ものづくり補助金平成29年度製造業秋田県

「高速度鋼(HSS)」(ハイス)を用いた極小被膜リーマの生産体制高度化の取組み

株式会社第一ツール

成果研削時間 300秒→56秒

この事例のポイント

  • ハイスリーマの製造で、要求精度を満たすための外径円筒研磨工程を職人の手作業に頼っており、多くの作業を要していた。
  • ハイス(高速度鋼)のリーマ先端のネジレ箇所に耐摩耗高硬度被膜を付着させる加工を完成させ、被膜加工したハイスリーマを製品化した。
  • 研削時間 300秒→56秒。外径円筒研磨工程の時間が大幅に短縮され、研削時間は5分から56秒になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社第一ツール
所在地秋田県 大館市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数18人
資本金1,000万円
設立2004年

事業の背景

当社は切削工具の製造販売業者で、主力製品のリーマを自動車・二輪車・家電・自動車部品等のメーカーに納品している。リーマは下穴を要求精度や寸法、形状に仕上げる工具で、国内最極小リーマが最も比率の高い供給製品となっている。素材のハイスは超硬合金の半額未満という価格優位性を持つ。コロナ禍で一時的に受注が減少したが、現在は自動車関連の市況に合わせてリーマの注文が増え始めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ハイスリーマの製造で、要求精度を満たすための外径円筒研磨工程を職人の手作業に頼っており、多くの作業を要していた。
  • 生産能力手作業による研磨工程が納品の長期化や不良品発生の原因となり、生産量が受注に追いつかない状況だった。

やったこと

ハイス(高速度鋼)のリーマ先端のネジレ箇所に耐摩耗高硬度被膜を付着させる加工を完成させ、被膜加工したハイスリーマを製品化した。外径円筒研磨工程に最新のNC円筒研削盤を導入し、精密化、品質の安定化、生産効率の向上を目指した。導入後、研削設備の配置を見直したことで作業者1人が3〜4台を持つ多台持ちが可能になった。

加工機NC円筒研削盤

新しい製品・サービス:ハイス素材を用いた被膜加工リーマ(チタンコーティング)

事業の効果

  • 研削時間 300秒→56秒
  • 受注残高 4.5ヵ月→1.25ヵ月
  • 作業者1人あたり担当台数 1台→3.5台

外径円筒研磨工程の時間が大幅に短縮され、研削時間は5分から56秒になった。研削設備の配置見直しにより作業者1人が3〜4台を持てるようになった。受注残高が4〜5ヵ月から1〜1.5ヵ月程度に縮まり、お客様の短納期要請に応えられるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    長年の研究開発を経て被膜ハイスリーマを製品化したと書かれており、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ハイスは超硬合金の半額未満という価格優位性や、素材選定から仕上げまでの自社一貫生産が可能な点が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    研削時間を5分から56秒に短縮し、受注残を4〜5ヵ月から1〜1.5ヵ月に縮めたという課題認識と成果が具体的に示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    研削時間の短縮や多台持ちでの受注残短縮など数値目標に近い成果は示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員18人の企業であることや熟練技術者による作業が記載されているが、補助事業を遂行する体制や事務能力の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自動車・家電等のメーカー向けに納品し、国内最極小リーマが主力で、アジア5カ国への輸出が増えているなど顧客と選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    新たな研削盤を今年度導入予定で、刃付けの手作業も残ると書かれ、今後の展望は示されるがスケジュールの詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    細径かつ刃長の長い特殊品への対応や、被膜ハイスリーマが多くの注文を得た点から、同分野で高付加価値品を展開していることがうかがえる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    自動車関連の市況回復やアジアへの輸出増加に触れているが、国が補助する理由としての波及効果や雇用創出は明記されていない。

  • 費用対効果3

    研削時間の5分から56秒への短縮など効果は具体的だが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    秋田県大館市の企業であることは分かるが、地域特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は具体性が薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自動車関連の市況に合わせてリーマの注文が増え始めている。アジア5カ国(台湾、ベトナム、タイ、インドネシア、シンガポール)への輸出も増加している。細径かつ刃長の長い特殊品への需要に対応するため、新たな研削盤を今年度導入予定である。

事業者の声

熟練した職人による手作業も未だに多いですが、今後も工場全体の効率の最適化を図りながら、最短でお客様に製品を納品できるよう、努力していきたいと思います。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。