ものづくり補助金平成29年度製造業宮城県

従来の4倍以上の厚いLSIウェハに形成できる貫通配線(TSV)技術

東北マイクロテック株式会社

成果最低のステップカバレッジが30%得られた

この事例のポイント

  • 従来は0.05mm厚以下のLSIにしか貫通配線が形成できず、応用範囲が限定されていた。
  • 補助事業では、0.2mm以上の厚いLSIウェハにTSVを形成する技術を開発した。
  • 最低のステップカバレッジが30%得られた。従来は0.05mm厚以下のLSIにしか貫通配線を形成できなかったが、0.2mm以上の厚いLSIウェハへのTSV形成が可…

事業者のプロフィール

事業者名東北マイクロテック株式会社
所在地宮城県 仙台市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野精密加工,精密加工,接合・実装,接合・実装

事業の背景

東北マイクロテック株式会社は東北大学発のスタートアップベンチャーで、東日本大震災で被害を受けた東北地域のものづくり産業の復興と新たな産業の創出を図る拠点「みやぎ復興パーク」を拠点に活動している。大手電機メーカーは自前の研究所を持たなくなり、大手メーカーが研究のために同社を利用するケースが増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術従来は0.05mm厚以下のLSIにしか貫通配線が形成できず、応用範囲が限定されていた。
  • 品質・精度TSV孔の内壁にバリアメタル/シードメタルをスパッタで形成していたため、アスペクト比5以上のTSV側面の一部でほとんど形成されず、電解メッキのCuが底部に形成されずボイドができていた。

やったこと

補助事業では、0.2mm以上の厚いLSIウェハにTSVを形成する技術を開発した。無電解バリアメタル/シードメタル形成装置を導入し、0.2mm以上にウェハを厚く形成してTSV孔を明けた後、スパッタでバリアメタル/シードメタルCuを堆積し、次に無電解メッキでさらにバリアメタル/シードメタルを補強した。この結果、最低のステップカバレッジが30%得られ、その後の電解Cuメッキで十分に埋まる膜厚を確保することができた。

加工機無電解バリアメタル/シードメタル形成装置

新しい製品・サービス:従来の4倍以上の厚いLSIウェハに形成できる貫通配線(TSV)技術

事業の効果

  • 最低のステップカバレッジが30%得られた
  • 形成可能なLSIウェハの厚さ 0.05mm→0.2mm

従来は0.05mm厚以下のLSIにしか貫通配線を形成できなかったが、0.2mm以上の厚いLSIウェハへのTSV形成が可能になった。無電解メッキでTSV孔内壁を被膜し、Cuの堆積を確保できるようになり、電解Cuメッキで十分に埋まる膜厚を得られた。三次元LSIの大手研究所からの引き合いが増え、積層型センサ市場の開拓につながる見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    大学の研究者の知識やノウハウを活かす方針は読み取れるが、過去の取組との一貫性や経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    従来0.05mm厚以下に限られていたTSVを0.2mm以上に拡大し、大手研究所からの引き合いが多いと書かれており、強みと外部環境の関係が読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    薄いウェハでの課題や無電解メッキでのボイド問題は書かれているが、高付加価値化や成長につながる事業計画の内容は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げに関する目標値は記載がなく、わずかに市場浸透を目指すとうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    メーカーとのやりとりで機械を作り上げたと書かれているが、人材や事務処理体制についての記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    従来より4倍以上厚いウェハに対応する価値と、積層型センサ市場の浸透を目的とする顧客ターゲットが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    学会や展示会での発表と市場開拓の方針は示されているが、スケジュールや課題解決方法の詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    TSVの側面形成が難しく、ほとんど世の中にない技術と述べられており、高水準の技術による新市場の開拓がうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    東日本大震災の被災地の復興と新産業創出の拠点で活動すると書かれ、地域への貢献がうかがえるが、経済波及の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加、生産性向上の数値は書かれておらず、費用対効果はわずかにうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献3

    三次元LSIの積層型センサへの応用とアメリカのベンチャーからの提案への期待が示され、イノベーションへの寄与がうかがえる。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    三次元LSIや積層型センサ市場への進出が示されているが、日本経済の構造転換との関連は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    宮城県の復興パークを拠点とし、東北地域のものづくり産業の復興と新産業創出を図る取組として具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

学会や展示会で技術を発表し、積層型センサの市場を開拓していく。研究所だけでなく、海外のベンチャー企業などからの新しいアイディアにも期待している。

事業者の声

今回補助金で導入した機械が非常に大きくなるのでそれをどうコンパクトにするかやコストをどう抑えるかなど、メーカーとやりとりしながら作り上げました。恐らく世の中にほとんどない技術なので、これを持つことは非常に強みになっています。三次元のLSIは大手の研究所からの引き合いが多いですね

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。