ものづくり補助金平成28年度建設業佐賀県

板厚・径違いコラム溶接に対応する2アーク同時溶接ロボットの導入によるQCDのレベルアップ

大和鐵工株式会社

成果1日あたりの鉄骨柱大組立本数 2本/日→3本/日

この事例のポイント

  • 溶接の熟練工が減少し、若手人材も集まりにくく、慢性的な人手不足が深刻化していた。
  • 鉄骨溶接の生産性と人手不足の解消を目指し、2アーク同時溶接ロボットを導入した。
  • 1日あたりの鉄骨柱大組立本数 2本/日→3本/日。1日あたりの鉄骨柱大組立本数が2本から3本に増え、溶接の生産性が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名大和鐵工株式会社
所在地佐賀県 吉野ヶ里町
業種職別工事業
技術分野機械制御,情報処理,製造環境,接合・実装
従業員数20人
資本金1,000万円
設立1961年

事業の背景

当社は建築工事の中で建物の骨組みとなる鉄骨工事(鋼構造物工事)を行い、建設業者などの取引先から信頼を得てきた。長年、鉄骨の溶接工程のほとんどを熟練溶接工の手作業に頼っていた。東京オリンピック開催に向けて建築需要が高まる中、サイクルタイム短縮と溶接品質の向上が強く求められるようになった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能溶接の熟練工が減少し、若手人材も集まりにくく、慢性的な人手不足が深刻化していた。
  • 品質・精度溶接は負担の大きい作業で、熟練工でも手元のブレによりミスが起きやすく、品質を一定に保つことが難しかった。
  • 品質・精度品質のばらつきを手直しで補うため、手直しに膨大なコストがかかっていた。
  • 生産能力既存ロボットは厚板構造部や開先幅の異なる2つの継ぎ手の溶接で作業効率が悪く、サイクルタイム短縮のネックとなっていた。

やったこと

鉄骨溶接の生産性と人手不足の解消を目指し、2アーク同時溶接ロボットを導入した。導入したREGARC10トン800□柱大組立溶接ロボットシステムは、無人運転時に作業終了予定時刻やトラブル発生をPCやスマートフォンにメールで知らせる監視機能を備える。パス間温度が一定以上に上がった場合でも冷却休止せず、もう片方のパス作業を連続して開始できる。アーク開始前の自動チェック機能や、スラグによりアークが出なかった場合に開始位置を変えて再開始する制御機能もある。溶接電流・アーク電圧・溶接速度をPCに取り込み、リアルタイムに表示するとともに施工レポートを作成できる。2台のロボットを併用すると、ワイヤカットやセンシングの関連作業とスラグ自動除去を同時に行える。同じ溶接時間内で異なる開先断面の溶接条件を自動生成し、最大6mmの異なるルートギャップを溶接できる。

  • ロボットREGARC10トン800□柱大組立溶接ロボットシステム

事業の効果

  • 1日あたりの鉄骨柱大組立本数 2本/日→3本/日

1日あたりの鉄骨柱大組立本数が2本から3本に増え、溶接の生産性が向上した。2台併用によりシングルアーク溶接システムの約1/2の溶接時間で鉄骨柱1本を溶接できるようになった。主要溶接部の高品質化が実現し、熟練工でなくても高品質の溶接ができるようになった。若い人材の確保にもつながり、人手不足の問題も改善された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    付加価値・賃上げの目標1日あたりの鉄骨柱大組立本数が2本から3本に増加し、溶接時間もシングルアーク比約1/2と数値で示されている。
  • 4
    課題の認識と解決熟練工減少による人手不足、手直しコスト、厚板溶接のネックという課題を挙げ、2アーク同時溶接ロボットで解決を図る流れが具体的。
  • 4
    費用対効果導入で1日の本数が2本から3本になり、コスト削減も挙げられており、投入額に対する効果の方向性が具体的に読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制社員数20人と記載があるのみで、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述は読み取れない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の溶接ロボット導入経緯や鉄骨加工事業の位置づけは読み取れるが、経営戦略上の明確な位置づけまでは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    建設業者からの信頼や東京オリンピック前の建築需要増に触れ、強みと外部環境が読み取れるが、競争優位の具体的記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    熟練工減少による人手不足、手直しコスト、厚板溶接のネックという課題を挙げ、2アーク同時溶接ロボットで解決を図る流れが具体的。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標5

    1日あたりの鉄骨柱大組立本数が2本から3本に増加し、溶接時間もシングルアーク比約1/2と数値で示されている。

  • 事業を進める体制2

    社員数20人と記載があるのみで、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客は建設業者等と示され、品質向上による信頼確保の狙いは読み取れるが、ニーズの裏付けや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望として見える化や消耗部品管理、若い人材確保を挙げるが、スケジュールや検証方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性2.0
  • 新しさ・高付加価値2

    鉄骨溶接の自動化で高品質化を図る点はうかがえるが、分野の普及度や高価格化の水準は書かれていない。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用2

    若い人材の確保と受注能力の維持、高まる需要への対応がうかがえるが、波及効果の規模は示されていない。

  • 費用対効果4

    導入で1日の本数が2本から3本になり、コスト削減も挙げられており、投入額に対する効果の方向性が具体的に読み取れる。

  • イノベーションへの貢献3

    ネットワークによるデータの見える化や遠隔通知機能が書かれ、デジタル活用は読み取れるが、業界全体への貢献は書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    佐賀県吉野ヶ里町の企業であることはわかるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

今後の展望

ロボットシステムの導入によりコスト削減が実現したことに加え、溶接データの見える化、消耗部品の把握、トラブル時の通信システムの構築が可能となった。これらを活かして競争力をいっそう高めていく。若い人材を確保して受注能力を維持し、高まる需要に積極的に応えていく。

事業者の声

私たちの仕事は3Kと思われがちで人材がなかなか集まりません。現在は機械化・ロボット化が進んでいることをPRして、若い人達にも興味を持ってもらいたいと思います。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。