ものづくり補助金平成25年度製造業愛知県

粒子状の薬剤を少ない損失で肺に投与できる経肺薬剤投与器具―高効率ネブライザーの試作開発

原田車両設計株式会社

この事例のポイント

  • 経肺投与では薬剤が口腔・咽頭・気管の内壁に付着し、患部に届く割合が投与量の半分以下になることもあり非効率である。
  • 流体力学に基づく数値シミュレーションから、高い送達率が期待できる薬剤噴射ノズルを試作した。
  • 固体粉末を450mm以上送達させることに成功し、流れの制御により空気を曲げることもできた。

事業者のプロフィール

事業者名原田車両設計株式会社
所在地愛知県 愛知県みよし市
業種その他の製造業
技術分野測定計測,立体造形
従業員数92人
資本金3,000万円
設立1998年

事業の背景

原田車両設計は3次元CADを用いた設計技術をコアに、自動車の樹脂部品、シート部品、ワイヤハーネスなどの設計を手がけており、社名の通り自動車分野が主力である。近年は航空機のコックピットのトレーニング装置を製作するなど、他分野にも積極的に事業展開している。経肺薬剤投与は即効性や副作用の少なさから期待が高まっており、同社は「モノづくりの力で何とかしたい」と高効率なネブライザーの開発を目指した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度経肺投与では薬剤が口腔・咽頭・気管の内壁に付着し、患部に届く割合が投与量の半分以下になることもあり非効率である。
  • その他患部以外への薬剤付着により二次疾患が発生することもある。
  • その他薬剤が高価なため投与量に対する薬効が低いと、患者の経済的負担にもつながる。

やったこと

流体力学に基づく数値シミュレーションから、高い送達率が期待できる薬剤噴射ノズルを試作した。ものづくり補助金で粒子イメージ流速計測装置(PIV装置)を導入し、空気の流れを可視化する検証に取り組んだ。口から肺までの距離を400~500mmとみなし、薬剤送達距離の目標を450mmに設定した。空気曲げ実験や流れ分布の形成メカニズムの考察を重ね、ノズル構造や流路ケースの見直しを続けた。最終的に固体粉末を450mm以上送達させることが可能になった。

検査測定粒子イメージ流速計測装置(PIV装置)

新しい製品・サービス:高効率ネブライザー(経肺薬剤投与器具)の試作開発

事業の効果

固体粉末を450mm以上送達させることに成功し、流れの制御により空気を曲げることもできた。狭い流路でも流路壁に非接触で曲がり抜ける空気流や粉末飛跡の映像記録化ができた。一方、目標としていた70%の薬剤送達率は未達となった。補助金を機に医療分野への参入のきっかけを得て、事業化への責任感や人脈、関連情報が広がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    自動車分野が主力で3次元CAD設計を中核に、近年は航空機コックピット訓練装置など他分野へ展開していると書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    3次元CAD技術を強みとし、自動車部品設計から医療分野へ挑戦したと読み取れるが、市場動向との関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    経肺投与で患部到達率が投与量の半分以下になる課題を挙げ、高効率ネブライザーの開発で解決を図る方向性が書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    薬剤送達距離の目標を450mmに設定し、450mm以上の送達を実現したと書かれているが、付加価値や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    開発室の担当者2名が実験を続けたと書かれているが、体制や人材、事務処理能力の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    経肺投与で注射の肉体的苦痛がなく即効性が期待できると、製品の価値と顧客への効果が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    流体シミュレーションから噴射ノズルを試作し、PIV装置で検証する段階的な開発手順が書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    経肺投与は注目が高まっているが、従来のネブライザーより高効率な方式の水準は具体的に書かれていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    医療分野への挑戦が補助金の利用をきっかけに進んだと書かれ、新たな需要や分野開拓に触れている。

  • 費用対効果2

    補助金の投入額や付加価値額の増加は書かれておらず、費用対効果はうかがえる程度にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    PIV装置による流速計測の活用は書かれているが、サプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療分野への進出が書かれているが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及2

    愛知県みよし市の企業であることは書かれているが、地域の特性を活かした付加価値や雇用の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も高効率ネブライザーの完成を目指し、開発に邁進する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。