ものづくり補助金平成28年度製造業広島県

医療用途拡大に伴うギヤポンプ部品の高精度化及び増産体制の構築

大和精機有限会社

成果基準穴の位置精度 12μm→5μm

この事例のポイント

  • 医療用ギヤポンプ部品の増産に対応するため、熱処理による焼入れ歪みの誤差を熟練工の経験に頼って予測しており、基準穴の位置精度は従来±12μmにとどまっていた。
  • 高精密浸漬型ワイヤ放電加工機を導入し、加工時間を従来同等に保ったまま同時加工枚数を3枚から6枚に倍増させた。
  • 基準穴の位置精度 12μm→5μm。高精度な予測と加工により、ギヤケースの穴位置精度が約半減し、医療用ギヤポンプ部品の品質が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名大和精機有限会社
所在地広島県 広島市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数16人
資本金1,500万円
設立1972年

事業の背景

当社は金属の精密加工を得意とし、紡糸設備などに使われる部品を100%受注して加工している。主要顧客は自動車やロボット製造などで使われる紡糸設備等を製造するメーカーである。近年は極細繊維が必要とされる人工透析機の中空糸などの医療分野で市場が拡大しており、ギヤポンプ部品への需要が高まっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度医療用ギヤポンプ部品の増産に対応するため、熱処理による焼入れ歪みの誤差を熟練工の経験に頼って予測しており、基準穴の位置精度は従来±12μmにとどまっていた。
  • 生産能力ギヤケースの焼入れ後の穴加工では同時加工枚数が3枚に限られ、生産性を高めることが難しかった。
  • 品質・精度平坦に研磨していた面では表面の凹凸が液漏れの原因となり、外周部分で確実にシールする構造を実現できていなかった。

やったこと

高精密浸漬型ワイヤ放電加工機を導入し、加工時間を従来同等に保ったまま同時加工枚数を3枚から6枚に倍増させた。熱処理前の加工歪みをデータベース化し、焼入れ歪み量を予測できるようにして加工精度を向上させた。高精度な重ね合わせ加工により、ギヤケースの同時加工の精度を高めた。研磨方式を加重研磨に改善し、最大2μmの凹凸を吸収できる中低外高の面を仕上げて液漏れレス構造を実現した。

加工機高精密浸漬型ワイヤ放電加工機

事業の効果

  • 基準穴の位置精度 12μm→5μm
  • 同時加工枚数 3枚→6枚
  • 液漏れ量 1μl/min→0.1μl/min

高精度な予測と加工により、ギヤケースの穴位置精度が約半減し、医療用ギヤポンプ部品の品質が向上した。ワイヤ放電加工の同時加工枚数の倍増により生産性が高まり、1枚あたりの加工時間は半分に短縮された。加重研磨による液漏れレス構造は、外周部分での確実なシールを可能にした。これらにより医療分野向けの増産体制と受注拡大が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    精密部品加工を得意とし、医療分野向けギヤポンプ部品への取り組みを展開しているが、過去の取組との連続性は文面から十分に読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    人工透析機の中空糸など医療分野の市場拡大を背景に、±1μmの加工精度や同時加工枚数の倍増など自社の強みを活かす内容が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    穴位置精度を±12μmから±5μmへ、同時加工枚数を3枚から6枚へ倍増、加工時間を半減する目標が示され、課題と解決策が対応している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    位置精度±12μmを±5μmに、同時加工枚数3枚を6枚に倍増する数値目標が示され、成果として加工時間半減も記載されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員16名の事業者であることは分かるが、補助事業を遂行する人材や事務体制について具体的な記述はうかがえない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医療用ギヤポンプ市場の拡大、細管化・小型化の需要、液漏れレス構造による漏れ量の目標などから顧客ニーズと選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    目標や技術内容は示されているが、スケジュールや中長期の課題検証、遂行手順の詳細は文面から読み取りにくい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    医療用ギヤポンプ部品という高付加価値分野で、液漏れを1/10の0.1μl/min以下に抑える目標など高水準化を図る内容が示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    医療分野の市場拡大に言及しているが、国が補助する理由となる波及効果や雇用創出については具体的な記述がない。

  • 費用対効果4

    同時加工枚数の倍増や加工時間半減など生産性向上の数値が示されており、費用対効果を一定程度うかがえる。

  • イノベーションへの貢献3

    最新の高性能放電加工機やデータベース化による予測精度向上などデジタル活用はうかがえるが、サプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療用機器分野の市場成長に触れているが、日本経済の構造転換に資する内容としては具体性が薄い。

  • 地域経済への波及2

    広島市の事業者であることは分かるが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用拡大についての記述はうかがえない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

人工透析機の中空糸や血液回路、カテーテルなどの医療用糸・チューブは市場が拡大しており、細管化・小型化が進んでいる。今後は医療用ギヤポンプ市場でシェアを拡大し、さらなる加工精度の向上と増産体制の構築を目指す。透析装置の増産に伴う部品受注の拡大と、川下企業のギヤポンプ内製化への精密部品加工の協力も視野に入れている。

事業者の声

今までのやり方にとらわれず、新しい発想で生産性を上げていきたいと考えています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。