ものづくり補助金平成28年度製造業大分県

地元の酒米と希少な白麹を使用した新清酒の開発によるブランドの確立

株式会社小松酒造場

この事例のポイント

  • 酒蔵の再開にあたり、酒造りに必要な設備の多くが古くて使えず、資金の状況を見ながら順次調達する必要があった。
  • 酒造りに必要な設備を調達しながら、本事業では瓶詰めラインの設備を導入した。
  • 瓶詰めラインの導入により、少人数の家族経営でも作業を効率よく完結できる体制が整った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社小松酒造場
所在地大分県 宇佐市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境,バイオ
従業員数3人
資本金100万円
設立2010年

事業の背景

国内の日本酒出荷量は1973年の170万㎘超から近年は50万㎘を下回る水準まで減少し、海外向けは増えているものの全体に占める割合は少ない。一方で若者の日本酒への関心が戻りつつあり、2010年を境に吟醸酒や純米酒などの特定名称酒の出荷量は増加傾向にある。宇佐市長洲地区で1868年に創業した株式会社小松酒造場は、1960年代後半に1500石の生産量を誇っていたが、1988年に杜氏が事故に遭い製造を休止して委託製造を続けてきた。2008年に6代目蔵元の小松潤平氏が戻り、酒造りを再開した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力酒蔵の再開にあたり、酒造りに必要な設備の多くが古くて使えず、資金の状況を見ながら順次調達する必要があった。
  • 人手・技能少人数の家族経営による零細規模で取り組むため、作業効率を高める設備が必要だった。

やったこと

酒造りに必要な設備を調達しながら、本事業では瓶詰めラインの設備を導入した。少人数で取り組む事業のため、作業効率の面からまず優先して導入すべき必須設備と位置づけた。すべての設備は蔵の1階に集め、作業を効率よく完結できるようにした。導入と同時に、地元宇佐産の酒米と白麹を使った新ブランドの酒造りへつなげた。瓶詰めラインは順調に稼働し、白麹を使った夏酒の清酒『豊潤大分三井白麹仕込み』の開発に至った。仕込みに使う酒米の全量に、昭和40年代に姿を消した大分県固有の酒米『大分三井』を地元農家と復活させて用い、蔵の井戸から汲み上げたミネラル分豊富な中硬水を仕込み水に使用した。

加工機瓶詰めライン

新しい製品・サービス:清酒『豊潤大分三井白麹仕込み』

事業の効果

瓶詰めラインの導入により、少人数の家族経営でも作業を効率よく完結できる体制が整った。導入後は設備が順調に稼働し、新ブランドの商品開発にもつながった。白麹と大分三井を使った純米酒は、柑橘系の爽やかな酸味が特徴となっている。地元の酒米と水にこだわった酒質は、米の風味がほどよいバランスで楽しめる理想の味に仕上がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    1988年の製造休止後も委託製造で営業を続け、2008年に6代目が蔵に戻り酒造りを再開したという経緯が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ターゲットを絞った商品展開や大分県固有の酒米『大分三井』の復活など強みは書かれているが、市場データとの比較は少ない。

  • 課題の認識と解決2

    設備が古くて使えないものが多かったという課題認識はうかがえるが、高付加価値化の具体的な計画数値は書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    醸造学科卒業後に関西・四国の酒蔵で7年修業した経歴が書かれ、従業員は3名の家族経営とある。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    辛口で主張しすぎない味、焼酎用白麹を使った柑橘系の酸味、若い女性向けの生酒など、顧客像と商品の特徴が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    設備を順次調達したことや瓶詰めラインを優先導入したことは書かれているが、中長期の遂行方法やスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達2

    資金確保の状況を睨みながら設備を順次調達したと書かれているが、資金調達の見込みや金額は示されていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ピーク時の170万㎘から50万㎘未満への出荷減少を示す一方、特定名称酒の増加や白麹を使った新清酒という差別化が書かれている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    地元の酒米や水を使い宇佐の地域性を活かす点はうかがえるが、経済波及効果や雇用創出の記載は少ない。

  • 費用対効果2

    瓶詰めラインで作業効率を高めたという記載はあるが、投入額に対する付加価値増加などの数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    海外出荷の増加や特定名称酒の伸びなど市場動向に触れるが、日本経済の構造転換との関係は書かれていない。

  • 地域経済への波及4

    宇佐市長洲地区の水と米、地元生まれの酒米『大分三井』の復活など、地域の特性を活かした高付加価値の酒造りが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

一歩ずつ着実に理想の酒造りを切り拓き、『豊潤』ブランドのさらなる高みを目指す酒造りに取り組んでいく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。