ものづくり補助金平成29年度卸売業、小売業茨城県

クラフトビール事業進出による経営の多角化と生産性向上事業

株式会社安井商店

成果年間生産量 5キロリットル→12キロリットル

この事例のポイント

  • 大型量販店の台頭と飲料業界の過激な安売りにより、酒類小売業者や飲食店にとって厳しい環境が続いていた。
  • 2017年10月に道の駅さかい内に『さかい河岸ブルワリー』を設立し、2018年3月にクラフトビールの製造を開始した。
  • 年間生産量 5キロリットル→12キロリットル。発酵タンクを2台増設したことで生産量が倍増し、2019年度の年間生産量は12キロリットルとなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社安井商店
所在地茨城県 猿島郡境町
業種飲食料品卸売業
従業員数6人
資本金1,000万円
設立1915年

事業の背景

境町で1915年の開業以来100年以上、飲食料卸売業を営む老舗である。アルコール消費が低迷し、大手量販店の安売りの影響で販売店や飲食店は厳しい状況にあった。国内のビール市場も縮小を続けていたが、クラフトビールが脚光を浴びていた。2018年4月の酒税法改正で麦芽比率の基準が引き下げられ、少量のビール生産が可能となった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑大型量販店の台頭と飲料業界の過激な安売りにより、酒類小売業者や飲食店にとって厳しい環境が続いていた。
  • 生産能力既存の酒類卸売事業だけでは売上の伸びに限界があり、新たな事業として酒造事業への参入が必要だった。

やったこと

2017年10月に道の駅さかい内に『さかい河岸ブルワリー』を設立し、2018年3月にクラフトビールの製造を開始した。商品はさしま茶を使った「さしま茶IPA」と「さしま茶エール」を含む5種類である。ブルワリーでは上面発酵酵母のエール酵母を使い、豊かな香りと深い味わいを目指した。さらに、今まで手作業で行っていたびん詰とラベル貼りの機械を導入し、ミスの減少と作業のスピード化を図った。発酵タンクを2台増設したことで生産量は倍になった。

加工機びん詰機
加工機発酵タンク
加工機ラベル貼り機

新しい製品・サービス:地元特産のさしま茶を使ったクラフトビール(さしま茶IPA、さしま茶エールなど5種類)

事業の効果

  • 年間生産量 5キロリットル→12キロリットル

発酵タンクを2台増設したことで生産量が倍増し、2019年度の年間生産量は12キロリットルとなった。びん詰とラベル貼りの機械導入により、ミスが減り作業がスピードアップした。現在は道の駅さかいと東京・銀座の茨城県アンテナショップで販売しており、大規模なクラフトビールイベントでも評価を得て手応えを感じている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    卸売業100年の老舗が酒類小売業からクラフトビールへ参入したとあるが、既存事業との関係を戦略として明示する記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大型量販店の台頭や酒類市場の縮小を背景に、地域資源さしま茶を使う差別化で参入したと具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    既存顧客の囲い込みと量産体制の構築が課題と解決策として示され、年間生産量5kLから12kLへの増加も書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    初年度計画7.2kLに対し実績5kL、2019年度12kLと数値目標と実績が書かれ、生産量の伸びが読み取れる。

  • 事業を進める体制3

    醸造技術を都内講座で習得し酒造免許を取得した経緯はあるが、補助事業を遂行する体制や人員の記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    さしま茶を使った5種類のビールを商品化し、道の駅さかいやアンテナショップで販売、イベントでの評価も書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    販売開始の遅れや将来の飲食店ごとのフレーバー展開が書かれるが、遂行方法やスケジュールの詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    クラフトビールは高付加価値の分野として位置づけられ、地元特産のさしま茶を使った差別化商品が具体的に書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    地域資源の活用や道の駅との協定など地域への貢献がうかがえるが、雇用や波及効果の数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    ミス減少と作業のスピード化は書かれるが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果の数字はない。

  • イノベーションへの貢献2

    地域資源の活用はあるが、先端的なデジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    飲料市場縮小の中で新分野へ進出した点はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する記述は見当たらない。

  • 地域経済への波及4

    境町の地域資源さしま茶を活かし道の駅さかい内にブルワリーを設立した点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

日本茶のクラフトビールのPRを進めるとともに、小規模なブルワリーの機動力を生かし、飲食店ごとに異なるフレーバーのビール醸造にも挑戦していく考えである。

事業者の声

かねてより物品販売業に限界を感じていました

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。