ものづくり補助金平成28年度卸売業、小売業高知県

ITを活用した自産他商の拡大と品質向上によるブランディング戦略

有限会社さえんばニュー山重

成果スライサーの処理能力 1回転/分(台あたりの回転数)→380回転/分(台あたりの回転数)

この事例のポイント

  • 売上増加に伴い出荷業務が増え、繁忙期には午前中すべてが出荷作業にとられ、夜中まで残業が続いて従業員の負担が大きかった。
  • 高速ミートスライサー(WFC-V360)を導入し、肉の塊を1分間に最高380回転の超高速でスライスして、すき焼き用・しゃぶしゃぶ用・ステーキ用などに商品化する体制を整えた。
  • スライサーの処理能力 1回転/分(台あたりの回転数)→380回転/分(台あたりの回転数)。高速ミートスライサーと急速冷凍機の導入により、スライス作業の人手と時間が大幅に減り、生産性が飛躍的に向上した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社さえんばニュー山重
所在地高知県 高知市
業種飲食料品小売業
従業員数9人
資本金300万円
設立1991年

事業の背景

当社は1991年より高知市菜園場商店街で精肉の店頭販売や学校給食・病院給食の卸売りを行ってきた。2000年9月に楽天市場で通販を始め、2008年には通販部門だけで9,700万円の売上を達成した。その後、2012年にぐるなび食市場、2016年にYahooショッピングに出店し、2016年からは高知市のふるさと納税の返礼品も手がけ、牛肉は常に注文が相次ぐ人気商品となっている。一方で商店街は店舗のシャッターが多く人通りも少ないため、店頭販売の売上増は見込めない状況である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力売上増加に伴い出荷業務が増え、繁忙期には午前中すべてが出荷作業にとられ、夜中まで残業が続いて従業員の負担が大きかった。
  • 生産能力肉のスライス作業には1台のスライサーに1人の熟練者が付きっきりで、切った肉を人の手でトレーに並べる必要があり、時間と人手がかかっていた。
  • コスト・採算パッキングした肉を空冷式の冷凍庫で凍結するのに数時間かかり、その間に鮮度が落ちることは避けられなかった。

やったこと

高速ミートスライサー(WFC-V360)を導入し、肉の塊を1分間に最高380回転の超高速でスライスして、すき焼き用・しゃぶしゃぶ用・ステーキ用などに商品化する体制を整えた。急速冷凍機(テクニカン社製 凍眠 S-220w)も導入し、-20℃以下に冷却したアルコール液の槽に真空パックした食品を入れて短時間で冷凍する方式とした。1cm厚のステーキ肉なら約2分30秒で凍結でき、解凍時のドリップがほとんどない。委託出荷システムを活用して配送業者に在庫を預け、受注に応じて出荷・配送を代行してもらうことで、社員の出荷業務を減らした。

加工機高速ミートスライサー(WFC-V360)
加工機急速冷凍機(テクニカン社製 凍眠 S-220w)

事業の効果

  • スライサーの処理能力 1回転/分(台あたりの回転数)→380回転/分(台あたりの回転数)
  • 空冷式では数時間かかっていたが、アルコール式急速冷凍では1cm厚のステーキ肉を約2分30秒で凍結できる
  • 同一商品100個の製造時間 12.5時間→3.5時間
  • 冷凍商品の保管期間 2.5週→6週

高速ミートスライサーと急速冷凍機の導入により、スライス作業の人手と時間が大幅に減り、生産性が飛躍的に向上した。アルコール凍結により鮮度と色味が保たれ、ドリップが少なく高品質な肉を提供できるようになった。製造量が大幅に増え、年末年始やお中元など繁忙期の商品を前倒しで製造できるようになり、コストダウンにもつながった。委託出荷システムの活用で迅速な出荷が可能になり、社員の出荷業務と負担も減った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    ふるさと納税の返礼品や通販を手がけ、通販で9,700万円売上を達成と書かれ、通販・ふるさと納税が既存の事業の流れにあることがうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    土佐和牛の品質と急速冷凍によるドリップ減少、1か月半の冷凍保管で他社との差別化を図っていると具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    出荷業務増加による残業と作業時間の課題を示し、スライス・冷凍工程の時間を12時間30分から3時間30分程度へ短縮する効果が数字で示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    同一商品100個の作業を12時間以上から3時間30分程度にする目標と効果が示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員9名の規模と出荷業務の負担軽減に触れるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    土佐和牛の品質、急速冷凍による鮮度保持、ふるさと納税での地場産品コラボなど、製品価値と顧客への選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    ふるさと納税の国の方針再構築への対応や、各自治体への商品提案など今後の活動予定は書かれるが、スケジュールの詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    アルコール式急速冷凍を導入する業者は少なく差別化できると書かれ、同分野で高付加価値化を図る方向性がうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域の特産品である高知の土佐和牛と地場産品を活用し、高知県全域の生産者に利益をもたらす機会創出がうかがえる。

  • 費用対効果3

    2機の導入で作業時間が短縮され、繁忙期の前倒し製造やコストダウンにつながったと書かれるが、投入額対効果の数値は示されない。

  • イノベーションへの貢献3

    委託出荷システムや急速冷凍技術の導入でIT活用が見られるが、地域やサプライチェーン全体への貢献の具体性は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    高知市の土佐和牛とふるさと納税を活用し、地場産品との組み合わせで地域活性化に貢献すると書かれているが、雇用創出の数値はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

菜園場商店街の店頭販売は今後も売上増が見込めないため、通販を重要な販路と位置づけ、商品力を高めてブランド力を強化し、自産他商の拡大を目指す。ふるさと納税については、国の方針が再構築される時期を迎えているが、18年にわたって培った通信販売のノウハウを生かし、各自治体に魅力的な商品の提案を行う。地場産品と肉、鰹のたたきを組み合わせるなど冷凍商品のコラボレーションで独創性の高い人気商品を作り、「高知の食の豊かさ」をアピールして地域活性化に貢献する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。