ものづくり補助金平成28年度製造業島根県

臨床グレード超高純度間葉系幹細胞分離システム構築

PuREC株式会社

この事例のポイント

  • 従来の方法では分化・増殖能力の低い細胞が多く混じるため、再生能力が限定的だった。
  • セルソーターを用いて、骨髄単核球の中から特異的マーカーでヒトMSCを分離し、超高純度で増殖能力が高い「超高純度ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(REC)」の培養を世界で初めて可能にした。
  • 臨床レベルのRECを製造できる環境が整い、研究用RECは市販の他社MSCより高品質の再生能力を示した。

事業者のプロフィール

事業者名PuREC株式会社
所在地島根県 出雲市
業種その他の製造業
技術分野バイオ
従業員数9人
資本金4,500万円
設立2016年

事業の背景

PuRECは島根大学発の第1号ベンチャーで、間葉系幹細胞(MSC)を使った再生医療を手がけている。MSCは骨髄や脂肪、歯髄などから採取でき、国内外で医師主導の臨床治験が行われてきた。同社は島根大学病院と連携して研究を進めてきたが、培養前に純度の高い細胞を分ける方法が課題だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の方法では分化・増殖能力の低い細胞が多く混じるため、再生能力が限定的だった。
  • 品質・精度不純な細胞が毛細血管などに詰まりやすいため、少量ずつ複数回に分けて患者に投与する必要があった。
  • コスト・採算治療効果や患者とドナーの負担、コスト面などに課題があった。

やったこと

セルソーターを用いて、骨髄単核球の中から特異的マーカーでヒトMSCを分離し、超高純度で増殖能力が高い「超高純度ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(REC)」の培養を世界で初めて可能にした。今回、細胞を分離できるデスクトップセルソーター、高い清浄度を保つクリーンブース、培養した細胞を保存する液体窒素保存容器を導入した。これにより、研究用に加えて臨床レベルのRECを製造できる環境が整った。市販の国内他社MSCと比較した試験では、RECは脂肪、骨、軟骨のいずれにおいても高品質の再生能力を示した。マウスへの実験では肺にトラップされず、一度に大量投与が可能であることも確認された。

  • その他デスクトップセルソータークリーンブース液体窒素保存容器

新しい製品・サービス:臨床グレードの超高純度間葉系幹細胞(REC)

事業の効果

臨床レベルのRECを製造できる環境が整い、研究用RECは市販の他社MSCより高品質の再生能力を示した。マウス実験では肺にトラップされず、一度に大量投与できることが確認された。RECは低ホスファターゼ症の治療に使われる予定で、細胞移植の合併症である急性GVHDなどへの効果も認められている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性通常の約1000倍の薬効性を持つ高純度細胞培養技術と、市販他社MSCとの比較で高品質の再生能力を確認しており、競争優位性が具体的。
  • 4
    新しさ・高付加価値ヒトMSCの特異的マーカーを発見し超高純度培養を世界で初めて可能にしたとあり、同分野で高水準の高付加価値化を図っている。
  • 4
    イノベーションへの貢献セルソーターによる超高純度細胞の分離と臨床グレード製造の仕組みは、再生医療分野の技術革新として地域の大学連携にも寄与する。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標2019年内の低ホスファターゼ症患者への投与予定や2021年頃の適用拡大は示されるが、付加価値や賃上げの数値目標は記載がない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    島根大学病院との連携によるMSC臨床研究の蓄積を背景に、大学発ベンチャーとして研究から臨床製剤化へ進む一貫した方向性が示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    通常の約1000倍の薬効性を持つ高純度細胞培養技術と、市販他社MSCとの比較で高品質の再生能力を確認しており、競争優位性が具体的。

  • 課題の認識と解決3

    従来法の分化・増殖能の低い細胞混入や詰まりによる分割投与などの課題を認識し、セルソーターによる純度向上で解決を図っている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    2019年内の低ホスファターゼ症患者への投与予定や2021年頃の適用拡大は示されるが、付加価値や賃上げの数値目標は記載がない。

  • 事業を進める体制3

    島根大学医学部の教授が取締役を務め、大学の研究室に拠点を置く体制で研究を進めている。ただし従業員は9名と小規模。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    低ホスファターゼ症などの難病、心筋梗塞、脳梗塞への適用を想定し、ターゲット疾患と治療上の利点(大量投与が可能)が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    臨床グレードへの動物実験の繰り返し、2019年内の投与予定、2021年頃の適用拡大という段階的なスケジュールが示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ヒトMSCの特異的マーカーを発見し超高純度培養を世界で初めて可能にしたとあり、同分野で高水準の高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性3.5
  • 波及効果・雇用3

    難病や心筋梗塞など患者数の多い疾患への適用を目指しており、再生医療の早期実現という社会的意義が示されている。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献4

    セルソーターによる超高純度細胞の分離と臨床グレード製造の仕組みは、再生医療分野の技術革新として地域の大学連携にも寄与する。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    再生医療という成長分野への進出は読み取れるが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及3

    島根大学発の地域ベンチャーとして出雲キャンパスを拠点に、高い付加価値の研究開発を進めている点が読み取れる。

今後の展望

2019年内に低ホスファターゼ症の患者への投与を予定し、2021年頃までに心筋梗塞や脳梗塞など患者数の多い疾患への適用を目指す。今年度中には大型増資も予定している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。