ香を持つ日本酒(2020年製品化)

事業の効果

洗米工程では割米率が90%減り、蒸米工程では水分率が11%改善するなど、各工程で製造品質と効率が向上した。貯蔵工程では濾過技術が高まり、氷点下以下での貯蔵が可能になって風味変化が抑えられた。グレープフルーツ香を持つ新しい日本酒の製造技術を確立し、2020年に製品化を実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の山水を使う酒造りと、菩提酛造りへの取組が一貫していると読めるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    寒暖差や自社の山水・自家田米を強みとして挙げ、地酒専門店中心の販路と海外展開にも触れているが、市場動向との関係は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    国内市場が約3分の1に縮小し高付加価値商品の開発が急務と課題を示し、第3の香りで差別化する方向は読めるが、事業計画の詳細は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    賃上げや付加価値額の具体的な目標値は記載されておらず、わずかに高付加価値化をうかがわせる記述のみ。

  • 事業を進める体制2

    補助事業で機材を刷新したことは書かれているが、実施体制や人材についての記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    第3の香りであるグレープフルーツ香を持つ日本酒と、白ワイン飲用者の取り込みを狙う点が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    試験開始から3年後の2020年に技術化・製品化したと時期が示され、洗米率90%減などの工程別成果も具体的。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    グレープフルーツ香は日本酒の香りで従来のバナナ系・リンゴ系に分類されない第3の香りとして、他社との差別化が明確とされている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    菩提酛造りの伝統継承や奈良の日本酒産地としての歴史に触れるが、波及効果や雇用創出の数字は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    都祁の寒暖差と湧水という地域特性を活かし、高付加価値の日本酒を生み出す点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。